第36話 相棒(トオルハンマー)の再生は、仇敵(トラウマ)の再考を持って為されるのか?。(その3)
しばらく追いかけっこで、友好を確かめていた雫斗だが香澄が出て来たので終了する、香澄は羨ましそうに鬼ごっこを見ていたが、雫斗が手を差し伸べると手をつないできた、保育士の鈴木さんから荷物を受け取り、鈴木さんと悪ガキどもに挨拶すると家路についた。
「今日は楽しかったかな?」と雫斗が聞くと「うん、あのね太郎ちゃんと、芳樹ちゃんと、かおりちゃんとで大きな砂山を作ったの、トンネルも掘ったんだよ、そうしたら怪獣翔太ちゃんが来てね、ぜ~~んぶ壊しちゃった、あははは~~」雫斗は砂山を壊されて喜んでいるのかな?、と思ったが。
「そうしたらね、太郎ちゃんと、俊樹ちゃんが、怪獣翔太ちゃんをやっつけたの、香澄も頑張ったの。翔太ちゃんのズボンの中に砂をいっぱい入れてあげたの、翔太ちゃん泣きそうになっていた、あははは」うわ~~ 翔太君トラウマになっていないと良いけど。
そんな取り留めもない話をしながら家に帰りつくと、良子さんが待っていて、香澄をお風呂場へ連行していった。雫斗も部屋へと上がりパソコンで最初投石器(スリング)的なものが無いかと探すが、考えてみると一瞬だけ、放つ瞬間の速さが欲しいので、短鞭や一本鞭の鞭系で良いんじゃ無いかと思い始めた、取り敢えずネットで調べていくつか候補を絞り込んで購入したが、商品が来るまで時間がかかるので、他の物で代用できないかと考えた。
思いついたのが沖合の船で使う大物用の釣り竿、確か海慈父さんが持っていたはず、後で聞いてみようと思っていたら風呂場があいたと良子さんが言ってきた、海慈父さんも風呂を終えたらしい。お風呂に入る前に聞いてみた「父さん、前に海用の釣り竿があったよね、まだ使えるかな?」。
「確か倉庫に入っているはずだが、何に使うのかな?」と聞いてきたので、投石の道具の代わりだというと、使わないから好きにしたらいいと言われた。倉庫へ入ると汚れるのでお風呂へ入る前に探しに行き何とか見つけて部屋へと持ち込んだ。
階下に行くと母親が居ない「母さんは?」と雫斗が聞くと「まだ帰っていないよ、ネット会議で揉めているらしい」との事。「それより早くお風呂を済ませてきなさい」という父親の言葉と、不機嫌そうな香澄を見て慌てて体を洗い終えて食卓に着くと食事を始めた。
食後「父さん、釣り竿の所有権を移したいんだけどいいかな?」と雫斗が言うと「構わないが、どうするのかね?」と聞いてきた、雫斗は紙に譲渡したと書くだけでいいというと「これで良いのかね?」と”釣り竿一本、息子雫斗に譲渡する”と書かれた紙を渡してきた。
「十分、十分、ありがとね」と言いながら階上へと上がっていく息子を見ながら香澄の相手をする海慈父さんだった。
自分の部屋へと上がってきた雫斗は釣り竿の先端を収納してみる、収納の中で釣り竿の先端を認識出来た雫斗は、机へと向かい勉強を始めた。学校では学年の違う生徒が一緒に授業を受けるため、基本的な事しか教えない、後は自習とテストの繰り返しで自分の学力の不足は自分で考えて学習するのが基本だ。
勉強を終えて就寝しようと階下へ水を飲みに降りてきた雫斗は、母親の悠美が寝ている香澄の髪を撫でているのに出くわした、どうやら悠美も香澄不足だったらしい「母さん、帰っていたんだ」と雫斗。
雫斗の声に振り返った悠美は、声を落として「ええ、ようやく終わったわ、今まで勉強?」と聞いてきた。「うん、もうすぐ模試があるからね」と雫斗は水を飲みながら答える「そう、頑張りなさい」と言った悠美は香澄の髪を撫でつづける「おやすみなさい」と言いながら階段を上がる雫斗に「お休み」と悠美が答える。
朝起きると食事の前に何かの書類を渡された「此処に名前を書いて」と母親の悠美が言う、訳がわからず雫斗が「どう言う事?」と疑問を口にすると「あら!、父さんから聞いていない”スライムバスター”て言う花火の名前の商標権の権利の取得分配の書類よ」。
そう言えばそんな話をしていたなと、何も考えずに名前を書いたが、その書類を鞄に入れながら「これでようやく進めるわ」と悠美母さんが言う「ヘェ〜、あの花火の名前”スライムバスター”に変わるんだ」と雫斗は何気なく答えると。
「そうなのよ、あの社長さん、これは商機だと思ったみたいね、今は花火の生産はやって無くて、トンネル工事とかに使う爆発物の生産が主商品らしいんだけど、ダンジョン関係の商品に関われるならとまた始めるつもりの様ね、外国への輸出も視野に考えているみたいよ。取り敢えず早めに納品したいからって、あの書類を早く渡してくれってうるさいのよ、これで落ち着けるわ」。
と悠美がうるさい仕事を終わらせて、清々したと言うふうに言っていたが、後々厄介な事になるとは雫斗にも、その時は思いもしなかった。
その日の放課後、雫斗は芳野先輩と野島先輩二人と売店で待ち合わせていた、付箋紙を買ってもらうためで水中花火も一箱ずづ渡してある、後はロボさんが来るのを待つだけである、百花達は先にダンジョンに入っていて、3階層で魔物を狩りながら訓練をしていた、後で3階層で合流予定だ。
時間の少し前にロボさんが大きな荷物を背負って現れた「すごい荷物ですね、重くないですか?」と雫斗が言うと「私の体は機械ですよ、この位どって事ありません」とロボさん。
取り敢えずロボさんと二人を引き合わせる「ロボさんは初めてでしたね、僕の先輩の芳野冬美さんと野島京子さんです」と雫斗が二人を紹介すると。
「私はロボデスカ・ソウカネですねよろしくです、ロボとお呼びください」と自己紹介を始めると、”ぷっ”と芳野先輩が吹き出しかける、かろうじて吹き出さずに済んだ野島先輩が「よろしくです」と棒読みで答えると、ロボ顔なので良く分からないが、ロボさんの表情がやり遂げた感をだしている。
ロボさんにも付箋紙を買ってもらい、そのままダンジョンに向かうことにする、入ダン手続きをして1階層の広間でスライムの討伐を始める、
スライムを50匹倒したら、付箋紙を使って収納の覚醒を促すことを伝えて始めようとしたら、ロボさんが水中花火の受け取りを拒否してきた。どうするのかと聞くと背中のハンマーを取り出して、「私には此れがあります、愛用の大ハンマーです、雫斗さんの”打撃耐性には打撃で”の言葉に感銘を受けましたね、鍛冶師でもある私もやらなければと思い立ちました」。
「見ていてください」というが早いか、近くにいるスライムめがけてハンマーを打ち下ろす、すさまじい速さで振り下ろされる鉄の塊は、狙い違わずスライムの真中へと打ち下ろされた、ものの1分とかからずスライムは光へと消えていった。
さあ次ですと歩き始めるロボさんを追って、慌てて先輩二人も追いかける、数をそろえながら討伐する事2時間弱、三人が(ロボさんを含めて)スライムを50匹倒したところでは収納の覚醒を試す、当然先輩2人は収納出来たが、ロボさんの収納が覚醒したのには少なからず驚いた。
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