第3話 オオカミ、ステータスを見る
親父と母さんと会った。
母さんを何とかなだめ、家に戻ることになった。そういえば、親父が住処の心配してたなぁ。しばらくするとそれは見えてきた。
住処は洞窟の中だった。しかし、ところどころにヒビが入り、寝床だったであろう場所は藁を敷き詰めていたのだろうか、いろんな場所に散乱していた。食べた後だったろうか?骨が散らばっており、その全てがひび割れていた。
『あぁ、やはりこうなっていたか。』
俺が呆然としていると、親父がやっぱりと言ったふうにつぶやいた。え?やっぱり?よく見てみると、薄く氷が張っていた。氷?母さん?
母さんの方を見てみると、気まずそうにこちらを見ていた。
『だ、だってしょうがないじゃない!ナー君にもしもがあったらって考えると落ち着かなくて…‥』
えぇ〜、しょうがないって…
俺と親父が呆れながら見ていると母さんは開き直っていた。
『とにかく、今日はもう遅い。ここで寝るが、明日から新しい住処を探すとしよう。』
そう言って親父はあっさりと寝た。
『そうよね!仕方ないわよね!だから、おやすみ!』
えぇ、そこ開き直るの?戸惑っていると、母さんまで寝はじめた。俺も寝るか。そう思ったとき、ふと思い出した。そういや、ステータスしっかりと見てなかったな。俺はそう思い、『ステータスオープン』と念じた。
すると目の前に半透明のボードが現れた。
『うぉ!?』
思わず声を出してしまうと、親父がこっちを睨んできた。危ない危ない。声を慌てて抑え、改めてステータスを見た。
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名前 ナディー
種族 ベビーウルフ
Lv.1
HP8/10
MP5/5
攻撃力.5
防御力.5
魔撃力.3
魔法抵抗力.2
素早さ.8
ユニークスキル
〈加速Lv.1〉
スキル
〈爪撃Lv.1〉〈牙撃Lv.1〉 〈夜目Lv.1〉
〈逃走Lv.2〉〈疾走Lv.2〉〈超嗅覚Lv.1〉
称号
〈転生者〉 〈逃走者〉
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おぉ。なんか色々出てきた。
まず、この「ナディー」っていうのが名前らしいな。種族が、ベビーウルフ?まんまだなぁ。他にもゲームでよくあるレベルやステータス、スキル、称号などがあった。
種族とかについて細かく見ることってできないのか?そう疑問を持った時、ボードの文字が変化した。
【ベビーウルフ】
オオカミ系統のモンスターの幼体。オオカミ系統の中では最弱。レベルをあげることで進化することができ、遺伝子によって進化先が決まる。
おおっ!なんか出てきた!それはベビーウルフについて書かれていた。ベビーウルフ、やっぱまんまじゃん。
呆れながらも俺はあるひとつの文章に釘付けだった。進化!流石にこのままだったらやばいと思ったけど、あるんだ進化!しかも遺伝子にやってだからあの2人のどっちかみたいになれるってことだよな。
その時、親父が助けてくれた時を思い出した。あの時の親父はめっちゃかっこよくて自分の種族がオオカミだって知ったとき、しかも、息子だと知ったときには自分もなれるかもって憧れた。それが本当にできるかもしれない。
そんな希望が俺の中を駆け巡り、思わず遠吠えをしてしまった。
さて、次はスキルについて見ていくか、
【爪撃Lv.1】
爪による攻撃の威力を上げる。レベルが上がるがとに威力が上昇する。
おぉ、これは威力が上がる感じのスキルか。結構、ありがたいな。まだ、レベル1だから攻撃力が上がるのは純粋に嬉しい。となると、【牙撃】は牙の攻撃力を上げるスキルか。
案の定【牙撃】は爪撃の牙バージョンだった。
他にも【夜目】は、暗くても、目が見えるスキル。【超嗅覚】は、鼻が良くなるスキルだった。【逃走】は逃げる際に、逃げるのが上手くなるスキル。【疾走】は足が単純に速くなるスキルだった。【逃走】と【疾走】がレベル2だったのはどうしてだろう?と思ったけど、そういやオークから逃げてる時になんか声が聞こえた気がしたけど、気のせいじゃなかったのか。
お次は称号か。
【転生者】
前世の記憶を持ち、異世界からやって来た者に与えられる称号。
〈効果〉
無し
【逃走者】
戦闘が始まった後、長時間逃げた者に与えられる称号。
〈効果〉
・スキル【逃走】の解放。
・逃げる際にスキル【逃走】のレベルが上がりやすくなる。
……どこからツッコめばいいんだ?
まず、【転生者】って出てくるの!?ステータス見られたらマズイじゃん!称号に効果があるのも驚きだけど無しって…
そして、【逃走者】。いや、確かに逃げたけど…あれ、戦闘扱い!?しかも効果も逃げるためだけじゃん!はぁ、なんかショックだったな。
そしていよいよお待ちかねのユニークスキル!気になってたけどいよいよ見ていこう!
【加速】
スピード、体力回復など、ありとあらゆるものを加速させることができる。加速させるものを選ぶことができる。現在1.1倍
おぉ………めっちゃ微妙。
いろんなもののスピードが速くなるだけ?
えぇ…使えるけど、もっとなんかなかったの!?……あれ?だけど全部?それだとスキルレベルやスキル獲得、レベルアップにも使える?
俺は恐ろしいことを思いついた。これ使えば、進化もすぐできるんじゃね?俺はスキル、レベルに関する全てのものに【加速】を使用した。まだレベルが低いからそんなだけど、レベルが上がったらチートになるくね?そう考え出したらこのスキルがやばいものに感じてワクワクしてきた。それを考えまた遠吠えをしてしまった。親父が流石に我慢しきれず睨んできた。
親父からの威圧がやばいのでもう寝よう。
—親父のようなオオカミになる。
そんな異世界に転生して初めての目標を胸に俺は眠りについた。
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