第23話 検証は、健康に良いと、思いたい。(その4)
玄関を出ると海慈父さんと良子さんに出くわした、「おう、今日もダンジョンか?気を付けてな」と海慈、雫斗の出で立ちを見てそういうと。「いってらっぁシャイまぁせ」と良子さんが声を掛けてくる。
今まで畑で作業をしていた様だ、昼間は香澄が保育園に行っているので良子さんの仕事は海慈の手伝いとなる、当然働いてもらっているので給金は高崎家から支払われる。
かつて良子さんは自分の主人となるべき人を探して放浪をしていた、自由ゴーレムで2年前に雑賀村に辿り着いた。
どういゆ訳か、香澄を一目見るなり香澄のしもべとして仕えたいと雫斗の両親に直談判をして来たのだ。いくら人に危害を加えることは無いといわれているゴーレム型アンドロイドとはいっても、幼い香澄に近づけさせるわけにも行かず、最初悠美たちは拒否していたのだけど、高崎家の家の前に二週間近く居座られては根負けしてしまったのだ。
当の香澄が良子さんを怖がらずになつき始めたのが決め手となったのだが、良子さんが香澄に使役される事については、幼い香澄が分別の付く年頃になってから、改めて決めましょうと言う事に為ったのだ。
「行ってきます」雫斗はそう言って歩き出す、ダンジョン前で受付を済ませて1階層の奥を目指す、歩きながらも目に付いたスライムを爆破しながらも収納に小石を入れていく、収納から出したのは水中花火と体重計だけである、籠とハンマーとタブレットはかさばるので収納に入れている、後は一杯になったら一緒に測ればいいかと思ったからだ。
今日のノルマのスライム50匹を爆破して、収納も一杯になったのでいよいよ計測タイムだ、バッグから体重計を出し、籠にトオルハンマーとタブレットを入れて測り記録する、測り終えたハンマーとタブレットをわきにおき、後は籠を乗せた体重計のメモリをゼロにして、ひたすら小石を計っていく、方法は収納した籠に小石を詰めて、出す測る記録する小石を捨てる、を繰り返した。
結果は、125キロ、雫斗の体重の約2倍、結構な量が入るみたいだ、此れなら使い勝手が良い。
さて、いよいよ最終兵器トオルハンマーの出番だ、体重計とタブレット、籠を収納するとスマホで時間を確認、後はスライムを探すだけ、この広間に残っているスライムは6匹程。
最初のスライムに狙いをつける、大きく足を広げて斜めに構え、ターゲットに狙いをつけて後ろから半円を描くように振り抜く、”グワッシャ”命中、すかさずハンマーヘッドを引き込んで最初構えた姿勢に戻りそして振り抜く、”グワッシャ”命中、その工程を続ける、”グワッシャ”当たり、”グワッシャ”当たり、”ボグァ”外れ ”グワッシャ”当たり、”グワッシャ”当たり ”ボグァ”外れ。
当たりと外れを繰り返し、25回目の振り抜きでスライムが弾けた。
「はあはあはあ・・・、これ・・を・・つづけ・・はアははあ・のはしんど・・いぞ・・はあはあはあ・・・」。
水を飲み、タブレットに記録して次のスライムへ向かう、「ヲォルリヤァー」、当たり、当たり、かすった 当たり 外れ、・・・スライムを殴り続け、10匹目で力尽きた。
倒れこんだ雫斗は、呼吸を整えながら今更ながらに自分を罵倒していた。”誰だ、こんなこと、考えたのは?(あなた!)これで一日50匹を倒すなんて、無理、絶対無理、神に誓って無理”。
スライムを倒すための打撃数は平均26回、ミスも合わせると30回近くにもなる、呼吸を整えて冷静になると、ミスを減らせば打数も減るし効率よく叩けば、ダメージも多くなるんじゃないかと思い始めた。
それに、これだけ動けば力も付くし、持久力も上がるだろうし、何と言ってもスピードを上げれば素早い動きにも拍車がかかるかもしれないと思い直して。
”よし、まだ始めたばかりだし、もう少し頑張ってみよう”と雫斗は考えた、前向きである、確かに此れだけ動くだけでも体が出来上がりそうだ。
そんな事を考えながら、雫斗は出口に向かって帰って行くのであった。
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