第4話  春休み4日目・月登場

春の朝は本当に気持ちがいい。僕は子供のように窓から顔を出して春の空気思いっきりすった。そしてつづく桜並木をしばらく、ボーっと見ていた。誰かの視線?

5本目の奥の桜の木の横に金色に輝く?えっ緑?長い髪の女子がいた。僕と同じくらい高校生?の女子だ。

目が合った。彼女は目を外さない。強気な女子だ。変な子。しかしこの時期は、おかしな奴もいるからな。悔しいが僕は目をそらした。

「リク、朝ご飯よ。」母さんの声。

現実の日常に戻る僕。「はーい。」大きく返事する。

3学期終了の日。学校創立80周年の桜の餅を食べてから数日、僕は、変な夢ばかり見ているようだ。ヤマト?変な龍の夢だ。

学校が休みのせいか、気が緩んでいるのか、ゲームも睡眠も取り過ぎてる。自己管理ができていない。いや正直は、わざとしていないのかもしれない。

あと1年で高校も終わる。受験まで正直1年きっている。焦りが逆に逃げになっている。

現実逃避か。これじゃ受験に勝てない。

「僕は賢い。僕は賢い。僕は天才だ!」

わっーと、口にだして自分に言いきかせる。

言葉を発して、自分の耳から脳へ自分に言いきかせる。よし、脳が働きだして来た。

よし、現実へ戻ったぞ。昨日はなぜか、2度寝して一日中、起きれずに塾にも行けなかった。

昨日、どこか異国に行ってたような。龍が2体。

僕は何をしてたのか?リアルな夢だったが。

でもまあ、いいか。机のスケジュールを見る。今日、塾は午前か。

大きな声が怒ってる。「リク!起きなさい!ご飯!」

僕は返事より早く、キッチンへ。

「ご飯。ご飯。」急いで食べだした。

母さんが「リク、ゲームばかりしないで、ちゃんと勉強しなさい。もうすぐ3年でしょう。受験よ。」

「母さん、分かってるよ。僕は賢い。僕は天才だから大丈夫。」

母さんは、えっ?あきれた顔で笑いながら「リク、天才は、あんな成績はとらないと思うけど。」

「天才もたまにはミスするさ。」

「リク、減らず口ばかり言わないで、早く食べて、塾行きなさい。」チラリ時間を見た。遅刻だ。急ぎ口に詰め込み、慌てて、支度をした。

後ろから母さんの声「リク、顔洗った?歯磨きは?忘れ物ない?」小さい時から、僕が出かけるときには必ず母さんが言う口癖だ。

「大丈夫。行ってきます。」そしてドアが閉まる寸前に聞こえる「早く帰ってきなさい。」の声。僕は小さな子供じゃないよっと心の中で母さんに返事していた。

駅前の塾に着いた。3Fが高3の受験生選抜クラスだ。

学校と違いここには勉強を習得しようとする目的がはっきりした奴らが来る。

みんな、ライバルだ。人数がいる割に教室は静かだ。そして、学校と違う点は席だ。

前から順に埋められていく。

遅刻寸前の僕は一番後ろの席だ。カバンを床に置きノートを出す。前を見た。

「あっ!」今朝、桜の木の下にいた金色いや緑の長い髪の女子が一番前の席にいた。やばい女子だ。

授業はいつも通りに進んだ。

塾では、嫌な言い方だが、みんながライバルだ。特にみんな誰ともつるまない。

午前の授業が終わり昼休み。

僕は母さんが作った弁当を屋上のテラスで食べていた。大半は外のバーガー屋かコンビニだ。

学校はともかく、塾の弁当は、たまにはよしてほしい。親バカの愛情が注がれ過ぎた弁当は、

僕の年齢にはきつい。

「横いい?リク君。美味しいそうなお弁当。」

僕は顔を上げる。まずい。朝の変な女子だ。

「そんな、避けなくてもいいでしょ。

私の名前は月。

空の月からリク君を探しにきたのよ。

やっと見つけた。7番目の龍。」

ビューン大きな風が吹いた。



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