第3話

「まあ、98%位の可能性で正しいと言える答えなら示せるわね」


 そう言ってから答えを言わないまま、コーヒーショップを出た杏子は、そのまま百貨店の紳士服売り場に涼太を連れて行き、父の誕生日のプレゼント選びを始めてしまった。

 涼太はモヤモヤとしたものが心中を占めているが、今日の本題はこれであることを思い出して、まずはプレゼント選びをキチンとやり切ろうと心に決める。

 あちこちの売り場でネクタイやハンカチ、名刺入れやカフスボタンを見ながら何がいいか話し合う。結局、予算とも相談してハイブランドのハンカチを購入した。

 

「ありがとうね、涼太のおかげでいい買い物ができたよ」

「いや、あーでも無い、こーでも無いって話している時が、目的に向かってる感じで楽しかったから不満はないよ」


 そう言って涼太は楽しそうに笑う。


「それは私も。お昼ご飯、遅くなっちゃったけど私が奢るよ。ささやかだけど、お礼ね」


「んー、そっか。いや、昼飯は自分で払うわ。お礼なら代わりにさっきの眼鏡拭き男の答えを教えてくれよ」


「えー、下らないからきっとガッカリするよ?後でお昼ご飯の方が良かったって言わない?」


 やれやれといった手振りを交えて話す杏子に涼太が答える。


「それはあり得ないだろって思ったらきっとガッカリするからさ」


「だったら……」


 口を挟む杏子を涼太が制した。

 

「いつもみたいに納得させてくれよ」

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