第59話 超・常・決・戦 1
ご存知の通り、
ずばり『一定値以上の魔力濃度』と『
人口密度の高い都市部は人々の感情が溢れやすく、そのため
事実、確かに地方の……言ってしまえば田舎のほうなんかは、全く『現れない』とまでは言わないにしても、
つまりは極論、『ヒトが居ない場所には
今回はあくまでも『魔力濃度』が桁違いに高かったという理由があったにせよ……先の『
ディンほどではないとはいえ、揚星艇の観測機器と完全同期できるスーの観測によって得られたデータだ。信憑性はかなりのものだろう。
しかしながら……そこへきて今回のレベルⅦ、超例外的存在型
さすがにこんな事態、私達の誰ひとりとして予想だにしていなかった。急ぎディンと合流し、可能な範囲での観測と状況把握を行ったところ……どういう手品かは理解することができた。
鍵となるのは、集束深度レベルⅥによる魔力の変質……
そもそもあの『
……まぁ、ともあれ。
現出してしまった『
未知の物質の影響であるというのなら、もはや『そういうものなのか』と割り切って諦めるしかないだろう。
この宇宙を構成する全物質のうち、半分以上は我々にとって未知の物質、未知のエネルギーなのだ。何が起ころうがもはや受け容れるしかない。
確かなことは、こうして超ド級の
数多の命と鉄の兵器を呑み込んだ、禍々しい災厄の記憶……それを打ち砕かない限り、ヒトビトに未来は無い。
「……厄介だな。減衰率が高すぎる」
『申し訳ございません……かあさま』
「いや、気にするな。スーが謝るようなことじゃない」
「かあさま、かあさま。敵性個体の防御力場は強固につき、ワタシの【プロスペクター】、役立たずのプープーです。困ります」
「やっぱ防護の内側に潜り込むしかないかぁ……とはいってもなぁ……」
見上げるほどに巨大な鉄屑の半身『
先程までの『
歪み
有効射程こそさほど長くはないだろうが、しかし単純に手数が多過ぎる。当たりどころによってはこちらの防御力場でも余波を防ぎきれず、逃げ道を塞がれれば大回りの回避を余儀なくされる。
そうして動きが止まったところに降り掛かるのは、致死性の極めて高い攻撃の数々。
重厚かつ巨大な腕が轟音とともに振るわれ、無数に蠢く歪な触手じみた端末が暴れ回り、その尖端からは低出力ながら例の光線砲を迸らせ……また巨体の各所には、恐らくは実体弾であろう大口径砲が睨みを利かせている。
勿論、たかだか数発や十数発を受けたところで、私達の活動には然程の影響は無い。
仮に表層
……が、
私の愛娘達、ディンやスーがその
そして恐らくは……ディンやスーも、同じ心境を抱くことだろう。私とてこの子達の
中近距離での迎撃手段の数々にもほとほと嫌気が差すが、何よりも厄介なのが例の防御力場だ。
私やディンの通常射撃兵装はほぼ無効化、スーによる艦砲射撃さえその威力を大いに減衰され、屑鉄を纏った本体には爪痕程の損傷しか与えられていない。
揚星艇搭載の攻城兵器、対硬質物用遠隔崩壊照射砲でさえも……どうやら敵の力場によって焦点が定まらないようで、目に見える効果は得られていない。
……これまで私達が、ここぞというときの艦砲射撃、ないしは荷電粒子砲に頼ってきたことに対して
奴らに学習能力があるとは考えたくないが、現状は見事に対策を張られている。
とはいえ、防御手段の殆どを例の力場に依存しているわけであって……あの防御の内側に飛び込んでしまえば、こちらの攻撃もその殆どが有効だ。
ただ例によって問題なのは……こちらの攻撃が通るようになる距離とは、それ即ち奴の苛烈な迎撃範囲の真っ只中というわけなのだが。
だがそれでも、効果はある。
確かに危険ではあるが……こちらからの攻撃も通る以上、勝算はあるのだ。
「やるしかねェよな。……スー、そして……ディンは、後方で――」
「や!!」「……やー」
「えっ? いや、ちょ」
「かあさまの【サーベイヤー】、さっきの
「プ…………」
あの馬鹿デカい『
とはいえ勿論、最大火力たる口腔内光線砲の射程と威力は脅威であるし、今このときも遠隔攻撃用の子機をぱらぱらと産み落としているようではあるが……一定の距離を隔てていれば、こうして作戦会議を繰り広げる程度には余裕がある。
だからこそ、こうして
……いや、私の心は無事じゃないが。泣いてないが。
『……かあさまニグは、中近距離レンジにおける戦闘経験に乏しいワタシ、およびディンの損傷を危惧しているものと推測致します。……が、それらはワタシおよびディンにも当て嵌まる思考プロセスであると提言致します』
「スーに同意します! かあさまがワタシたちを心配する、嬉しいです。しかしワタシたちも、かあさまの損傷はやーなので、同じ気持ちです!」
『肯定します。仮に深刻な損傷および機体の全損に至ったとして、当該戦闘区域での通信強度はハイパフォーマンスを維持しております。
「ワタシも安心と証言します! でもワタシとスーがそうはさせないので、もっと安心です!」
「…………ありがとうな」
「んゥ!」「……んっ」
そうだな。確かに……私達は
勿論、損傷や全損を前提に動いたりはしない。私やこの子たちの心の平穏を保つためにも、真っ当に生き残り勝利するのが望ましい。それは確かだ。
だが……私達には
それぞれ中近距離用の機装を構え、どこか自慢げなふてぶてしい表情を浮かべる二人に、若干の苦笑を溢しつつ。
ヒトの軛から外れた私達は……私達にしか出来ないことを成すべく、行動を開始した。
遥か地底深く、私達の思考など及びもつかない領域、上位種族によって巡らされる思惑など……終ぞ気付くことの無いままに。
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★ よくわかる!
未確認物質
【D-ARKエネルギー】分類(一部抜粋)
■Λ型
生命体の『感情』や『想い』に強く影響される未確認(※ヒトにとって)のエネルギー。
魔法少女らの用いる『魔法』の主たるエネルギー源であり、一般的には『魔力』と呼ばれる。
たまに勝手に集束して
■Γ型
Λ型の変異体。
生命体の『記憶』や『未練』に強く影響される未確認(※ヒトにとって)のエネルギー。
集束したΛ型に干渉するとヤベェ
なおΛとかΓとか、そもそも『D-ARK』とか呼んでるのは【イノセント・アルファ】一味だけ。
超ローカルな方言なので、大事なお話の場面とかではTPOを弁える必要があるね。
※ 後日シレッと記載内容変わってる可能性があります。
※ 作者のひと細かく設定練ってないと思うよ(真顔)
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