吸血鬼ユウキリスの誕生 その6
「この町は案外広いな。普通に考えて、あの保安官一人で秩序保てたのすごいよな。」
ジョーロは相棒のジャムに話しかけた。ジャムは深くため息を吐いた。
「その分、人間が弱くて、狩り甲斐がない。……ここからは二手に別れよう。我は東、お前は西だ。」
「了解。」
そう言って二人は別れた。
ジョーロはもう少しで町の外れまで来た時だった。
「しっかし、ここも通ったよな? でもジャバウォッキーの気配はゼロだ。隅々まで暴れて手掛かりなしってのはどういうことだろうな。…ん?」
突然地面が揺れ始めた。
「ざあ、ぐあ、うぉい!」
スポッとジョーロは地に尻をつけてしまった。
「体幹のいいこの俺が⁉︎」
「よぉ、人狼のジョーロ君。」
ガウボーイハットが似合う倒したはずの男が目の前に立っていた。
「ブレイ! てめえ、のもごごごご!」
(口が開かねえ! …! あいつだ! あいつ右手の人差し指と親指を抑えてやがる! それが仕掛けの条件ってか?)
「しーっ。」
ブレイは空いた左手の人差し指を自分の口に近づけた。
「相棒が来ちまうじゃねーか。お前ら二人を同時に相手するほど自惚れちゃいないよ。」
ブレイは淡々とジョーロに近づいた。
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