第5話 天使の本性
「…悪魔が言うとおり醜い人ばかりだとしても、大多数の人は働いているじゃない!主人も回復したら働けるはずよ!」
ご主人様は、もう人生ハードモードだよ。
一般企業に就職したところで、一瞬でも油断したらその隙に何かをやらかす。そしたら人間関係崩壊してジエンド。懲戒解雇か、病んだから自首退職しろと言われてサヨナラ。
逆に全力で気を張り詰めながら働くと、その分だけ疲れてしばらくすると病んで退職。迷惑なんてかけられないから、休日も仕事の事しか考えきれない!
そして療養してまた就職して…以下死ぬまで無限ループ!
そのスパンはどんどん早くなり、環境もどんどん劣悪になっていく。
企業側からはお祈りメールを通して「人手不足だけど、ASDで直ぐに病む人間なんて欲しくない」と暗に言われ続ける。あぁ新卒カードで就職してた頃が懐かしい!
ご主人様はずーーーっと!病む人生なの!あの巨大な代償のせいで!
だからもう普通に生きる事は不可能!一般企業に再就職する事は諦めなさいな。ほら、Fは芸術家タイプの人間だと思うわ!
「それじゃ、まるで私の主人が社会不適合者だって事になるじゃない!」
こ~ら、社会不適合者って言わないの!ま、事実じゃん。今無職だし。
ご主人様はその巨大な代償故に社会不適合者まっしぐら!
だけどアタシから見れば、充分芸術家に相応しい人間よ!
「…芸術家タイプなんてごくごく一部の本物を除けば、努力をする訳でも何かをする訳でもなくただひたすら自分の境遇を嘆き、他人や政治の愚痴を吐き捨てるだけのもの寂しい人間ばかり。そんな人達と私の主人を一緒にしないで!」
でた、天使という名のウジ虫め。
「どいつもこいつも発達障害のマイナスな面だけ語りやがって、いっつもだ!その長所とやらを生かすにはどうしたら良いのかってのをもっと発信してよ!」
…天使ったら、芸術家タイプの人間が、発達障害を持ってるって認識になってる。その認識は、ちょっと怖いかm
「 うっせーなっ!!!!!!!!!!」
「この世の中のが怖いだろうがよ!!!!!!!!!!」「ボゲ!!」
…あ~メンタル強かったはずなn
「クソォォォォォ!!!!!! 限界超えてんだよぉぉおおお!!!!! 何がメンタル強いだよ!!!!! バカッ!!!! 同じ話ばかりクソかてめえは!!!!!!!」
(…天使じゃなくて、特級呪物じゃん)
「しかも!!!」
…あの~今まで、何喋ってたっけ?
「どいつもこいつも発達障害のマイナスな面だけ語りやがってって事なの!」
あ、はいはい。
「しかも!!発達障害がある”当事者までもが”マイナスの事しか言わないの!しかも、中には長所である事なのに、まるで短所のように語る!」
「ある時、私の主人がそんな呟きをみて『この長所って、社会には受け入れて貰えない…僕ってダメな人間なんだ…』って嘆いてたの…」
「クソが!!!!!!嘆かせたのはそこのお前のせいなんだよ!!!!!!!何で誰1人として前向きに考えようとしないんだ!!!!」
「…不幸なことだけ呟いて、同情されたり傷のなめ合いをしたいだけ?」
「ネガティブ呟きするなら、それと同じかそれ以上に、ポジティブ呟きしろよ!!!!!!!!!」
「そんなに足を引っ張りたいの?貴様は!!!!!!!お前達のネガティブな呟きによって、ますます…『発達障害=悪』という認識が強まって自分の首を絞めている…ということに!!!!!!、…いいかげん、気づけよ!!!!!!…グスン…」
…よ~やく本性を現したのは良いとして。とりま、よしよししてあげないと…
(…天使を慰め中…)
(……天使が泣き止む)
…そんな事を主人に唆していないでしょうね?SNSで炎上しちゃうよ~
「する訳ないじゃない!!!!!」
ごめんごめん!アタシが悪かったから
(紛い物の天使でも、堕天使までは落ちないか)
「…つい、熱くなっちゃって」
そもそも、私が言ってるのは、ご主人様は”芸術家タイプの人間”ではなくて、”本物の芸術家”としての適正があるって事。
言葉を理解出来ない天使ちゃん、ちゃんと最後まで聞こうn
「たわけボケ!!!!」「…ごめんなさい、今のは私が悪いから…静まらないと」
……芸術家適正は、随所で見せてきているじゃん。
まずご主人様は感受性がバケモノ過ぎて、聴いている曲によって感情が七変化しちゃう!あと、「ほんのちょっとだけ伝えようと思った」と釈明して、夜中友達にいきなり1500字の文章を送りつけちゃう!
もうLINEは消しちゃったから正確な文字数は分からないけど…ご主人様ったら、体調がおかしくなってから退職させられるまでの間、今の心情とかを6,7000字位上司に送りつけたっけ?
あと、就活が終わった直後に『社会人になったら恋愛する暇なんてないから今のうちにしないと』って一心でとある女性を急に好きになってた!あの時は嫉妬というより焦った。だって妄想が行き過ぎて、アタシと天使を忘れていたんだから。でもそれも、寸前のところで収まった…つまり未遂に終わった。もう少しで全てが終わるところだった…ホッとしたよ…
「あ…あれは、環境が変わるという事に、主人は弱いのかも…」
ご主人様も、アレはさすがに反省していたね。
…とにかく、そんな特性は一般社会が求めているものではないの。
ご主人様への道はだだ一つ。
物書きになりなさい!今すぐに!
「…芸術家なんて成功するのはほんの一握り。真っ当な人生を送らないと」
アタシは本気だから!だって、物書きが一番向いている職業だと思うから!
何なら、アタシがご主人様の身体を乗っ取って芸術家として覚醒させたって良い!…は、言い過ぎか。
「…私は、しばらくの間は主人の自由にさせてあげたい。急に覚醒させても、ちょっと困ると思うから」
ま~そうだね。ちょっと様子を見ることにするよ。
…なんだか適当に好き放題喋っていたら、疲れちゃった。
あと~ご主人様って言葉ばっかり言っちゃったけど、許してね!久しぶりに話せたんだから!
「私も、ちょっと疲れたかも」
天使ったら久しぶりに覚醒してたね。
「あれだけ聞かされると、辛くなるよ」
アレはちょっと、申し訳ないと思っている。
「でも、ちょっとスッキリした。ほら、飲み会の邪魔なんてしちゃダメだからね」
それなら良いじゃん。
「飲み会…私も楽しみだから」
それはアタシも同じ。悪魔だからって、そんな鬼畜な真似はしないよ。
「そうだね、そこは私も信頼しているから…それじゃ、私も寝ようかな」
おやすみ~
さてアタシも寝くなったのでねま~す。それじゃ、まったね~
…
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