第3話 Cafeで取り調べ

 四人掛けの席に、不自然な3人組……。


 ぬるくなったアイスコーヒーの氷が、カランと音を立てた。


 麻宮雫玖ワタシが、汗をかいたグラスをおしぼりで拭いた時、伽椰子かやこが美少年に恐る恐る尋ねた。


「あのさ、アンタ何者?なんで雫玖しずくの事知ってるワケ?」


 ワタシは、彼の答えに耳を傾けた。


「何者って……逆になんで分からないのか分からない?雫玖さんのです」


 美少年君は、パフェの底に到達。口の周りにチョコを付け、底のフレークをパリパリと音を立てながら食べた。

 そして、スプーンを起き手を合わせるとワタシを見た。


「え……?いや、ちょっ……」


 知らない……本当に知らない。

 でも、この子はワタシの事を知っている。

 見た目は品のある穏やかそうな美少年だけど、ワタシは得体の知れぬ恐怖を覚えていた。


「ちょっと!なんていう顔でボクを見るの?怖いのはこっちの方だよ、酷いな雫玖さん……もぉっ」


 美少年君は、口の周りにチョコを舌でペロリと舐め、頬っぺたを膨らませた。


 くっ……いちいち可愛い。


「あー、もう分かった分かった。とりあえずアンタは悪いひとではないようだから、ちょっと幾つか教えなさい」


 伽椰子は、困り顔のワタシを見るに見かねて美少年に質問をし始めた。


「まず名前は?」


「教えない。雫玖さんが覚えてないコトに傷付いた」


 伽椰子は、出鼻をくじかれ眉を八の字にした。


「歳はいくつ?」


「18」


「あら?まだ高校生くらいだと思ったわ」


 ワタシもそう思っていた。背が少し低いせいかな?でも、色気は半端ないが……。


「それじゃ、何処から来たの?」


「都内……では無い」


「ご両親は?一緒に来た?」


「父はボクが幼い時に○んだ。母は再婚して幸せモード。今は地方住み」


「アンタ学生?それとも社会人?」


「学生……では無い」


 ……って、まさかの無職?!どうやって生活してるのだ?

 ワタシは、ひっそりと苦笑いを浮かべた。


「ズバリ、雫玖とどういう繋がり?雫玖は心当たり無いみたいよ?」


 伽椰子は、ここで核心をついた。


「だーかーらー、婚約者だってば!お姉さんも雫玖さんも物忘れスゴっ……あ、すみませーんお冷ください」


 ぐぬぬっ……まだ言うか。知らぬ、ワタシは知らないぞ美少年よ。


 伽椰子も頭を抱えている。そして……


「うーん、雫玖……ウチはもう戦えん。後は自分でなんとかしなさい。らしいから」


 伽椰子は、ワタシ達の分のお会計も済ますと、ニヤリと微笑みそそくさと逃亡した。


「あ、お姉さんご馳走様です。またね〜」



 ピロリン♪


〔後は任せたw夜にでも連絡おくれ〕


 伽椰子からのL○NEに、ワタシはガクリっと首を落とした。


 そして……美少年君は、何食わぬ顔でお冷をイッキ飲みした。



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