第30話 再びの検証は、恐怖と絶望の飴荒られ(その4)
雫斗から渡されたメモの内容を読んだ百花は「馬鹿にしているの?」と声を上げる、メモ用紙には ”私、高崎雫斗は、斎藤百花嬢に対して、親愛と謝罪を込めて飴玉の詰め合わせを譲渡する。”と芝居がかって書かれていた、慌てて雫斗が「違うよ!収納してみて」と言うと、百花は”今、他人の物は収納出来ないって言ったばかりなのに”と思いながら収納してみる、・・・・メモの用紙を。
百花は収納できたメモ用紙を、頭の中で認識していて、どうして?と疑問に思いながら、雫斗を見る。
頭の上に、疑問符をたくさん浮かべて雫斗を見ている百花に「違うよ、収納するのは、飴玉の箱!」と雫斗は苦笑いを浮かべて間違っている事を伝えた、”さっきは、収納出来なかったのに”と思いながらも素直に収納すると、飴玉の箱を収納出来た事に、さらに疑問符を重ねて雫斗を見つめる。
アホみたいに、目を見開いて雫斗を見つめる百花に、確信できた事を得意げに話す雫斗「契約?、いや成約が必要なんだ」。「成約?」とおうむの様に繰り返す百花に分かりやすく話す雫斗。
「同等の物との物々交換、適正な価格での金銭での取引は、そのまま成約として、成立するんだ。だけど口約束での取引は成立しないんだ、言った言わないってなるから当たり前だけどね。でっどうするか?単純な事だったよ証拠を残すんだ」。
「さっきの、紙に書いた事?」と弥生が雫斗の言葉に返す「そうだよ 百花、さっきのメモを弥生に見せてみて」と言う雫斗のお願いに、ブスッと表情を歪めて渋々従う百花、渡された弥生がメモを見て「何、これ」とクスッと笑って百花にメモを返す。
「何でも良いんだよ、相手に言いたい事が伝われば」そう言いながらメモ用紙に何事か書いて、収納からもう一つの飴玉の詰め合わせの箱を出して「はい」とメモと一緒に弥生に渡す。
「あら!、私にも貰えるの嬉しいわ」と言いながら受け取ると収納に 飴玉の詰め合わせの箱を入れて「かなり、いい加減なのね」とメモ用紙を見ながら言う。メモ用紙には”親愛なる弥生に感謝を込めて”としか書かれていない[誰が]、[何を]、渡すのかさえ書いていない。
「流石に百花だけっていうのもね、黙っていたお詫びのつもりだし、恭平はいいよね」と雫斗が言うと「俺は甘い物はちょとな、その代わりさっきの岩を砕いたやり方教えてよ」流石、武闘家、食い物より戦い方が気になる様だ。
「良いけど、かなり難しいよ、だけどコツを掴めばいけるかも?」「へぇーそうなんだ、でも凄い破壊力だったよね?普通ああはいかないよ、やっぱりダンジョンのせい」などなど収納を使っての戦い方談義に花を咲かせる男子をよそに。
収納した飴玉の話に夢中の女子二人「へぇー、箱の中身が分かるんだ、これ便利ねー、あっこれ美味しそう」とか「これなんか、ちょと酸っぱそうだけど、可愛いわ」と飴玉の美味しそうやら、かわいい談義に花を咲かせる女子二人。
色々な飴玉を出したり、入れたりして食べる飴玉を選んでいた百花が 一つの飴玉の袋を破こうとするのを見て、雫斗は「百花、袋を破かなくても収納から直接口の中に入れられるよ、多分ポーションなんかも直接飲めると思う」とアドバイスをする。
そう、雫斗は確かめた事が有るのだ、小さめの栄養ドリンクだったが 直接口の中に液体だけを入れる事ができたのだ。ただ何も考えず収納から中身だけを、直接口の中へ移動するイメージをしたため、ドリンクの中身全部がいきなり口の中へと流れ込んだ、幸いだったのは量が少なかったため、むせ返ることなく飲み込めたが、適量ずつ飲むのにかなりの練習が必要だった。
百花は、破こうとした飴玉を収納し直して試してみた、「ほんろらー れきら」大きな飴玉を頬張って嬉しそうに話す、弥生も出来たみたいだ 弥生は話す事はせず、嬉しそうにうんうん頷いている。
しばらく飴玉を舐めていた百花だったが、喉が渇いたのかペットボトルを取り出して水を飲もうとした、蓋を開けようとして、飴玉みたいに収納から直接飲めるのでは?と思い付いた、さっき雫斗がポーションも飲めると言っていたし、やってみよう。
ペットボトルを持って、考え込んでいる百花を見た雫斗は、嫌な予感がして「百花?」と呼びかけた、呼ばれた百花は何かに集中していて気付かなかったが、他の皆んなは聴こえていたため、百花をみていた。
いきなりペットボトルを収納した百花が、何を試み様としているのか分かった雫斗が止めようとして「ダメだ!!、百花」と言う間もなく、水を飲むために収納の中にあるペットボトルから口の中へ水を移動した!、・・・ペットボトルの中の水を全部。
当然、小さなお口には入り切れず、穴という穴から溢れ出す、見てはいけない物を見た男性陣は驚愕して固まった。弥生は驚いて暫く対応出来ずにいたが、慌ててタオルを百花の顔に被せて、むせて咳き込む百花の背中を叩いていた。
タオルで隠しているとはいえ、その一瞬の出来事は脳裏に焼き付いていて、フラッシュバックしている。吹き出た水をタオルでふき、何とかせきを止めた百花が、なんとも言えない顔をしている雫斗を睨み付けた。
確かに雫斗は収納から直接飴玉を食べる事が出来ると言った、ポーションも直接飲めると言ったが、大量の水を飲むことが出来るとは一言もいっていない。
そう百花に言っても、聞く耳は持ち合わせて居ないだろう、此処は甘んじて制裁を受けよう!!、だが一言、言いたい。・・・”理不尽だと”。
「雫斗お!!、あなた、何てこと教えてくれるのよ~~~~!」そう叫ぶや否や、雫斗の襟首をつかみ思いっきり揺すってくる。雫斗は今まで 百花の怒りを鎮めるため、獅子奮迅の努力をしてきた、しかし無駄な努力であった、もはや荒れ狂う百花が鎮まることを願う事しか出来なかった。
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