第6話 山賊退治①

翌日の日曜日も異世界に遊びに来た努。


「もっと魔法を使いたいんだがな・・・」


努はせっかく魔法を使えるようになったのでもっと魔法を使いたいと思っていた。


「・・・やっぱりアンデットを探しに行くしかないか・・・」


アンデットの出る危険な世界なので戦闘訓練もかねてアンデット討伐をエールを飲みながら考えている努。そんな時に噂話を耳にした。


「また駄目だったみたいだぞ」

「またかよ。メルト領の軍隊も結構な強さがあるはずにな」

「単純に山賊の方が強いってことだろうな」


努の耳にそう言った話が聞こえてくる。その話に耳を傾けているとどうやらこのメルト領に山賊がいて王都とメルト領都を繋ぐ道を通る馬車を襲撃しているらしい。当然メルト領主が所有する軍隊で討伐に向かったものの討伐失敗に終わったようだ。


しかもそれは初めての事ではなく3回目の失敗。さすがに手に負えないと感じたメルト領主が国に助けを求めて騎士団長の派遣が決定したらしい。王都の騎士団長は相当な強さがある様で噂を話していた2人が騎士団長の派遣に安心したような口ぶりをしていた。


「・・・山賊か・・・でもいきなり対人戦はな・・・だが、いつかは対人戦も起こりそうか・・・行ってみるか。危険なら転移で逃げることも出来るしな・・・」


というわけで努は山賊と出会うためにそれとなく山賊の出没する場所を聞きそこに向かった。


歩くこと十数分。歩きだと遠いという事で身体を強化して走ってやってきた努。


「でも、山賊は馬車を襲うって話だが・・・俺みたいなおっさんも襲うのか?」


もし襲われなければ探さなければいけない。そう努が考えている時に努の行方を阻むようにして山賊が2人現れた。


「よう、おっさん。ちょっと待ちな。殺されたくなかったら金目のもんを置いてくんだな」

「おいおいマジでやんのかよ。かしらにバレれば斬り刻まれんぞ?」

「大丈夫だよ。頭は滅多にアジトには滅多に来ねえんだ。バレやしねえよ。ってわけでよ。知ってんだろ?俺たちの事?死にてえか?んん?」


本当に山賊が現れた。どうやら山賊たちが襲うのは通常は馬車のみのようだが努の目の前の山賊は小銭欲しさに1人で歩いていたおっさんで強くなさそうな努をカモと定めお金を脅し取ろうとしているらしい。


「・・・あんまり怖くないもんだな・・・これも魔眼が関係してるのか?・・・」


ぶつぶつと小声で喋っている努にしびれを切らした山賊が襲い掛かる。


「おいおっさん!なにをぶつぶつと言ってやがんだ!金を出さねえんだったら直接怖さを感じさせてやるよ!」


山賊の1人は腰に差す剣を持って努に襲い掛かろうとする。その速度はさすが軍隊を追い返している山賊だけあり普通の人間の速度ではなかった。


「腕貰うぜ!」


ブン!


振り下ろされる剣に対して努は下がらずに距離を詰めることを選択。そして強化された身体能力で殴った。


ドン!


「ガハッ!?」


努の一撃に崩れ落ちる山賊。


「おっさんを馬鹿にすんじゃねえぞ・・・おっさんにはいろいろな過去があるもんだ・・・」


努は学生時代などは結構なヤンチャをしていたので喧嘩には慣れていた。


「・・・もう1人は逃げたのか・・・」


努はもう1人いた山賊がいないことを確認した。


「それにしてもやっぱりこの山賊もだったな」


山賊は自身に身体強化の魔法を使っていたのであれほどの走力を発揮していた。しかしその時に使われていたのは魔素ではなく魔力だったのを努は魔眼にて確認している。


「・・・あの感じだとなんとかなりそうだが・・・」


とりあえず努は山賊のアジトを探すために飛行フライにて飛んで森の上を探すこととした。

*****

一方逃げた山賊はアジトの洞窟の中にいた。


「頭!?頭大変だ!?」


逃げた山賊が頭と言った男は虎の毛皮を被った男。彼の周囲には5つの剣が刺さっており腰には2本が刺さっている。


「・・・どうした・・・」

「ヤスが!?ヤスがやられちまった!?」

「・・・なに?・・・説明しろ・・・」


そこから山賊は頭に説明する。


「・・・つまりお前らは俺のルールを破った挙句にたった一人の男に負けたってわけか・・・」

「い・・・いや・・・それは・・・」


頭に恐怖している山賊の男は額から汗を流し顔も強張る。周囲にいる他の山賊もこれから起こるだろう光景を予感して恐怖により震えている。


「・・・俺は誰だ・・・」

「「「サーズ・ノック!!俺たちの頭です!!」」」

「・・・俺が定めたルールを破る者・・・それはどういう奴だ・・・」

「「「頭に逆らう裏切り者です!!」」」

「・・・裏切り者が出たらどうする・・・」

「「「裏切り者には死を!!裏切り者には死を!!裏切り者には死を!!」」」


その光景を見てたまらず報告に来た山賊は逃げ出した。


「ひいいいいい!?」


全力での身体強化により逃げようとした1人の山賊。


「・・・裏切り者には死を・・・」


逃げる山賊に手の平を向けると地面に刺さっていた1本の剣が浮かび上がり逃げる山賊よりも圧倒的に速い速度にて山賊の元まで到着し首を切断した。


ザシュ!


コロコロ


「・・・俺に逆らう奴は・・・殺す・・・」


サーズ・ノック。元ライオット騎士国にて騎士たちのトップであり国をまとめる者である騎士王を支えるたった5人のみが成れる騎士将軍にまで上り詰めた世界的な強者。

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