第9話 幕間 村少女、森へ行く

────修正─────────────

 ハンスのランクをBからCに変更しました。さすがに序盤でBランクは強すぎましたね…。

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 ここは人間の国、タンジャック皇国のとある村…


 その村は森が近くにあり、自然豊かで農業が盛んであった。また、川も近くにあるため魚も多く住み着いており、食べ物には困らず村人達も幸せそうであった。


「おーい、ノーラちゃん。今日も森に行くのかい?」


 その村には小さな少女がいた。

 真っ赤な髪がとてもよく目立ち、とても明るい性格で人当たりが良く、村人皆んなから愛されていた。


「うん。お母さんの病気がまだ治らないからね。まだまだ頑張らないと!」


 ノーラの母親は病にかかっており、その病を治すために近くにある「アルケー大森林」に薬草を毎日取りに行っていた。


 ノーラが薬草を取りに森へ入っていることは村人皆んなが知っており、母親のために今日も薬草を取りに頑張っていた。


「いや〜ノーラちゃん、いつも頑張っているはよね〜」


「ほんと良い娘っ子だよ。母親が動けないからって自分から薬草を取りに行くなんて…村のガキ共にも見習わせてやりたいもんだよ。」


 そんなノーラの姿に村人はいつも元気をもらっており、今日もノーラのことを話題に話をしていた。


「しかし、最近は森の方も恐ろしくなってきたもんだよ。」


「あぁ、冒険者達によると、なんでもとても強い『オーク』が出たらしい。色が黒くて体も普通のやつより一回り大きいらしい。」


「じゃあノーラちゃん、森に行くのは危ないんじゃないか?」


「いや、どうやらある程度深くまで進まないと出ないらしい。さすがにノーラちゃんも1人で深くまで行かないだろう。」


「そうよね。ノーラちゃんもあの森の深くまで行かないわよね。まだ8歳なのよ、レベルだってそこまで高くないんだから気をつけないとね…」



 ノーラが森へ向かい走っていると、冒険者が近くを通りかかった。


「こんにちは!冒険者さん。」


「やぁ、こんにちはノーラちゃん。今日もまた森に薬草を取りに行くのかい?」


「はい!お母さんの病気を治すためにも沢山集めないといけませんから!」


「精が出るねぇ。けど、森に行くのなら気をつけた方がいいよ。」


「森には魔物がいるからですよね。大丈夫です!深くまで行かないと魔物は出ないので。取りに行っている薬草もかなり浅い場所にありますし…」


 ノーラはいつものようにそう言って森に向かおうとした。しかし、今日はそれだけではなかった。


「いや、そうじゃないんだよ。」


「へ?どういうことですか?」


 意味が分からずノーラは思わず立ち止まり、冒険者に聞いてみた。


「アルケー大森林にどうやらオークが出たらしくてな…」


「オークですか?オークなら元々あの森にいるじゃないですか。」


「いや、ただのオークじゃない。異様なまでに強くてな、あのハンスさんがやられたらしい。」


「ハンスさんがですか!?」


 ハンスとはこの村で一番の冒険者で、C級冒険者の人物であった。


「あぁ、どうやら黒い肌のオークで普通のやつよりも一回り大きいらしい。かなり奥に行かないと出てこないらしいが、一応ノーラちゃんも気をつけな。」


「はい。冒険者さん、教えていただきどうもありがとうございました。」


 ノーラは冒険者にお礼を言い、言われたことを忘れず、いつもより、出口に近い場所で薬草を取りに出かけた。






 ——そのオークは激しい憎しみに囚われていた。


 あの日、いつものように自分よりも弱い魔物を痛ぶっていた。

 中層で歩いていると見慣れないオオカミがおり、しかも生まれたてでこの地形に慣れていないようで周りを見渡していた。


 獲物を見つけたと認識し、近づくと気づいて警戒していた。そして自分の姿を見た瞬間何故か警戒を解いたため、ムカついて即座に痛めつけた。


 すると認識できていなかったようで何が起きたのか分かっておらず、目を白黒させていた。そこからは傑作だった。


 オオカミは懸命に逃げていたがオークよりも遅く、様々な場所に逃げていたが、全てオークの力では隠れ場所としては適しておらず全てが無駄に終わっていた。


 最後に洞窟に逃げ込もうとしており、たまらず魔法を使い、洞窟の入り口を塞いだら最高にいい顔をしており、思わず大声で笑ってしまった。


 しかし、あまり長時間も笑えず飽きてきたため、最後は思い切り力を込めて終わらせようとした時、そいつが現れた。


 そいつは明らかにオークのことを見下しており、気づいたら持っていた棍棒を破壊された。


 そのことに呆然としていると更にオークのことを見下してきてそれがオークの癇に障った。


 その目で俺を見るんじゃない。

 その目で相手を見ていいのは俺だけだ。


 見下されるのを認められず、殴りかかったが、一瞬でやられてしまった。


 その後、どうにか生きながらえることができたが、そこから憎しみに囚われ続けることになった。


 あの目を忘れることができない。俺をそんな目で見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るなミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナ!




 憎しみに任せるまま、目についた生物を全て叩き潰した。

 いつもならそれですぐに収まったが今回は違った。


 いつまで経っても収まらない。

 いつまで経っても怒りが消えない。


 アイツを殺すまでは消えない。

 アイツを殺して俺の尊厳を取り戻す。


 それを目標にあらゆる生物を目につく限り殺して行った。


 そしてしばらくたった頃、

【レベルが上限まで貯まりました。進化を開始します。】

【…進化が完了しました。】

【異常事態が発生しました。オークの進化に影響…】

【進化が完了しました。】

【オークがユニーク種族〈怒りの豚人〉に進化しました。】

【条件を満たしました。ユニークスキル〈憤怒〉を獲得しました。】


 強い怒りを持っていたことが災いし、最悪の魔物が誕生した。


 そのオークは〈怒りの豚人〉へ進化を果たし、スキル【憤怒】を獲得してしまった。


【憤怒】

【怒りの感情を持っていると自動的に発動する。全てのステータスが50%上昇する。ただし、怒りの強さによりステータスが更に上昇することがある。常に怒りに囚われ続ける。その怒りは止まることを知らず、いずれ世界を滅ぼすだろう…】


 オークは理性を捨て、怒りを発散しようと今日も目に映る全ての生物に襲いかかる。


 ある日、それはだんだんと森の入り口の方へと向かっていた。昔、屈辱を与えられた懐かしき匂いの方向へと………

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