第36話 即、手術。怪我を認めない、恐ろしいJ事課のやり方。

そうだ、でも、まだ正式な診断名の診断書を他の先生からもらっていない。

もらわなければ。

Kず整形外科のH谷川医師に、「整形外科医としては、もうこれ以上できない。」と言われた。

整形外科医が整形外科の仕事がもうできないというのはどういうことだろう。

H谷川医師は、それだけの医者の技量だった。

ネットで調べた良いお医者さんというのは、信じられない。

Kず整形外科クリニックは、5段階で4.2とかだった。

ちょっと低い理由は、「(良い先生だからか?)待ち時間が長い。」というのが理由だった。

決して、ぬんのように「診療ミスがあった。」とか、「もう診察できないと言われた。」ではなかった。

Kず整形外科クリニックでは、ぬんが間違われた傷病名の「変形性膝関節症」のおばあさんやおじいさんで、人工関節などや骨切術などの手術ができない人のマッサージや電気を当てたりということだけやっていればいいんだ。

こういう出来損ないの医師もいる。

今、ぬんに「Kず整形外科クリニック、行ってみようかと思っているんだけど・・・」と知人に言われたら、「ぜっっ~たい!!やめた方がいい。治るどころか悪くされるよ。」と言うだろう。

こんなろくに整形外科の診察ができない(MRIの見方も知らない)整形外科医に知り合いに紹介したくない。

死に至る病気だったら、知り合いを見殺しにすることになってしまう。


そんなダメな医師で、無駄な1年間を過ごした。

ぬんは、違う整形外科に行くことにした。

膝を早く治さなければならない。

通勤災害なんかで、片足が不自由で一生杖を突いて歩かなければならない体には、ではなりたくない。

これ以上、勤務先の県庁の質の悪い職員が原因で、悪い体になることはできない。


怪我をして2か月、違う方向性の治療、ヒアルロン酸注入の治療をされてほぼ1年。

切れている筋に、ヒアルロン酸を打って、治るのだろうか?

前十字靭帯の切れた靭帯が、膝を滑らかにする薬で治るだろうか、聞いたことがない手法だ。

一体、ぬんの怪我をした左膝の中はどうなっているのだろう。

自分的には、左膝の状態は、とても悪い。

階段を降りる時は、1歩1歩、歩かないと膝滑りが起こり、膝がガクッと折れ曲がってしまう。

普通に歩いていても、踏み出した瞬間はやはり同様にガクッと折れ曲がる。

転びそうになる。

ダメな医師のH谷川先生でももっと他にやる方法はあっただろう。

自分で治療できないなら、せめて他の先生を紹介してほしかった。

そして、おまけにぬんに不利になるように、余計な診断記録をJ事課に書いてしまって。

この人、ぬんの足が不自由になったことをどう責任取ってくれるんだ。


すがる思いでいろいろな人に優秀な整形外科を探した。

母の知り合いの整形外科の先生で、優秀な先生がいるとのことで、K崎クリニック(現、Y浜石心会病院)のH医師(現、院長)に診てもらうことになった。

怪我してからだいぶ経っているので、H医師はMRI撮影も急いだ。

3日で結果を出したらしく、すぐに「霧野さん、今日、来院できますか?」とK崎クリニックから電話が来た。

H医師は画像を見てすぐに、

「『左膝前十字靭帯損傷』ですね。MRI画像を見れば、整形外科医なら誰でもわかりますけどね。クリニックで手術が出来ないなら、「早急に手術希望」で手術ができる病院に回してほしかったな。それに、靭帯という骨を守る筋を怪我して1年経っているから、骨が曲がってきています。ですから、残念ながら『変形性膝関節症』も発症してしまっています。こちらも「骨切術」を手術したほうがいいと思います。1年前に判断してくれてれば『左膝前十字靭帯損傷』の手術だけで済んだのにね。とにかく急がないと後遺症が残るので、早く手術しましょう。」とのことだった。

やっと、やっと、傷病名ほか現状をきちんと説明してくれた。

やっぱり「前十字靭帯損傷」だったんじゃないの。

MRI画像を見れば、整形外科医なら誰でもわかったんじゃないの?

やぶ医者!

H谷川医師は、はっきり言って、いわゆるやぶ医者だった。。

ここまでひどいやぶ医者って、本当にいるんだ。

何なの、毎回診察に3時間待たされて、1分の診察で、挙句の果て高いヒアルロン酸注射を打って、光を当てたり、マッサージして、治療費を毎回数千円ずつ取られて、治るどころか悪くなる一方。

数万円の装具も買わされて。

でも、膝滑りするから、どこへ行くにも膝に重い装具をつけて歩かなければならなかった。

最初から、K崎クリニック(現、Y浜石心会病院)のH医師(現、院長)に診てもらえばよかった。

そうしたら、全く問題なく「通勤災害(公務災害)」だったのに!!


H医師に傷病名を告げられた時、ぬんは傷病名が分かって嬉しかった半面、ただひたすら悔しかった。

嬉しかったのは、最初からH谷川医師が整形外科医としてわからなかった傷病名、それをいとも簡単にすっきりと説明してくれたのだ。

手術も早くしなければならないこともわかった。

ここで、医師を変えなければならないことが分かったからだ。

変えることなく、ずっと「Kず整形外科クリニック」に通っていたら、間違えなく、足は後遺症が残り、一生、杖生活だっただろう。

下手すれば、これからの人生を変えるもっとひどい不自由な体になっていたかもしれない。

悔しかったのは、最初からこの正式な傷病名がわかっていれば、例え障害があるぬんの怪我でも、J事課の杉尾さんは、公務災害として認めざるを得なかったのではないだろうということだ。


ぬんは、Kず整形外科クリニックのH谷川医師に手紙を書いた。

「あなたが公務災害の診断書に書いた「左膝前十字靭帯損傷の疑い」の「疑い」をつけた診断名のせいで、私はJ事課から不当な扱いを被りました。すべてH谷川先生の診断ミスです。整形外科医としてMRIを見て正しい診断をしてくれれば、こんなことは起きなかったでしょう。医師として診断ができないなら、先生より優秀なきちんと診断できる方を紹介してくれればよかったのに。」

それが私のH谷川医師への本心だった。


そして、受付にその手紙を「H谷川先生にお渡しください。」というとともに、Kず整形外科クリニックの今まで公務災害と言って支払っていなかった治療費十数万を支払った。

受付の人は、「公務災害ではなかったのですか?」と聞いてきた。

こんないい加減な整形外科医がやっているクリニックの受付に対し、何を話しても無駄だと思ったが、一応一言、「H谷川先生が書いたいい加減な診断名のために、公務災害ではなくなりました。診断は、間違えないでほしいものです。労働災害も診察します、と入口に書いている以上、労働災害の診断書が来たからと言って、急に臆病になって、会社側の味方になられては困ります。そのせいで私は会社から不利益を被っったか、あなたにはわかりますか。」と言った。

受付の人はムッとし、待合室にいた数人の人は「えっ」という顔をしたが、ぬんは、毅然とした態度で、受付の人の目を見て話した。

1年間、ぬんの通勤災害にとって無駄な時間を過ごしてしまった。


そして、ぬんは、新しいK崎クリニックのH医師の元で、すぐに手術に同意した。

そして、診断名が確定したということを知らせるために、J事課の杉尾さんに電話した。

でも、杉尾さんの対応は、冷たいものであった。

「あ、霧野さん。霧野さんの怪我の話ですか?もう、終わったことですよね。公務災害ではなかった。それだけですよね。」

「あ、でも、杉尾さんに言われた通り、N本大学病院やM浦駅前整骨院には、きちんと証明してもらったし、新しい整形外科の先生からは「左膝前十字靭帯損傷」という診断書も出してもらったし、公務災害に認定してもらうには、私には何の落ち度もありませんが。」

「今更、もう遅いのですよ。J事課ではもう「公務災害ではない」と判断したわけですから。」

「でも、杉尾さんが公務災害にならない理由を話し、それを正せば、『公務災害』として認めるって言いましたよね。」

「あれ、そうでしたっけ?」

何、この人、J事課のくせに職務で嘘をついた。

ぬんが、障害者なので、そこを突いてきた。

「霧野さんの膝ですが、霧野さんは、N本大学病院にもM浦駅前整骨院にも通院したわけですから、元からのその持病のせいかもしれないし。」

「違いますよ。高校生に足を引っかけられて転んだことが原因で、『左膝前十字靭帯損傷』になったのです。そうH先生も言っているし、そこにある診断書にも書いてありますよね。」

「霧野さん、もう平行線です。「公務災害にあたらない」というJ事課に対し、請求を提出してください。」

「もちろん出します。杉尾さんの話は矛盾があります。」

「ご勝手に。どうぞ。」


この後も、地方公務員災害補償基金神奈川県支部(以下、J事課)に、書類を提出したが、最初に杉尾さんが作成した書類が生かされ、その後、ぬんがN本大学病院やM浦駅前整骨院から提出された「変形性膝関節症」ではない旨の書類やK崎クリニックのH医師の診断した結果の診断書は生かされることはなかった。


真実であるH医師の診断書を提出したのに、J事課はそれを認めず、ろくに診断ができず、いい加減な「左膝前十字靭帯損傷の疑い」と書いたH谷川医師の診断を信じた。

いや、信じたわけではなく、J事課に都合が良かったから、H谷川医師の診断を推し切ったのだ。

H谷川医師の診断だと、「公務災害にならない」ので、組織としても責任を取らなくていいので、K奈川県庁が世間的にも体裁がいい、ということに使えるからだ。

結局、ぬんが一生懸命頑張って、証明した真実を生かさず、J事課に都合がいい嘘で固めた話、H谷川医師のいい加減な診断を優先したのである。


人事課の杉尾さんの手柄にもなった。

J事課で手柄を上げれば、上向きの道が用意されている。

嫌らしい、県庁で偉くなっても、トップには絶対なれない。

それに、一番偉くなったとしても副トップ。

でも、その妻は、所詮、仕事中にポケモンGOをやるようなS業流通課の課長だ。

それでも、杉尾さんは偉くなりたいのだ。

それだから、根性を入れて、公務災害にはさせない。

それが、J事課には、都合がいい。


J事課も、治療に長期間かかり、そのことからお金がかかる職員は、何かしら因縁をつけ、「公務災害」を否定する。

勤務中に怪我をした職員の体の足が不自由になろうと、知ったことではないわけである。

職員を障害者にすることより、組織の体裁や保証金の支払いの方を重視するのだ。

それに、こちらは障害者である。

障害者の障害を重くさせても大した問題でないのだ。

障害者ハラスメントを率先して行う怖い組織である。

県庁に指導を受けている一般企業に勤めている人にもぜひ知って読んでもらいたい。



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