第2話 入学式編②
俺がこれから通う高校の名前は私立白樹学園。
真っ白な制服がトレードマークで、数々の著名人を輩出していることで全国的に有名な高校だった。
「一緒の学校に通うのは初だな」
「そうだね」
「楽しみだな」
「うん」
初めての愛理との学校生活も楽しみだが、これから出会うヒロイン候補たちとの学校生活も楽しみだった。
白樹学園は数々の著名人を輩出しているから、きっと美人がたくさんいるはずだ。
モデル、アイドル、女優、歌手、等々。
俺が知っているだけでも白樹学園の卒業生で各業界でトップを走っている人たちがたくさんいる。
「や、やめてください!」
まったりと歩いていると少し前の方にあるコンビニのところから悲鳴が聞こえてきた。
(早速来たか)
こっちの世界ではどうかと思っていたが、どうやらこっちの世界でも俺の体質は変わっていないみたいだった。
向こうの世界で主人公をしていた俺にはある体質が備わっていた。
それはヒロイン候補となる女性達が困っている場面に出くわすというものだった。
向こうの世界でもこの体質のおかげで、ヒロイン候補となる女性たちが困っている場面に出くわし、それを見事に解決して好感度を上げていきハーレムを作ることができた。
(まさかこの体質まで残っていたとは)
この一カ月間、それらしきことが何もなかったからてっきり無くなっているものだと思っていたがどうやら残っていたようだ。
(さて、考えるでもなく助ける一択だよな)
とはいえ、状況把握をしなくてはならない。
どんな状況なのか分からないことには助けようがない。
俺たちはただの通学中の生徒を装ってコンビニの付近まで歩いた。
コンビニ付近まで到着して、俺はどんな状況になっているのか理解した。
白樹学園の制服を着た女子生徒に缶ビールを右手に持ったおじさんが言い寄っていた。
その女子生徒は紛れもなくヒロイン候補だった。
なぜならおじさんに言い寄られていた女性生徒はラブコメ小説に出てくるような超絶美少女だったからだ。
黒髪のストレートヘア、天使のように可愛らしい顔、小柄だがこの距離でも分かるほど大きなおっぱい、ラブコメ小説に登場していたらまず間違えなくヒロインの一人になるほどその女子高生は可愛かった。
「いいじゃねぇか〜。おじさんと遊んでくれよ〜」
〈エロい体してるな〜。その大きなおっぱい揉みてぇ~。ひっく〉
〈よ、陽子ちゃん。早く戻ってきてください〉
俺は二人に対して『読心術』のスキルを使った。
どうやら白樹学園の制服を着た女子生徒は陽子という友達が戻って来るのを待っているらしい。
「なぁ、いいだろう~?」
「い、嫌です! お、お店の人呼びますよ!」
「それはおじさん困っちゃうな~。でも、無理だよね? おじさん分かってるよ。足震えてるの」
そう言って酔っ払いは俺のヒロイン候補の腕を掴もうと手を伸ばした。
〈い、いや……逃げたいのに怖くて逃げれない〉
「愛理。俺、ちょっと行ってくるわ。少ししたら警察を呼んだふりして来てくれないか?」
「わ、分かった」
俺は愛理にそう言ってヒロイン候補の元に向かった。
「おじさん。そこまでにしといた方がいいぜ。警察に捕まりたくなかったらな」
「あっ? なんだお前! 俺の邪魔してんじゃねぇよ!」
「酒くさ」
顔は真っ赤だし、酒臭いし、完全に厄介な酔っ払いおじさんだった。
(こんな大人にはなりたくないよな)
お酒は飲んでも呑まれるなってよく言うしな。
「そこど……」
「あ、天斗。警察呼んだよ」
「お、サンキュ。だってよ。どうする?」
「ちっ、くそ!」
酔っ払いのおじさんは大きな舌打ちをすると俺のことを睨みつけながら缶ビールをぐびっと飲むとドカドカと歩いて行った。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。助けていただいてありがとうございました」
「どういたしまして。同じ学校の人ですから助けるに決まってますよ」
「あ、本当ですね。今、気が付きました」
「とりあえず、無事そうならよかったです」
俺はヒロイン候補の女子生徒に『好感度』のスキルを発動させた。
ヒロイン候補の女子生徒の俺への好感度は60だった。
「愛理。ありがとな」
「ううん。あれでよかったの?」
「あぁ、あの酔っ払いのおじさんも信じてどっか行ってくれたしな」
「なら、よかった」
愛理は嬉しそうに微笑んだ。
『読心術』のスキルを使わなくて愛理がどんなことを思っているのか手に取るように分かる。
「じゃあ、俺たちはこれで失礼しますね」
「あ、待ってください。後日お礼をしたいのでお二人のお名前と学年を教えてもらえないいでしょうか?」
「
「
「そうなのですね。ということは同い年ですね。私も今日から白樹学園の生徒になるので」
「そうなのか」
ヒロイン候補の女子生徒が同い年と分かった俺は早速口調を崩した。
「はい。あ、私の自己紹介がまだでしたね。私は
「こちらこそよろしくな」
「よろしくお願いします」
「もしかしたら同じクラスになるかもな」
「かもしれませんね」
「じゃあ、また学校で」
「はい。また学校で」
ファーストコンタクトとしては上々。
待ち人がいるみたいだし、これ以上の長居はやめておくことにした。
☆☆☆
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