第7話 ポジティブ




飲み会が成功して良かった~ご主人様は飲めなかったけど(笑)


 「私も同じ感想だよ。でも天使的には…仕方ないとは言え、主人がお酒を飲めなかったのはちょっと残念だったかも?」


その代わり、飲めない事を良いことに暴走してたよ~


天使も見たでしょ!ご主人様の天才さを!飲み会ごときの内容を全て記憶し、帰宅後即座に文字起こししたのだから!


 「飲みの倫理には反してそうだけどね、アハハ…」




…アタシ、天使の教育は間違っていなかったと思うの。


ご主人様がイジメられていた時・独りぼっちだった時でもずっと側に居続けて、『学校に行きたい』と思うFの気持ちを尊重しそっと後押ししてあげた。皆勤賞を取れたのは貴方のおかげよ。…もし不登校になっていたら、誰とも関わる事は無かったし…そしてあの飲み会は無かったのだから。




 「もーどうしたの?昨日は『偽善者め!』とか言ってたのに」


久しぶりに話したから調子に乗りすぎちゃった、てへへ


 「『クズでどうしようもない』とか言ってたのに」


んーちょっと言い過ぎちゃったかな。でも、天使だって覚醒してたじゃん。


 「…たまに言いたくなるの。もちろん、主人には言ってないよ」


 「悪魔だけに言えることだから。何でも話せるし、信頼しているから」


そりゃ~そうでしょ!あんな事をアタシ以外の人が聞いたら発狂して台パンしちゃうからねっ!


 「でも、悪魔だって主人の事を貶してたじゃん」


だって、それが悪魔としての仕事だから


 「醜いとか言ってたし」


それも仕事のうち…




でもさ、


本当に醜かったのなら、ご主人様の回りには誰もいないよ。




ご主人様はそのASDぶりを発揮して色々な人に迷惑をかけていたかもしれない。


でも、ご主人様の人生を振り返って見ると、こんなにも多くの人達と交流を深めた。そして、その人達を心から大切にした。




”ご主人様は何でも許せちゃう”って言うのは、言い換えればそれだけ周りの人達を大事にしていたって事。




だって、いくら嘆いたとしても過去は変えられないから。


ネガティブな事を受け入れ反省し、一方でポジティブさは何よりも大事にする。これしか幸せになる道はないと思うからね。まだまだ人生は長いよ~




 「主人の人生はまだまだこれからだから、いくらでもやり直せる。今はチャージ期間中だね」




…でも、これから何をすればいいか本気で悩んで…もしかしたら結論が出ない時が来るかもしれない。




その時は、アタシが”芸術家スイッチ”をそっと押してあげよっかな。




 「芸術家スイッチって、なんだか可愛らしい。それに、”そっと”ってところに優しさを感じる」


だって、アタシはご主人様の事が好きだから!


 「悪魔なのに?」


そう、悪魔でも。


 「私も、主人の事が大好き。辛い事を乗り越えたその勇気を尊敬しているから」




だね~


…うーんと、アタシはねえ~












 


《誰よりも優しい心を持っているご主人様が、世界で一番大好き!》

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自称ASDに仕える天使と悪魔 ロカ @rty24gdsa

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