第20話  検証は、健康に良いと、思いたい。(その1)

 部屋へと戻って来た雫斗は、食事の時何であんな事を話してしまったのだろうかと、赤面しながら頭を抱えていた。


 「はぁ〜〜、あああァァ〜あんな事を話すなんてぇェェ、どうしんだ雫斗おおぉぉ、お前はそんな人間じゃ無いはずだ、地味に隠れてなんとなく、ふつぅ〜〜に生きていくはずだぁぁ〜」と恥ずかしさで暫く悶々と、ベッド上でゴロゴロと悶えたいたが。


 "まあァーいいや"とサッサと立ち直り机へと向かう、パソコンを立ち上げて今日ダンジョンでやってきた事を、スマホを見ながら時系列でまとめて見る。気持ちの切り替えが早いのは、雫斗の得意技なのだ。


 1. スライムを花火で爆破(1匹)。


 2. 同じくスライムを次々爆破。最終的に約50匹の討伐。


 次を書こうとして、置いて行かれた事を思い出した、頭をブルブル振ってその出来事を振り払う、次だ次と気持ちを落ち着けて。


 3. ダンジョンカードを使った収納の発現、付箋紙使用。


 などなど書き連ねて、最後に小石を山積みして締めくくった。


 "こうして見ると触れていないと使えないのは不便だよな〜、スキルって訳でもなさそうだし”と考えてDカードを出現させてジーと眺める、相変わらず雫斗の名前とレベルだけ、裏返しても何も書かれていない。


 そのレベルには3と書かれている、父さんの手伝いで一緒に連れていかれて3層迄到達した証だ。


 そのカードを見ながら、多分収納はカードの機能の一部なんだろうなっと朧気ながら考えた、では何故今まで誰も使えなかったのか?、考えながら、パソコンの画面を見ている、すると一つの文字列だけが目に入る、まるで答えを示すかのように。


 【最終的に約50匹の討伐】


 これか!!、雫斗たちは花火で倒したから、1時間で50匹以上倒せたが、他の手段となると、どれ程かかるのか見当もつかない、雫斗は明日の予定をスマホに書き出していく。


 1つ、スライムの討伐数が条件になるなら、他にもあるかも知れないから、一日50匹以上を討伐目標にする、(花火を使えば余裕だ)。


 1つ・爆破以外でのスライム討伐の試行と書いて方法を考える、打撃に強いスライムだけど、その打撃を避けていい物だろうか?。


 ふと何かの映像で見た事を思い出した。何処かの建設現場で、目印の杭を大きなハンマーで叩いて埋めていたのだ。


 最初、杭を軽く叩いて先を埋めて動かなくすると、おもむろに両足を広げて構えると、杭と体を挟んで大ハンマーの先を地面に置いたと同時に、杭の頭めがけて大ハンマーを力いっぱい打ち込む、構えては打ち込むのを繰り返して、杭を地面に埋め込んでいたのを思い出したのだ。


 よし試してみるかと、スライム討伐の試行と書いたその後に、”大ハンマーで打撃、回数を数える”と書き添える、たたくなら纏わり付かれる心配もないし。


 1つ・収納内の時間の経過?と書いて。今できるんじゃないか?と思いストップウォッチがあったはずだと、探し始める。


 机の引き出しを''ゴソゴソ'' 押入れの中を''ゴソゴソ'' あっちこっち探し回って、ようやく本棚のガラクタを入れたカゴの中で発見する、多少汚れているがゼンマイ式だから大丈夫だろうと、綺麗に拭いてゼンマイを巻く。


 試しにスタートして見る「チッチッチッ」と時を刻む、大丈夫そうだ、ゼロに戻しスマートフォンを机の上に置く、スマートフォンのアプリのストップウォッチを起動してタイマーを5分にセットして右手にストップウォッチを握る。


 左手の人差し指でスマホのタイマーボタン、右手でストップウォッチのスタートボタンを同時に押そうとして机の上を見るとスマホが無い、焦って辺りを見回して探すも、見当たらないスマホは何処だと考えると、頭の中にスマホとストップウォッチのイメージがあった、無意識に二つとも収納してしまった様だ。


 収納から取り出して集中しながらスイッチオン、今度は成功してスマホとストップウォッチを見ながら5分待つ、・・・・5分後スマートホンとストップウォッチが同時に大きな音を立てて時間を知らせる、ストップウォッチは使える様だ。さすがゼンマイ式だけはある、頑丈な作りをしている。


 さて検証だ。もう一度タイマーをゼロにセットしてスイッチオン、即ストップウォッチを収納する。


 5分後、スマホのタイマー音と同時に、収納したストップウォッチが盛大な音を立てる、機械式の為音量の調整なんかできるはずも無く、最大音量が雫斗の頭の中で鳴り響く。


 「ぐおぉぉぉ~~!」盛大に椅子から転げ落ちて悶え捲る雫斗。暫くしてようやくストップウォッチを収納から出して止めると一息つく。前にダンジョンで同じ事を遣ったのに懲りない人である、


 今度は、逆にしてスマホの収納を試みる、又頭の中で轟音が鳴り響くのは勘弁なのでスマホのタイマーをベルの音からバイブに変えて収納する。


 ラノベで定番の収納の時間遅延が出来ないかと思い、収納する時に時間を''二分の一''と念じながら収納してみる、5分後収納したスマホの振動を感じたので、ストップウォッチを止める、感覚の中で振動を続けるスマホを取り出してタイマーをとめる。


 大きな差はない、どうやら収納の中と外では、時間の遅延は無いようだ。


 パソコンに書かれている、''収納内の時間の経過?''のうしろに(済) 時間の遅延無しと書き足す、後は無いかなと考えて。


 1つ・収納の限界量、と書いて今日出来なかったことを思い出す、どれだけ収納出来たのか見たくて、ダンジョンの壁のわきに、小石を出したのだが、運悪く百花達に見つかったのだ、収納が出来ることは隠せたが、未だにどれ位の重さ迄入るのか、正確な数字が分からない。


 限界量のその後に、体重計、小石を乗せるための籠、と書き出す。後は何かないか?と思いながら。


 1つ・収納が発現するときのスライムの討伐数。と書いて、これは百花達に手伝ってもらわないと、と思ったときダンジョンに置いて往かれた事を思い出した。


 ”これは来週だな”と書き足しあっさりと保留にした、しかし雫斗は忘れていた、後回しにされた百花がめちゃくちゃ怒る事を、その時は考えもしなかったが、昨日あれだけの剣幕で怒られたのだ、雫斗の首が無事に残ることを祈りたい”南無阿弥陀仏”。


 こんなものか?、とスマホを眺めながら明日の検証計画を見ていたが、良し明日やることは此れだけで良いと決めた。


 後は”収納の呼び方だよな~~”と名前をどうしようと考えていた、”ダンジョンカードの機能の一部なら、スキルじゃないよな~?触って無いと使えないしなぁ~~?”とあれこれ考えていたが、武器を”パッ”と出して魔物に切りかかる場面や、丸盾を”スッパ”と装着して攻撃を防ぐ場面を想像して、装備を出し入れする空間か・・・。


 よし!!!、これにしようと、気合を入れておもむろにパソコンに書き込む


 ”命名!、装備収納”この時は我ながら良く思いついたと思っていたので満足して、後は学校の勉強を始めたのだ。

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