第2話 オオカミ、家族と出会う
待って、少し整理しよう。
1.転生して森にいた。
2.お腹が空いて木の実を食べたらオークに遭遇。
3.死にかけたら、めっちゃ強いオオカミに助けられる。
4.オオカミが俺のことを『息子』と言ってきた。
5.ステータスには種族のところに『ウルフ』の字がある。
は!?え、待ってマジで。え?どういうこと?あれが父親!?
俺が混乱していると、
『おい、返事のひとつぐらいしたらどうだ?喉でもやられたか?』
『あんた俺の父親なのか?』
混乱している中、それだけでも聞いてみると、
『頭でも打ったのか?その程度で父親の顔を忘れるとは、軟弱な息子だ。』
どうやら、息子で確定らしい。えぇ、種族って人族だけじゃないの?魔物も含まれてるとか聞いてねーよ。
『とりあえず、動けるのなら住処に戻るぞ。『あいつ』が心配し過ぎて住処が無事かどうかが不安だ。』
『あいつ?』
あいつって誰だ?その疑問を持った時、
『貴様の母親に決まっておるだろう。』
呆れたようだったが、すぐに疑問に答えてくれた。さっきから見下す発言が多かったけど、以外と面倒見がいいな。移動中、この森のことについて聞いてみた。
この森は、「アルケー大森林」と人間達に呼ばれているようで、ここはその中層に位置するそうだ。奥に行くほど魔物の強さも強くなり、さっきのオークは中層の中でもかなり下らしい。あれでもこの森だと弱いの?なんでも、奥に行くほど魔力も豊富になり、魔物にとって過ごしやすくなるのだが、けれどその魔力に耐えられず、食べられる木の実が減ってしまうため、自然と周りの生物を食べるしかないようだ。そのため、常に魔物達が争いそれによって他は強さが増してったようだ。途中、「魔力」という言葉が出たため魔法とかもあるのか?と聞いたらちゃんと存在するらしい。魔法と聞いた時にはワクワクし過ぎて声を上げて喜んでしまい、父親…親父に変なものを見る目で見られてしまった。仕方ないだろ‼︎魔法使って見たいんだもん!
他にも色々聞いていると、オークから受けたダメージもなくなっており、ずいぶんと楽になった。しばらく歩いていると、
『おい、帰ったぞ!』
大きな声で親父が叫んでいた。どうやら到着したようだ。ふと前を見ていると、何かがものすごい勢いで突っ込んできた。
何だ!?また敵が来るのか!?そう思い身構えていると、白いオオカミが突っ込んで来るのがわかった。親父が全てを呑み込むような漆黒だとすると、それに対して突っ込んでくるオオカミは、全てを照らすような純白だった。そんなオオカミが涙目で突っ込んで来ながら
『あ〜な〜た〜‼︎』
と、親父へ突っ込んで行った。
あなた!?思わず、親父の方を見た。
『はぁ、落ち着くことができんのかお前は。こうして無事に戻ってきたのだから安心しろ。』
『だってぇ〜〜、私達の赤ちゃんが〜』
私達のってことは‥
『母親として息子の前でそのような醜態を晒すのはいかがなものなのか……』
やっぱり、母親で確定らしい。親父は淡白だったのに、母親は結構ベッタリなんだなぁ。
『ナー君大丈夫だった!?』
呆然としていると、こんどはこっちに突っ込んできた。く、苦しい!このままだと死んでしまう!ナー君?たぶん俺のことなんだろうな。
『う、うん。オークにやられたけど、親父が助けてくれたから大丈夫だったよ。』
息絶え絶えにながらも頷くと、
『そう、オークがやったのね。うふふふふ、……久しぶりに遊んであげましょうかしらね。』
と、ものすごい圧のある笑みを浮かべていた。え?なんか周りが急に寒くなってきたんだけど。しかも実際に周りの植物が凍ってない!?どうやら母親…母さんが冷気を出しているらしい。触れられているからか、さっきより冷んやりとしていた。
やばい!今、母さんが抱きついているから冷気が直接ぶつかってくるからめっちゃ寒い!この‥まま‥だ‥と…凍……
『おい、そのままだと凍死してしまうが、いいのか?』
『あら、いけないわ!ナー君ごめんなさい!』
助かった…のか?
『それよりも、こいつ襲われたせいか自分のことや我らのことを忘れてしまっているぞ。』
『え!?嘘でしょ!そんなぁ…』
なんか落ち込んじゃったなぁ。
『ごめんなさい。とっても辛い目にあってしまったのね。なら、改めて時 自己紹介するわね。私は、あなたの母親の「ユキ」、こっちは父親の「ベイン」よ、よろしくね。』
こうして、俺は親父と母さんと出会った。
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