15, 楽しくない
俺は武器の調達を終えるとさっそく化学準備室を出る。
ポケットに懐中電灯を入れようとした時、誤って落としてしまい、机の下に転がっていってしまった。
「おっと。」
机の下を覗き込むとなんとクラスの神城 結菜が座って隠れているではないか。
(こいつ…確か田島にいじめられてる奴だな。しかし…結構腕細いな…。簡単に折れそうだしズタズタに切りつけたらどんな表情するんだろう…)
「あの〜…?これ落としたの、どうぞ。」
そんなことを考えていると神城が声をかけてきた。
「おう、サンキュー。」
「何かたくさん持ってるみたいだけど…
どこかに行くの?」
「あぁ、ちょっとあのぬいぐるみをやっつけに行こうかなと思って。」
(本当はクラスメイトを殺しに行くなんて言えねぇもんな…)
「そうなんだ。斎藤くんってすごいね。
綾香とひかるの遺体を袋から出した時も全然動じてなかったし、怖いものがないのって…
ちょっと羨ましいかも。」
「そう言う神城も俺にビビらないんだな。大体のやつは俺のこと怖がって話しかけてこないのに。」
「そうかな?まぁ普段からいじめられてるし、メンタル強いのかも笑」
神城の少し哀しそうな笑顔を見たら何故か殺してみたい気持ちが薄れていった。
同情…?
いや、違う。
もし、今俺がコイツのことを殺そうとしても
きっと “生“ にしがみつかないからだ。
悔いは残るけどいつ死んでもいい。
そんな顔してる。
「はぁ〜。神城、お前といても楽しくないわ。
んじゃ、俺行くから。」
「うん、捕まらないよう気をつけて。」
俺は神城と別れるとすぐ化学室を出た。
(さてと、気を取り直して楽しみますか。)
俺は口笛を吹きながら獲物を探しに行くのだった。
スプーキードール 細谷 幸叶 @BKW881
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。スプーキードールの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます