🍴第六話🍴 イッツア、べりーべりー、はーど…
「ウチ、クラム・パレット・ワールドです!よろしくお願いします!」
九月初旬の今日、ウチは、声を張り上げて挨拶をした。
「シャイニー・トゥインクル・ワールドです」
「ははは、ハナ・ガーデン・ワールドでしゅ。あ、えっと、噛みました。すみません!」
ハ、ハナ…。
大丈夫?
今、ウチ達が何をしているかと言うと、レインボーミライ事務所に来ているんだ!
最初に来たときは、ひっ広いっておびえていた。
あ、ハナがおびえていただけで、ウチではないよ。
シャイニーも若干おびえいてた。
二シシ。
そして、今、目の前には、ダンスの先生!
背が高くて、ほっそりしている、男の妖精。
二十代前半に見える。
名前は、ビート・ダンス・リズム先生。
「ここが、レッスン室です」
不愛想な先生っぽい。
うまくやっていけるかなぁ。
「少し、レッスンをしてみましょう」
「えっ!?ですが、今日は見学と言う話では?」
お、さっすがシャイニー。
「社長に許可をもらっているので、心配ご無用です」
『心配ご無用です』じゃな~い!
レッスンなんてめんどくさ……じゃなくて、やる気が出・な・い~!
あ、めんどくさいも、やる気が出ないも一緒か。
「では、はじめましょうか」
えぇ~!
夜ご飯の後にかき氷を食べれるくらい暑いのに~。
あぁ、かき氷を六百杯食べたい…。
ついでに、アイスも二百個!
ジュルルルルッ。
よだれが垂れる。
「待ってビート先生!始める前に…」
「はい?」
「かき氷下さい!!」
「えっ!?」
「あ~すみません~。クラムは時々変なこと言うんですよ。気にしないで下さい」
えっ、何で?
かき氷ぃー!!!!
「クーラーム―。よだれを垂らさない。下品!」
何だと~!
よだれを垂らすという、お腹が空いたら自然に出ちゃう行為を、下品だって~っ!
シャイニーは、超小食だから、理解できないんだろう。
ご飯一杯、味噌汁一杯、魚一匹、お茶で満足する超小食姉がそんなこと言う権利は、な――い!
「じゃあビート先生、クーラーつけて!」
フッ。
今日の所はクーラーで我慢してあげるから、次のレッスンではかき氷を買って来い!
優しすぎるな、クラムよ。
「ふっふっふっ」
「は?では、始めます。お静かに」
さらば、クーラー!
チーンッ。
「今回やるのは、ロックダンスです。本気で事務所に入りたいと思っていた妖精は知っていると思います。では、まずストレッチをしましょう」
はえっ?
ロックタンス……?
鍵をかけたタンスのこと?
ウチ達は、ストレッチを始めた。
☆🍴❀☆🍴❀
――二十分後。
ウチの体に異変が起きた。
な、ななななななななんと……。
立てなくなった。
ストレッチを五分間長々とやらされ、次はダンス!
……と思いきや次は筋トレ。
それえがもう、きついきつい!!
腕立て伏せ五十回、腹筋五十回、スクワット五十回……などなど。
それを三十分えんえんと。
そして、次にダンス。
ようやく楽になれる!
訳では無かった。
全くの思い違い。
よく分からないハードなダンスをやらされて、もう、ウチ、足が鉄棒になっちゃった。
これからウチは歩く鉄棒と言われちゃう……。
ハナは床に倒れ込み、シャイニーはかろうじて飛んでいる。
ウチも足を使わないために飛んでいる。
誰か~。
助けて~。
「ウチ………いつか死んじゃう~」
「ああ……そう…うるさいっ」
「では、これでレッスンを終わります。これが一週間の予定表です。目を通しておいてください」
ビート先生から渡された紙には、呪文が書かれていた。
『ヒップホップダンス』『ジャズダンス』。
まさしく呪文!!
『発声練習』『演技』はまだ分かるけどさ……。
ウチ、最初っからこんなんで、アイドルやって行けるかな……。
とにかく、ビート先生はクビ!
ウチ、これからどうなる?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます