第11話 3姉妹
タリアという23歳の女の子を下級アンデットスケルトンから助けた努。タリアがお礼をさせて欲しいとババルス領ヒルイック街のスラムにある家へと招いた。
タリアたちは両親とは暮らしておらず3姉妹で住んでいるようでスラムに家がありそのボロボロ具合から見ても貧しい生活を送っているのはすぐに理解できた努。
「こんな家ですいません。入ってくれますか?」
そう不安そうに努を覗き込むタリア。
「・・・正直ちょっと驚いたけど・・・大丈夫。案内してくれるか」
「はい。こちらです。どうぞ」
家の扉を開けて中へ。扉を開けるとそこはすぐに部屋となっており布団で寝転んでいる高校生ほどの女の子とボロボロの本を読んでいる小学生ほどの女の子。
「ただいまミラノ、ナシル」
そうタリアが声を掛けることで布団で横になっていた女の子と本を読んでいた女の子がタリアのほうを向く。その際に当然努の存在に気が付く。
「お帰りお姉・・・ナシル!?ナシル大変大変!?お姉ちゃんが男を連れ込んだ!?」
布団で寝転んでいた女の子が三女のナシルに慌てて報告。
「・・・タリアお姉ちゃん・・・身体は売らない約束だよね?・・・」
「ごめんねお姉ちゃん・・・私のせいでお姉ちゃんにそんな選択をさせてしまって・・・」
完全に勘違いをしている2人。その様子に努は居づらそうにしタリアは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
「いい加減にしなさい!!」
そこからタリアが何があったのかを説明。2人ともなにか事情があるんだろうとは分かっており完全にからかっていたらしい。それをタリアはさすがは長女といった具合に瞬時に理解し2人を怒った。
そうして今は2人が努に自己紹介の時間。
「はい!私はミラノ・マンダインです!18歳です!お姉ちゃんをよろしくね!ゴホゴホ!?」
元気に立ち上がり自己紹介をするミラノ。しかし直後にせき込む。
「もうミラノ。無理しなくていいから。あなたは寝転んでて」
タリアがせき込むミラノを介抱しながら布団に誘導する。
「私はナシル・マンダイン。8歳です。よろしくお願いしますお兄さん」
「あ、ああ・・・よろしくナシルちゃん」
本を抱えて丁寧にお辞儀をして自己紹介する8歳のナシル。努の想像する8歳とのギャップにより若干の困惑が起こった。
「ああ!?すいません!?来てもらったのに飲み物も出さないで!?すぐに用意しますから!?」
そう慌てるタリア。しかしさすがにこんなボロボロで貧乏そうな様子を見てお世話されるのは気が引ける。故に努はタリアを呼び止める。
「ちょっと待ってくれタリア」
その努の言葉でタリアは立ち止まる。
「どうかしましたか?」
「俺に恩を返すんだったら魔法の協力をしてほしい。その方が俺はうれしい」
「・・・ですが・・・」
悩むタリア。そこにナシルが声を掛ける。
「言葉に甘えようよタリアお姉ちゃん。お兄さんが気を使って言ってくれたんだから」
努の本心が8歳のナシルにバレていた事に若干恥ずかしくなる努。
「・・・そうね・・・すいません。おもてなしできず・・・」
「それは俺が頼んだことなんだ。謝る必要はないな」
と、いうわけで努の魔法の実験に3姉妹が付き合う事に。と、いったものの努が言った魔法の実験は完全に思い付きのため実際になんの魔法の実験をするべきかを考える努。
「最初に何をするの?お兄さん?」
布団で横たわりながら努を見るミラノ。
「・・・じゃあ最初はミラノちゃんに付き合ってもらおうか・・・」
「私?」
そう言い努がミラノに近づこうとするとタリアが間に入り待ったをかける。
「待ってください!魔法の実験は私にお願いします!」
それは警戒するような目をしていた。先ほどまで努に申し訳ないように言っていたタリア。しかしタリアは家族を守るためにすべてに警戒心をむき出しとなっている。それは命を救われた努でさえも例外ではない。
「悪いな。何の説明もせずに近づいた俺が悪かった。今からミラノちゃんにする魔法の説明をしてもいいか?」
「・・・はい。お願いします・・・」
「俺がミラノちゃんに使おうとした魔法はこの魔法だ」
そう言って努は水の塊を浮かべる。その水は円状に浮いており黄緑色になっている。
「これは
「病気を?・・・それって・・・」
タリアは後ろで守っているミラノを見る。ミラノもナシルも驚きの表情となっている。
「害はない。それを証明しよう」
そう言って努は自身でその水の一部を飲んだ。
「これは怪我や病気を直すための魔法だから健康な俺が飲んでも問題ない・・・どうする?」
しかしここまで言ってもミラノに対しての魔法行使という事がタリアに踏ん切りを突かせないでいる。
「やってもらおうよお姉ちゃん!ここまでやってくれてるんだよ!悪い人って疑うのは失礼だよ!」
「・・・そうね・・・度々すいません努さん・・・ミラノをお願いします・・・」
こうして努はミラノに
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