スーパードンキーコングGBシリーズ ~不満からゲームデザインを学ぶ~

『スーパードンキーコング』シリーズをGBに移植した作品が Nintendo Switch Online で配信されたのでプレイしてみました。

かなり遊びにくかったのでここに記録しようと思います。

「遊びにくい」で終わるようではダメです。

この不満から学びを得たり、笑いに変えた方が周りの人も自分も幸せになります。

不平不満だけを言っても誰も得しません。


『スーパードンキーコング』シリーズは元々SFCの横スクロールアクションゲームです。

これをGBに移植したものが『スーパードンキーコングGB』です。

後述の『ドンキーコングランド』は『スーパードンキーコング2』を、『ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング』は『スーパードンキーコング3』を移植したものとなっています。

ゲームシステムに大きな変更はないのですが、GBとなるとかなり容量が減るのでステージの量や内容がかなり圧縮されています。

今は Nintendo Switch Online でGB版もSFC版も遊べるので「じゃあSFC版でいいじゃん」と思うのですが、当時は事情が違っていたでしょうね。

なんてったってGBは持ち運びができるのですから!

今では当たり前のように聞こえますが!




■スーパードンキーコングGB


発売ハード GB

プレイ環境 Nintendo Switch Online

プレイ時間目安 1週間程度


・オブジェクトと背景の区別をはっきりと


これは後述する『ドンキーコングランド』とも共通で、GBは4段階のモノクロしか存在しないため、色の制限をかなり受けています。

このせいで敵や足場が背景に溶け込んでしまい、敵に気付かずにやられたり、足場が見えなくて落下してしまうことがありました。

敵は動いているのでまだ判別がつくのですが、足場の見にくいこと。

背景は色を薄く、敵や足場などのオブジェクトは輪郭をハッキリした方が見やすいのかなぁなどと思いました。


後述の『ドンキーコングランド』ではフックのギミックがあり、ジャンプしてぶら下がることができますが、グラフィックが小さく、背景に溶け込んでしまっているせいで非常に見にくいです。

ジャンプの途中でなぜかぶら下がってしまって一瞬びっくりしてしますが、よく見るとフックがあることに後から気付きます。


見にくい代わりに、この少ない色の制限がありながら美しいグラフィックに仕上がっています。

BGMもよく、SFC版のBGMをGBの独特のピコピコ音で聞けるのもよいと思います。




・数値 VS 表示・非表示


GB版のスーパードンキーコングシリーズでは残機がハートで示されており、画面下に並んでいます。

やられる毎にハートを失い、ハートがない状態でやられてしまうとゲームオーバーになります。

残機を増やしまくると下画面いっぱいにハートが並べられるわけですが、さらに残機を増やすとミスをしてもハートが減らない状態ができます。

これは、残機は表示されているハートの数までではなく、内部値で管理されているためです。

画面ではハートが20個でも、内部値では24個だったりするので、この場合4回までやられても画面上のハートは減らないわけです。

となると、ハートを表示するよりも数値で管理した方がよいのでは? と思いました。

ハートを画面に表示する場合はどうしても数に限界があります。

画面にはハートが20個しか入りませんが、数値で管理した場合は二桁だと99まで管理できます。

これも恐らくGBであることの制限がありそうです。

数字は見にくいのでしょうか。


残機はほぼ無尽蔵に湧いてくるのでハートの表示は特に不便ではなかったのですが、控えの仲間がいるかどうかの表示がなくて不便でした。

ドンキーとディディーの二人で冒険するのですが、ドンキーがやられると控えにいるディディーが現れ、今度はディディーを操作します。

ディディーもやられると残機を失い、最初から、あるいは中間地点からのスタートとなります。

やられた控えのキャラは途中で救出することができ、再び二人で冒険することができます。

しかし、このゲームには控えがいるかどうかの表示がないのです。

このディディーがやられたらもう終わりなのか、それとも控えにドンキーがいるから一度やられても大丈夫なのかが分かりません。

SELECTボタンを押すと交代ができるので、こういった形で確認する方法もあるのですが、やはり控えがいるかどうか表示されている方が親切のように思いました。


次回作からはちゃんと控えが表示されるようになっています。




・画面が小さいのでやってくる敵に反応できない


GBはSFCよりも画面が狭いです。

そして、このゲームは横スクロールアクションです。

何が起こるか予想できるでしょうか?

敵が画面外から歩いてくるのを視認してから避けるのが間に合わず、やられてしまうことが多かったです。

カービィやマリオなど、キャラが小さい場合は問題ないと思うのですが、目の前はドンキー5人分のスペースしかありませんからね。

この状態で走ると、敵が現れた時に反応が難しいと思います。


また画面が小さいことで、下の方の足場に飛び移る時に足場が画面外になってしまって見えなくなることがあります。

下にある足場に飛ぶと、数ピクセルずれて踏み外すということがしょっちゅう起こります。

見えないんだって。




■ドンキーコングランド


発売ハード GB

プレイ環境 Nintendo Switch Online

プレイ時間目安 1週間程度


・色の変化は状態の変化


例えばクランチャという敵は、踏みつけたりアタックしたりして攻撃すると怒り状態になります。

この状態で踏みつけたりアタックしたりしても、倒せずにやられてしまいます。

SFC版では怒り状態だと赤くなるという色の変化があるのですが、GB版では色がないので怒っているかどうかの判別がパッと見ではわかりません。

怒り状態だと移動速度が上がるので、そこで見分けるしかありません。


また、水の状態が変化するステージがあります。

灼熱状態の水に入るとやられるので、その前に冷ます必要があります。

灼熱を冷ますとSFC版では赤から透明に変化するのに対し、GB版では色の濃度が薄くなるだけで、色よりも視覚的な効果は薄いです。


色にも情報が乗っていて、「赤くなった敵に触れたらまずそうだな」という感覚をプレイヤーに与えることができます。

これをアフォーダンスといいます。

色に限らず「ハチを踏んづけるとやられる」「タイヤを踏むと高くジャンプできる」というのもアフォーダンスの一種です。

状態の変化は色で表現できるという学びを得ました。




■ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング


発売ハード GBC

プレイ環境 Nintendo Switch Online

プレイ時間目安 1週間程度


GBCになって色が付いたよ!

プレイしやすいよ!

曲もいいよ!


・バナナの逆を行けば大体ボーナスやDKコインがある


スーパードンキーコングシリーズではボーナス、DKコインという収集要素があります。

それとは別に、道に落ちているバナナは100個集めると残機が増えます。

このバナナは誘導にも使われます。

例えばジャンプするところではバナナが放物線状に置かれたり、直進するところではバナナが一直線に置かれたりします。

このバナナに従って進めばゴールできるという配慮です。

また、バナナが矢印の形に置かれていることもあります。

しかし、これは罠で矢印の通りに進んではいけません。

なぜなら、矢印の逆を行けばボーナスやDKコインがあるからです。

素直に言う事を聞くと騙されるんだなという学びを得ました。(さすがに嘘。)




ここに書いてあることは大体『桜井政博のゲームを作るには』というYouTubeの動画で言われていると思うので、そちらも併せて見てもらうとよいと思います。

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ゲーム日和 あーく @arcsin1203

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