第8話 山賊退治③
努はサーズを見たその時から魔眼を通してサーズが強い事を理解していた。それは半分とはいえ魔力を排除して魔素を使用しているため。故に他の山賊とはレベルが違う事を理解していた。
キン!キン!キン!
戦いの最中に魔法のアイデアが次々と出る程に器用では無い努。ならばとサーズの魔法を真似ることにした。
「・・・まさか俺のセイバーを使ってくるとは・・・だが所詮は素人。形を真似れようとも・・・練度が違う!」
浮かび振るわれる5つの剣とサーズが自ら振るう2つの剣。7つの剣にて努を攻撃。それに対して努は岩で5つの剣と2つの剣を作成して応戦。
しかし剣術が素人の努は5つの浮かぶ剣を操ることは出来ても、サーズのように1本1本が達人の剣のように巧みに操ることは不可能だった。
もちろん手に持つ2つの剣も素人が左右の手にそれぞれ剣を持っているに過ぎず劣勢は火を見るより明らかだった。
「だったら!数を増やす!」
努はさらに5本10本と剣を作成。手に持つ2本も浮かばせて合計22本の剣でサーズを攻撃する。
「・・・無駄な事を・・・」
いくら数を増やしたところで素人の剣を対処することなど容易いサーズ。気をつけるべきは圧倒的速度にてただ一直線に向かってくる剣のみ。
しかしそれすらも軌道を読めているサーズとしてはかすり傷すら負わない。それは直前で軌道を変えても同じことだった。
キン!キン!キン!キン!
7つの剣を巧みに操り22本の剣を捌き続けるサーズ。しかしそんなサーズを努は少し離れた位置にて目を開き注視する。瞬きもせずサーズの動きを一瞬たりとも見逃さないように。
その様子を見てなにかをしようとしているという事を感づくサーズ。
「・・・何かを企んでいようと・・・これで終わりだ!ゼブンスセイバー!」
ゼブンスセイバー。22本の剣を弾き空間の出来た隙をつきサーズは5本の剣を圧倒的速度で飛ばし2本の剣を持つサーズ自身も同等速度で努に迫る。
それはサーズの必殺の技であり速度と攻撃力がともに高くこれこそがサーズを騎士王を守る5人の騎士将軍にまで上り詰めさせた必殺の技である。
「
努が自身の身を守るため
「無駄だ!」
パリン!
努の
「・・・セイバー・・・」
ブン!ブン!
「なっ!?」
先程まで22本の剣を相手に圧倒していたサーズ。しかし今度の5本の剣の動きを見て驚きのあまりすぐに発動しようとしていたセブンスセイバーを使用せず防御に回らざる負えなかった。
キン!キン!
「バカな!?先ほどとは動きが!?」
驚いているサーズ。しかし攻撃は終わらない。
「悪いな・・・お前の動きを
再び努は2本の剣を持ちサーズに向かっていく。その動きは先ほどの素人の動きではなく剣術の達人のようなまさにサーズの動きと瓜二つだった。
キン!キン!キン!キン!
たちまち拮抗しだした両者。サーズからしてみれば今まで素人同然の動きから自身の分身と対峙しているかのような気分となり理解不可能となっていた。
「ありえない!?魔法を見て同様の魔法を放つのなら理解できる!?高レベルの魔法使いならば可能だろう!?だが!?人の動きを真似ることはどれほど魔法に精通しようとも不可能のはずだ!?何をやった!?」
「・・・そんなに動揺していて自分に勝てるのか?・・・」
努はサーズの質問には答えずに動揺により注意力散漫状態のサーズに向かって1本の剣を射出。
「こんなもの!」
キン!
射出された1本の剣を弾くサーズ。しかしそれは本命を隠すために囮。本命は4本の剣と努の2本の剣にてサーズに全速力にて迫るサーズの必殺の技の応用。
「シックスセイバー!」
セブンスセイバーは回避困難なほどの圧倒的速度によってもたらされる攻撃力を7本の剣で襲い掛かり斬りつける技。シックスセイバーはそれの6本版でありそして弱点としては速度に対応されると急停止などが出来ないために隙だらけとなりカウンターを喰らいやすいという事。
そして当然それを当人のサーズも理解していた。
「舐めるなよ!素人がああああ!!!」
キンキンキンキン!!
1本2本と剣を弾いていくサーズ。サーズは完璧に努のシックスセイバーの速度に対応しており急停止が出来ない努が斬りつけられるまで1秒も無かった。
「死ね!!!」
ザン!
背中を斬られ倒れ伏したのは、
「・・・ふざ、けるな・・・」
バタン
サーズだった。そして立っているのは努だった。
「ふう・・・なんとかなったか・・・」
努は
1本目の剣を意識から無くしたサーズは目の前の4本と努にのみ注視して死角より飛来する1本目の剣を感じ取ることが出来ず背中を斬りつけられた。
「・・・まあ、動揺してなかったら通用したか怪しいところだがな・・・」
こうして努は強さを手に入れサーズ・ノックを倒すことに成功した。
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