ヒンメル

田仲 美沙都(たなか みさと)

スカイラー・アーヴィンク


 スカイの髪に指を通す。彼国ではカフネと呼ぶらしい。名前なんて飾りでしかない。ラッピングが派手であろうと質素であろうと贈り物の中身が変わらないよう、名前なんてどうでもいい。

 ねぇ、スカイ。恋なんて終わることの方が多い。なのになんで人は「永遠の愛」や「永遠の恋」に拘るんだろうね。いつ終わってもいいように愛することが幸せではないのだろうか。永遠を期待するからこそ別れた時に深く傷つくのではないか。

 僕はスカイとの恋が永遠に続くとは勘違いしてない。現実に目を背ける行為が嫌いだ。

 永遠なんて信じるには曖昧過ぎる。そもそも、有限の存在である僕らが無限を享受出来る訳が無い。非現実より現実を僕は愛する。

 ロマンチストになるには堕ちた生活をしている。

 生と言う罰を終えるのに後六十年以上ある。

 生に罰以外の意味を見い出せない。穢れに満ちた八十年をご褒美だと僕は思えない。

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