第10話
毎日同じような日が続いてるが何があるかわからない、今日も元気に魔法を覚える。本当に使えるのか爪の間にゴミが入らない魔法。やはりこのへんは女性向けの魔法が多いらしい。
隠蔽魔法で隠れてる本もあるが……エリスが犯人らしいので見ないことにする。俺以外には見えるらしい、隠蔽魔法で人指定もできるのか、まぁバレてはいるからあんまり使えないが俺はその本を取ったら面倒事になるのだけはわかる。
おおよそ魔法の本は全部制覇しただろうな。色々使える魔法もあるがまぁ、今はいいだろうここぞという時に使えれば。まぁ大半はエリスも覚えたから意味がないなと思ってるだけなんだが……。なぜかエリスは防御魔法や結界魔法と相性がいいらしい。勇者……?それとも本人が陰キャだからそれ系と相性がいいんだろうか?治癒魔法はまぁ使える程度だな、エリスのほうが上手い。あれ?勇者……?
まぁ仕方がないので俺は攻撃魔法系と便利そうな、冒険に役にはたつが戦闘で役には立たないタイプの魔法を覚えた。後は普段遣いできる看破魔法やら真贋魔法やら隠蔽魔法やらだな。
あとはマクイラさんが持って来た窒息魔法とかだ。今のとこ、これは俺にしか使えない。まぁ酸素だ二酸化炭素だなんて知識はこの世界にないだろうしな、そもそもこの世界にない可能性はあるが魔法は割と緩いから発動してるだけかもしれないし。
あとは制約魔法で指パッチンで魔法を発動するってやつに憧れてやってみたんだが、エリスから指落とされたらどうするの?戦闘中に治癒魔法を唱えて再生できる状況かわからないよ?とマジトーンで言われた為辞めた。命の掛け合いにロマンはいらないもんな。俺も嫌だ、まぁ指が落ちるくらいあるみたいなエリスのスタンスもちょっと怖かったけど……聞いたことないけど村に来るまでなんかあったか?
まぁそんなこんなでパレードを翌日に控えたのだが面倒なことがおきた。
「目立ち……たくない……」
すがるようなマクイラさんに見られ巣穴にいるようなハムスターことエリスと会話を試みる俺。
「やるって言ってなかったか?今更なにか問題があったか?」
「馬車で……回るだけだと……」
「馬車だろう?市街をくるりと一周。それで終わり、やり残したことがなければ王都に言って同じように本を読み漁ればいいだろう」
「オープン馬車は……嫌……あと……王都はそこまで……魔法書籍はない……」
「だ、そうです。魔法書籍のことは本当ですか?」
普通は王都が一番多いんじゃないのかと思いつつ尋ねると困ったようだった。
「魔法書籍に関しては王都より学術都市のほうがあるので……ここの聖堂図書は王都図書よりは魔法師書籍があると自負しております。魔法図書以外は負けますが」
「へぇ……じゃあ学術都市にいかないと……」
「転移魔法は万全でしょう?王都でやることが終わったらしばらく学術都市で勉学に励めばいいのでは?」
「いいんですかね?勇者パーティーが足踏みしてても」
「10歳に着の身着のまま魔王を倒しに行くことを強要するよりはよほどいいと思いますが……じっさい必要なことですしね、いっそ入学しますか?推薦の2枚くらい書きますよ」
と、学術都市の学校に入学しておこうかと思ったらクイクイと袖を引かれた。ハムスターことエリスだ。
「パレード、いいの……?」
期待に満ち溢れたその目は向日葵の種を受け取ったハムスターそのもの、いつもは小型犬くらいはあるのだがよっぽど嫌だったんだな、オープン馬車。
「普通の馬車に変更します、無理にすることでもありませんし。ただ沿道に手だけは振っていただきたいのですが」
「ええ、それくらいなら。できるよね?できる?」
「(コク)」
本当にできるのかな……不安だなぁ……。
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