第2話 何かが起きるかも知れない①
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「ヤッベェ。めっちゃ圧が強かったな」
まぁ、それもそのはずだ。あいつらはAランク冒険者、俗にいうエリートだ。Aランク冒険者は全体でもかなり少ない。
「余計なことは考えずに集中するか。さーて、ゴールデンタイタンはどこだぁー?」
俺は森の奥へ進んでいく。蛇系統の魔物は大抵は森や洞窟、あとはダンジョンに出現する。なので俺は近くの森に来て探している。
「中々いないな。別の所に行くか?」
そこそこ奥に来たが一向に見つかる気配がない。えーと、この近くなら確か、第二迷宮にいたはずだよな。
「しゃあーね。そっちに行くかぁ」
俺は近くのダンジョンに行くことにした。
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「みんな、大丈夫?」
「しんどい、ラーシャおんぶして」
リリスはラーシャに自分の体重を預ける。ラーシャは寄りかかって来たリリスの足を持って運ぶ。
「これ、すごく楽でいい」
「ちゃんと自分で歩いてください。ラーシャに迷惑がかかるでしょ」
「あはは、僕は平気だから。心配してくれてありがとう」
「ラーシャが言うなら、別に良いですけど」
「じゃあ決まり。私はラーシャの背中でゆっくりする」
リリスはそう言いながら目を閉じて眠る。ルルカもカーラもそれを見てやれやれと言わんばかりの表情をする。
「リリスは相変わらずね。本当に子供みたいだわ」
「そうですね。まぁ、リリスらしいといえばリリスらしいですが……」
「まぁ、リリスはいつものことだからね。それよりみんな、今日のクエストはちゃんと覚えてる?」
ラーシャがルルカとカーラに確認すると、2人はしっかりと頷き、カーラが依頼書を取り出した。
「今回はパンデナ草の採取ですよね。場所もしっかりと把握してますよ」
「良かった。なら少しだけ急ごうか。パンデナ草は昼間にしか採取できないからね」
パンデナ草は昼間にしか咲かないことで有名な花だ。加えて魔力が充分にある場所でないとすぐに枯れてしまう。
「そうですね。なら少しだけ急ぎましょうか」
ラーシャとルルカは凄まじい速度で走り、カーラは魔法を使用して空を飛び目的地に向かう。
「結構早く着いたわね」
「そうだね。ほら、着いたよリリス。起きて」
「ん、もう着いたの?」
リリスは目を擦りながらラーシャの背中から降りる。リリスが眠っている間に4人は森の奥にいた。3人は目的の場所まで2時間はかかるところをわずか30分まで短縮した。
「じゃあ、カーラ。お願い出来るかな?」
「分かりました」
カーラは目を閉じる。一分間ほど、目を閉じているとゆっくりと開け、指を指す。
「あっちですね」
「よし、じゃあ取りに行こうか」
「それにしても凄いわね。カーラの魔力探知は」
カーラが使用したのは魔力探知、その名の通り、魔力を含んでいる物の居場所を知ることが出来る魔法だ。
「いえ、私の魔力探知はまだまだですよ。使用できる範囲は限られてますし」
「そんなことないわよ。カーラの魔力探知のすごいところはその精密さなんだから」
普通の魔力探知は魔力が含んでいるかどうかしか分からない。だが、カーラの魔力探知はどれだけの魔力を保有しているか、生物か、物体なのかまで分かる。
「うん、カーラの魔法はどれもすごい。自信持って良いと思う」
「ありがとうございます」
4人はいつものように他愛もない会話をしながら歩いて行くと、森を出てしまった。そこには巨大な岩がいくつも並んでいた。
「あ、あれですね」
カーラが岩場の隙間のところに指を指す。そこには美しく輝いている金色の花があった。ラーシャは岩場に近づいて丁寧に摘む。
「じゃあ、これでクエスト達成だ。王都に戻ろうか」
「待って、それに付与魔法かける」
リリスはラーシャが持っているパンデナ草に長時間保存ができる魔法をかけた。
「これで大丈夫。早く帰ろう」
「早く帰ろうって、リリスはずっと寝てただけでしょ」
「む、でも最後はちゃんと働いた。今、1番働いてないのはルルカ」
「うっ、それを言われると耳が痛いわね」
ルルカは気まずそうに視線を落とす。そこにラーシャはルルカの肩に手をおいた。
「今回は戦闘もなかったししょうがないよ。戦う時には期待してるよ」
「その時は任せなさい! 誰よりも活躍して見せるわ!」
ルルカは胸を張って笑顔で答える。カーラも頼りにしてますよと同調し、王都に帰還しようとしたところ。
「……何か、いるね」
ラーシャは神妙な顔つきで岩場に視線を移す。気のせいではない。確かに何かがいる。こちらを見ている。
「カーラ、どう?」
「……いえ、魔力探知は反応しませんでした」
「そっか……」
ラーシャは腰に装備している剣をいつでも抜けるようにしながら近づいて行き、岩を斬る。するとその奥にいた生物が姿を現した。
「……これは、鳥?」
その鳥はとても奇妙だった。まず、普通の鳥より明らかに大きい。そして何より目を引いたのは異常に膨らんでいる喉元。明らかに普通の鳥ではない。ラーシャがその鳥を観察していると他のメンバーも集まってきた。
「その鳥は……もしかして新種ですか?」
「そうだと思う」
「なるほど、それが視線の正体だったって訳ね」
「そうだね、魔物とかじゃなくて良かった。じゃあ帰ろうか」
「あ、少し先に行っててください」
ラーシャは分かったと頷き、先に行った。カーラは帽子を脱いで汚れを払って再びかぶる。そして、ラーシャたちの元へ向かおうとした時。
「……? これ、なんの音でしょうか?」
1番後ろにいたカーラが首をかしげる。何かを吸うような音、一体なんの音だろうか? カーラは後ろを振り向く。
「っ!!」
驚愕した。先ほどまでの鳥の喉元が異常な程に膨らんでいる。この音はあの鳥が空気を吸っている音だったのだ。
カーラは冷や汗を流しながら3人に大きな声で呼びかける。
「みなさん! 逃げてください!!」
「え、一体どうし……!!」
ラーシャが振り向き、目を見開く。他の2人も同様だった。
そこからの行動は早かった。カーラはその場から飛行して退き、リリスは全員に防御魔法を付与、ラーシャとルルカは止める為にその鳥の元へ駆けた。
だが、ほんの一瞬、遅かった。
普通とは案外難しいものである クククランダ @kukukuranda
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