第43話 竜の逆鱗に触れ、虎の尾を踏んだ事を知らない
「ちょっとパパ!!
マルトの言葉にリフィがマルトへ詰める。リフィの態度にただ事ではないという感じであった。
「うーん、まさか今さら
「もう!!油断しすぎよ!!どうするのよ!!」
リフィの剣幕に全員の顔が深刻なものになっていく。
「やっぱ
「え~~~~~~!!やっぱりそうなの!?」
「やっぱり、俺達は家族だ。みんなで苦労を分かち合おうではないか!!」
「ママぁーー!!おじいちゃん!!おばあちゃん!!何とか言ってよーー!!」
父娘の会話に全員が首を傾げた。
「うーん、リフィちょっと聞きたいんですけどいいですか?」
そこにヴェルティアがリフィに尋ねた。
「何?どうしたの?」
「
「うん。
「ええ、そのことはマルトさん達から聞きましたよ」
「あ、そうなの?ってことは
「もちろんです!!天候が安定しなくなりますね!!」
ヴェルティアの返答にリフィは頷いた。
「そういうこと。となると天候を安定させるために私達七人が
「あーなるほど…そういえば魔族のみなさん方から、なければないで自分達でやるという意見を聞きましたね」
「そうなのよ!!一度
リフィの気合いの入った言葉にヴェルティアも頷いた。
「まぁ、しょうが無いじゃないか。さて順番を決めるとしよう」
「えぇ」
マルトの言葉にリフィは露骨に嫌そうな顔をした。いかに
「あーーー!!そうだ!!思いつきましたよ!!」
突然、ヴェルティアが叫ぶと全員の視線が集まった。
「お前、行儀悪いぞ」
「おおっ!!おっと私としたことが!!しかーし!!私の鋭すぎる光る知性が事態を解決する妙案を思いついたんですよ!!」
「天界に攻め込んで
「なんと!?何故分かったんです?」
シルヴィスの返答にヴェルティアは驚愕した。そのヴェルティアの様子を見てシルヴィスは心外だという表情を浮かべた。
「お前が考えそうなことだろーが」
「い、いひゃいれす」
シルヴィスが頬を抓るとヴェルティアが抗議の声をあげた。もちろん本気で抓っているわけではない。
「シルヴィス様、お気持ちは分かりますがここは最後まで聞きましょう」
ディアーネがそういうとシルヴィスは頬から手を離した。ディアーネとすれば主夫婦のふれあいを邪魔したくないのだが、時と場合によってはそれを止める必要があるというものである。
「そうだな。ヴェルティア、続きがあるのか?」
「も、もちろんです!!」
「よし、聞かせてみろ」
「はい!!リフィ達のカチコミに我々も助太刀するのです!!元々お父様達もルオスさん達をとっちめようと考えているわけですよね?なら我々と手を組んでルオスさん達をとっちめてしまいましょう!!」
ヴェルティアは意気揚々と宣言した。
「で、ヴェルティア。他には?」
「ありません!!」
シルヴィスの問いかけにヴェルティアは元気よく答えた。その返答を聞いた瞬間にシルヴィスは両頬をつまみ上げた。
「お前、結局攻め込む以外の意見はないだろうが」
「い、いひゃいれすよ」
ヴェルティアの抗議の声にシルヴィスは手を離した。
「う~~それならシルヴィスは他に選択肢あるんですか?」
「あるわけないだろう。元々ルオス達には落とし前をつけるつもりなんだからな」
「ほらーシルヴィスも私と一緒ではありませんか!! さすがは私の夫です!!」
「なんかお前と一緒となると妙に心に刺さるものがあるんだけどな…」
「はっはっはっ!! インテリぶってもシルヴィスは
「く…」
ヴェルティアに言い負かされたシルヴィスはかなり悔しそうである。一人の時は努めて冷静に物事を運ぶ質であったのだが、心強い仲間達を得てからは大胆な行動を取るようになっているのである。それが元々のものなのかヴェルティアとの結婚生活によるものなのかはわからない。だが、確実に変化はしているのである。
「さて、リフィ!!みなさん、一緒にルオスさん達をけちょんけちょんにしてしまいましょう!! どうもルオスさん達は寛大さと弱さの区別のつかない方々みたいです。普通ならマルトさん達レベルの方々が報復しない事を寛大さととるんですけどその寛大さに慣れた事でマルトさん達を侮るようになりました。そして最終的に自分達がマルトさん達よりも強いと勘違いしたのでしょう。多分これからずっと
ヴェルティアの言葉を否定するものは誰もいない。
「そうね。みんな面倒くさいし大して害がなかったから相手にしなかったけど、ここまで舐められる覚えはないわ。それに
リフィの言葉にマルト達は少し考えて口を開く。
「そうだな。もうあいつらに付き合うのも面倒だな」
「そうね。何回も作る度に盗まれるのも面倒ね」
「うーん、そろそろ始末しようか」
「ゴルザー、妙に楽しそうじゃな」
「ギルノーこそ」
「私ももういいかなという気持ちになってきたわ」
「あらエルマースも?私もちょっとばかり
「ふふふ、そうねぇ。確かに私達もルオス達を甘やかしすぎたわね。反省しないとね」
魔族達は大変にこやかに話しているが放たれる威圧感は相当なものだ。どうもヴェルティアとリフィの言葉で魔族達の心に火がついたのは確実であった。
「うーむ、それでは我々と手を組むと言うことでよろしいかな?」
シャリアスの言葉に魔族達は頷いた。
「ただ、我々とすれば中途半端なことはするつもりはないですよ」
シルヴィスの言葉にマルトはニヤリと嗤っていう。
「それはもちろんだよ。我々は
「つまり…?」
「
「頼もしいですよ」
「こちらもだよ」
シルヴィスとマルトはそう言って互いに手を握る。
ルオス達はまだ自分達が竜の逆鱗を不躾に撫で回し、虎の尾を踏んだことをまだ知らない。
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