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「よっしゃ、食え!」

 食卓で大声を出す男の名は、トゥルボ・カック。書記係任命官。つまり、テイラの上司である。

「ありがとうございます」

「あの、俺まで誘ってもらって大変申し訳ないです……」

「いやいや、新人の護衛は大変だったろうからなあ! 人間相手もあったようだし」

「書いてあったなら、そうですね」

「ははは、そういうことだ」

 俺には、テイラがどこまでを書いたのかはわからない。そして、彼女が書いたことが真実になる。

「テイラは、仕事を終えられましたね」

「そうだな」

「え、なんでそんなにしんみりと?」

 うなずき合う二人に、テイラは理由がわかっていないようだった。

「テイラ君。多くの書記係は、最初の仕事を完結できない。討伐の途中であきらめる奴。討たれるやつ。帰ってきたら報告前に辞めてしまうやつ。俺もアウレスも、そういうのをいっぱい見てきている」

「私が辞めるわけないじゃないですか。いずれ中央の昇格試験受けるんですから」

「そうだな。君は頑張る奴だ」

 トゥルボは、書記係が無事仕事を終えるといつもうれしそうだ。そしてだからこそ、初めての仕事は楽なものが選ばれたのだろう。ベルクフリート攻略だったら、全滅していた可能性だってある。

 屋根があって食事がある。つかの間の幸せを、存分にかみしめる。

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