1章 7話呪い 1
「疲れた」
朝少し寝過ぎてしまったせいで遅刻気味になってしまったので、走って学校まで来た。
おかげで朝からかなり体力を持ってかれてしまった。
ガラガラ
教室に入ると、そこには、昨日と変わらない景色。夜野に話しかける人達、そしてそいつらに塩対応で対応する彼女。
(相変わらず懲りないな)
そんなことを思いながら自分の席に向かうとすると、
「おはよう天乃くん」
「ん?おはよう」
夜野が挨拶してきたのだ。いきなりだったので少し驚いてしまったが普通に返せた。だがその行動に対してクラス中が一瞬にして、静かになった。
「なんで夜野さん、あいつに挨拶してるの?」
「夜野さんと天乃って接点あったっけ?」
やはりと言うべきか、コソコソと周りが噂し始めた。
(ちょっとめんどくさいことになったな〜)
そして1人の男子が彼女に対して、質問した。
そいつはクラス内でも人気のある、渡辺薫だった。
「夜野さん、どうして彼に挨拶してるの?
彼はクラス1番根暗な奴なんだよ」
「そんなこと、あなたには関係ないでしょう」
そう彼女が言うと彼はある事を口にした。
「それに彼は悪い噂があるんだ、中学時代に同級生の1人を殴って、ひどい怪我を負わせた。
そんな奴と関わるべきじゃないよ。」
その言葉に対し僕は少し固まった。
なぜならそれは僕のトラウマを思い出させる言葉だったからだ。
「お前が悪い」
その言葉を思い出すだけで、嫌気がさす。
(これを聞けば夜野はきっと来なくなるだろうな)
ただ図書室で偶然会って話して、そんなたった
2日関わっただけなのに。
また人間関係が壊れてると思うと、
(ちょっとだけ寂しいな)
そんな感情が湧き出てくる。だけど夜野は、
「2回目ですが、あなたには関係ないです。
それに人のことをそんな風に言って、たかが噂を信じてしまう人の方が、私は関わりたくありません。」
こんなことを言ってくれた。その姿が少しだけあの子に似ていて、思わず見惚れてしまった。
「で、でも!」
「これ以上私に関わらないでください」
渡辺が何か言おうとしていたが、彼女がそう言うと、口を閉ざし逃げるように離れていった。
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