第2話  2番目の龍 ウラル

「なあ、ヤマト。お前は他の龍たちに会ったことはあるのか?」

「あるよ。」「えっ?会ったことあるんだな。なんだ、つまらないな。この流れで行くと、はじめて6龍を探す冒険の旅って感じなんだが。それに僕も春休み中。塾の勉強はあるけど学校じゃないし、何とかなる。それにヤマトが僕の身代わりの人形も作ってくれたし、小学生以来のワクワク感だ。冒険してみたかったんだ。」

「リク、お前はまだ子供だな。ははは。」

「でもヤマト、こうやって空を飛んでいるだろう、他の人間に見つからないのか?

例えば、ビューンっと今、横を通過していく飛行機とかさあ。」

「それはない。見つからない。空を飛ぶときは僕ら龍は雲にしか見えない。」

「雲か。そうだな、時々空に龍のような細長い雲がでてるの見たことがある。あれってヤマトだったのかな。」

「たぶんそうだ。俺様だ。リクの暮らす大地、この大陸には俺様しか、ここ数千年いないしな。それにさっき通り過ぎた飛行機のレーダーにも、もちろん映らない。だが稀に、本当に稀に飛行機の窓から見ている人間と目が合うことがある。たぶん、リクと同じく、龍と波長が合う人間だ。ほんとに稀にいるな。」

「でもさ、ヤマト、前にお前が話していた小次郎?だっけ、奴がいた時代は、今から200年ぐらい前の江戸時代には、スピードの速い走る四角い箱の車のなければ空飛ぶ飛行機なんか。なかったよな。どうやって人間と波長を合わせていたんだ?」

「いや、それがあったんだ。」

「ヤマト、からかわないでくれ。江戸時代だぞ。車もないのに何で飛行機があるんだ?」

「そうだな、さっきみたいな両サイドに鳥の羽のような形の乗り物の飛行機ではなかった。月のように丸い円盤型だった。飛行機はつい最近だな飛んでいるのは。」

ヤマトは当たり前のように今、ものすごいことを言った。僕の脳内が少し混乱した。

「なあ、ヤマト、丸い円盤はそんなに前から飛んでいたのか?」

「そうだな、俺様の記憶じゃ2000年前くらからは、飛んでる。彼らの姿はリクとは少し違う。姿形はいたってシンプルだ。」

「へえーシンプルか。それで彼らと何を話していたんだ。」

「特に何も。彼らは俺様に波長が合いそうな人間がいると教えてくれる。そして俺様は地上の波長が合う、人間を箱代わりにカラダの中に入りこみ、人間のカラダを借りて、俺様が、なすべきことをやっていた。」

「なすべきことってなんだったんだ?」

「うまいものを食べることさ。」

「えっ、ヤマトお前はやっぱり、いやしい龍だな。」

「ちがうぞ。高貴な龍だ。」

「はい。はい。じゃあ、人間のカラダを箱代わりに使って、ほんとは何をやっていたんだ。」

「人間達の声を聞いていた。今、何が流行っていて、今何が欲しいのか。最近はあまりないが、小次郎の時代ぐらいまでは良く雨を降らせてくれって声が多かったな。」

「雨か。」

「そうだ、雨だ。小次郎は土を耕し、作物を作り、できた新鮮な野菜を俺様に分けてくれてた。小次郎の作ったレタスはシャキシャキしておいしかったなあー。」

「じゃ、その意味ではヤマトは人間とギブアンドテイクだったんだな。ヤマトが雨を降らして、その雨で、できた野菜をいただく。すごいな。しかし、ヤマト、雨はどうやって降らせたんだ。人間の間では、龍は雨の神様。龍神様とか昔から言われてるけどな。」

「そうなんだ。龍と雨はセットなんだな。」「そうだ。」

「でもリク、その常識は、間違っているかも。」「えっ?」

「実際に雨を降らせていたのは円盤に乗った宇宙人さ。科学の力?とか何かで雨を地上に降らせていた。」

「なんだ、やっぱりヤマトお前は何もしない、ただの龍なんだな。怠け者め。働けヤマト。」

「僕なりに大地にいるときは、仕事してるさ。」

僕は少し意地悪で「雨も宇宙人頼み。ヤマトの仕事?たいしたことしてないんじゃないか。」

「そんなことはない。大地にいるときは大地が揺らぎ、大地の中のマグマが噴出したとしても最小限になるように地面の下で働いている。龍は基本、大地の中にいる。空でふわふわ遊んでない。」ここはヤマトもアピールしたいようで強気で言い張る。

「そうか。ヤマトも人間の僕らが見えないところで、人間を助けてくれてるんだ。ありがとうヤマト。」

「よせよ、リク。お前に褒められると、くすぐったい気持ちになるぞ。」

「そっか。それからヤマト、さっき軽くスルーしたけど丸い円盤の宇宙人は、なんで雨をふらせてくれたりするんだ。何か彼らに利益になっているのか?」

「さあな、リクの大陸も含めて6大陸、7大陸すべて彼らが造りだしたようだ。」

「えっ?何のために?」

「実験場だといってたが。」

「実験?」僕は気分が悪くなった。

ヤマトが小さく「そうだな。それに誰かに監視されていると思うと嫌だよな。」

「そうだ。しかし、たとえ僕は宇宙人がいたとしてもあまり驚かないよ。

たまにオンラインゲームで対戦中に参加してくるたぶん宇宙人らしき?参加者達がいる。彼らが参加すると必ずネットに小さな電波が走り、見たことない文字体でジーッと音と波が走る。

この音は、うまく例えることができないがこの世界以外の音の気がする。確信は無いがな。

それに彼らは基本、ゲームは弱い。

手先があまり器用でなさそうだ。」

ヤマトが「じゃ、宇宙人より俺様の方がゲームは上手かもな。」

「たぶんそうだな。」

ヤマトが飛んでいるコードを下げた。

「リク、もうすぐ着くぞ。2番目の龍がいる大陸だ。」

前方に大きな城壁みたいな山々が見える。

「リク、あれがウラルだ。2番目の龍に会いに行くぞ。」

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