第11話 オオカミ、リベンジをする
〈ノーラ視点〉
なんで?なんでここにいるの?だって冒険者さんは奥に行かなきゃいないって言ってたのに!
薬草を摘みにやって来たら、噂のオークが私の前に現れた。
ハンスさんもやられたって言っていた異常個体。奥にいるはずじゃなかったの?疑問が湧いてくるがオークはそんなことをお構いなしに私に襲いかかろうとしたその時、後ろの方から強烈な悪寒がやって来た。
オークも感じたようで、私の後ろの方を向いた。私も気になってしまい、逃げる前に後ろを振り向いた。いや、振り向いてしまった。
オークみたいに大きくはなく、大きさは一般のよりも一回り小さいくらいのオオカミだった。しかし、私にはそれが余計に恐ろしく思えた。
あんなに小さいのに、私にはオークと同じぐらいの圧力があのオオカミから感じられた。オオカミはこちらを睨んでおり、私は終わったと思った。
オオカミはこちらに向かって走ってきた。まずい、やられる!
私は思わず目を瞑った
……?
しばらく身構えていたが、予想していた衝撃はいつまで経ってもやって来なかった。
恐る恐る目を見開いたが、オオカミは私ではなく、オークに襲いかかっていた。
え?私はわけが分からず、その光景を見ているしかなかった。
〈ナディー視点〉
俺は〈威圧〉を発動させてオークに攻撃を始めた。
【威圧】
【レベルに応じたプレッシャーを相手にぶつける。与えるプレッシャーはステータスなども影響する。相手が格下の場合、服従させる可能性がある。】
俺の【威圧】のスキルレベルは3だ。
どうにかオークに俺のことを意識させることができたようで、人間の女の子を襲う手前だったところで止めることができた。
怯える様子がないことから俺と同等か、それ以上なのが確定してしまった。
【危機感知】でとてつもなく警報が鳴っている時点で当たり前なのだが、淡い幻想が砕かれてしまった。
しかし、不意打ちを潰してしまったのは痛いな……
あの子を助けるためとはいえ、オークに俺の存在を知らせてしまったことにより、フルスピードで突っ込んだが、受け止められてしまった。
ダメージを与えることはできたが、微々たるもので急所にぶつけられればしっかりとダメージを与えられるだろうが、向こうもそれを警戒しているらしく、簡単には受けてくれないだろう。
オークは俺の攻撃を受け止めていない空いた方の腕で俺に殴りかかってきた。
俺は逃げようとするが、オークは受け止めていた腕に力を入れており、攻撃のために食い込ませた爪がうまく抜けず、攻撃をもろに喰らってしまった。
『ガハッッ!』
オークの攻撃はかなり重く、一発喰らっただけで血を吐いてしまい、そのまま吹っ飛ばされた。
HPを確認すると、2割ほどが削られていた。
かなりまずいな…
一撃でこんなに削られんのは痛すぎる。
俺は今度は距離をとって攻撃をすることにした。
『【
今度は魔法で攻撃をしてみた。
【
果たして……
オークは【
オークは無傷の状態でたっており、オークはダメージをほとんど受けていなかった。
『チッ!』
あいつ魔法に耐性があんのかよ。これ、近距離で攻撃するしかないな。
俺は魔法による攻撃を諦めた。
【加速】を最大限に発動させ、俺はオークに特攻を仕掛けた。
俺はレッサーセラドンウルフに進化したことによって素早さが上がりやすくなり、今の俺の素早さは375になっており、【加速】により、現在は実質1125と明らかに速すぎるため、オークは俺に追いつくことはできなかった。
しかし、オークも馬鹿ではなく、俺が急所に攻撃しようとしたときのみ、防御してきた。まずいな……
俺は焦っていた。
俺がよく使っている【加速】はメリットばかりに思えたが実はデメリットもしっかりと存在した。
このスキル、スキルレベル×1分の時間しか連続で発動できず、発動時間を過ぎると強烈な眠気が襲ってき、更にステータスが半減してしまうのだ。
俺の【加速】のスキルレベルは3のため、つまり、3分を過ぎると俺は負けるだろう。
ギリギリでスキルの発動を止めればデメリットはくらわないが、素早さが下がってしまうため、スキルを使っている今よりも状況は悪くなるだろう。
俺は焦っているため、オークが呪文を唱えているのに気づかなかった。
【マナ感知】がオークの中にあるマナが体外にでたことによって感知したことによってようやく気がついた。
オークは土魔法が得意なのだろう。初めて俺が会ったときも、洞窟に逃げ込もうとしたときにも洞窟を魔法で塞いでいた。
……なんでこれを思い出しているのかというと……
俺はオークの土魔法によって足に重りを付けられていた。
『な!?』
思わず止まってしまった。これにより隙ができてしまい、オークは俺の片足を掴み、タコ殴りにしてきた。
『ガハッ!グホッ!グヘッ!』
さっきのは力が込められていたものらしく、今度はたくさん殴るためにある程度力を抜いていた。ある程度、オークが俺を殴っていると俺の体は黒く染まり、溶け出した。
それにオークが驚いていると、俺はその後ろから不意打ちを浴びせた。
『…【
さっきまで殴られていたのは実は俺が影魔法で咄嗟に作った人形だった。
俺は【マナ感知】が発動した瞬間、同時に【危機感知】も働いており、やばいと思ったため、少し離れた場所に【
【
『はぁ、はぁ、はぁ。』
かなりマナやHPが減ったことにより、俺は息を切らしていた。
対するオークはまだ余裕がうるようで身体中に傷が見えているが、息を切らしたりはしていなかった。
……不味いな。
俺とオークのダメージの状態は明らかだった。俺はあらゆる策を使ったが、オークにそれほどダメージを与えられておらず、HP、MP共に半分を切っていた。
対するオークはMPを余り使っておらず、まだ魔法を撃てるし、HPもまだ半分以上残っているだろう。
状況が最悪だった。
……一か八かで賭けてみるか、未完成の切り札を出してみよう…
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