そんな目で永遠は買えない

風瓶

そんな目で永遠は買えない

例えば、付き合うとなった時から正解探しは始まっている。


だから何かが変化するのも続くのも嫌なわけなんだけど、

橋口と帰り道にたまたま立ち寄った立ち飲みカフェがあまりに当たりで、俺たちは明日も来る約束をしてしまう。


だって、その店は百を超えるミニサイズのコーヒーを出してくれるところで、トッピングやクリームを変えれば選択肢は更に増えていく。


なのに値段は百円なのだ。だから、毎日でも来れるねって言ってしまったのだ。駅の近くなのだし。それが本当にいけなかった。


それから毎日俺と橋口は帰りにその立ち飲みカフェに寄る。


元より一緒に帰ってはいたので、一工程増えた形になるわけだ。


でもそれがずっと続くわけもなくて、俺が一度それを断った。


そこから先はぱったりと行くことは無くなってしまった。


あれが全てだとは勿論思わないし、その内橋口だってなんらかの用事でカフェに立ち寄るのを断っていたはずなのだ。だから、

あんなのは失態でも何でもない。


程なくして安すぎる値段でコーヒーを出していた立ち飲みカフェは潰れてしまう。

駅から見えるそのばし場所が更地になったのが見える。


そこには黒い人影が立っている。殺さんばかりの形相で俺を睨んでいるそれは俺だ。

俺は今でもあの場所にいる。


俺の未練は禍々しく恨み深いか、同時に永遠を信じてもいるので案外純粋なのかも知れないと思う。

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