第25話 男なんて皆同じ

 気が付くと雫玖ワタシは、自分のベッドに横になっていた。


 左頬は腫れ、酷く痛む。口の中に血の味が広がっている。

 そして……ワタシの上に金髪の男が覆い被さっていた。


 ワタシの着ていた服は、乱暴に脱がされ、下着姿になっていた。


 「おっ!目覚め早くね?まぁいっか!今から僕と楽しいコト、いっぱいしようね?」


 男は、イヤらしい……そして憎たらしい笑みを浮かべた。


「いやぁあああっ!」


 怖い……怖いよう……やっぱり男の人は、こうなんだ。自分さえ満たされたらそれでいい……相手の気持ちなど関係ない。


 最低だ……男なんて皆、同じだ。


 ……いや、違う!そうじゃない!


 樹君は……樹君はこんな汚い人間とは違う!


 助けて……怖いよ……怖いよ……


「樹くぅん!」


 ワタシは泣き叫び、手足をバタつかせた。


「うるせぇよ、静かにしろや!」


 男は、ワタシのおでこに頭突きを喰らわせた。


 ゴツッという鈍い音と痛みが、頭の中にジワジワと拡散された。


 ワタシは、また気を失いかけた。けど、ここで気絶したら終わりだ。


 ワタシは、正気を保とうと静かに深く呼吸をした。暴れたら、また殴られる……。


 そして、男がワタシの胸に手を掛けた時だった……



「おいっ!雫玖さんから離れろっ!」


 樹君だ、樹君が助けに来てくれた!


「あ?……なんだこのガキは?」


 男は、ワタシの上から降りて、樹君と向き合った。


「今すぐウチから出て行け……」


 樹君は、肩で息をしながら男を睨みつけた。


「なんだと、このイケメン君。お前こそ消えろや!○すぞ?」


 男は、樹君を睨みつけ恐ろしい言葉ですごんだ。


「ボクは、暴力が嫌いだ。もっと嫌いなのは、暴力をに使う頭の悪い人間だ」


 樹君は、男に一切恐れることはなかった。


「……へぇー、お前勇気だけはあるみてぇだな?頭が悪いのはこの女だろ、簡単に鍵開けやがって」


「雫玖さんは悪くない!頭が悪いのは、ボクの方だ。もっと早く帰れば、君のようなを家に入れる事は無かった」


 樹君は、一歩も退かなかった。


「おい、ガキ……お前本当にムカつくな。マジで○してやるよ」


 男は、眉間にシワを寄せて歯ぎしりをした。


人間ひとは……ボクは、そう簡単には死なないよ」


 樹君は、男を挑発しているともとれる言葉を返した。


「じゃあ、試してやるよ!」


 男は怒号を上げて、樹君に殴りかかった。


 「いやぁあああっ」


 ワタシは、泣き叫ぶ事しか出来なかった。

 

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