第3話 黒いシャツ
これからは今までの話とは関係のない主人公の話である。
私は地方の公立高校に通う高校生。ごく一般的と言われるかもしれないが、両親は二人とも公務員で母は小学校の先生、父は市役所と二人とも私の自慢の両親だ。私には二人の兄妹がいる。一人は二つ上の兄で今年から大学生だ。私とは二つ歳が離れている。もう一人は妹だ。今年中学二年生で私とは三つ歳が違う。
「おはよー」たわいのない会話が当たり前に飛び交う一日がうらやましいとか、このまま続いてほしいとか思っていいのかと考えたことは一度もない。でも、何で18歳で成人なんだと思ってしまうのは事実だ。
「進路希望どうするよー?」
もうすぐ進路選択を決め、受験に備えなければならない時期になってくる。友達にこう言われないと私もなかなか考えることはなかった。
「大学進学が多そうだよねー?」
私もそうだろうと思いながら
「そうだろうね。私も大学行くと思う。」これが今返せる答えだ。
私は服装も、音楽も、読む本も、行く高校すらも自分で決めることはできなかった。できる状況かといえば首をかしげてしまうが、決めなかったのは自分だ。決めていれば、高校も変わっていただろうし、好きな作曲の仕事に進むことができたかもしれないし、黒いシャツだって着られたかもしれない。毎日のようにそう思ったりする。
「もうすぐ三者面談あるから早めに提出するように」
先生の一言で私はやっと両親に説明しなければいけないなと思い、家で話をすることにした。
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