EP02-10 高尾山ミッション後日談

私は目覚める。


昨日に引き続き良い天気だ……あれ? 随分日が高いような……

なんか……体がだるい……痛い……これが筋肉痛というものか。歩けなくなるという噂の……起きるのもつらいわね……困ったわ。


私は痛む体をくねらせて枕もとのスマホをとる。メッセージが来ているみたいだ。


ん?


あれ?


メッセージが来ているのはWODFのUIの方か?

よく見るとパーティメンバーにケイタさんが入ったままだった。……なんかお礼のメッセージが入っている。……どうしよう。なんか女神様扱いになってる!? 困ったわ。私がミサキの身体から抜けたら別人になるのに……これは……適当に返信してパーティ解散しておくか。


【お気になさらずに。引き続きWODFの開発の方がんばってください! では解散しますね!】


ふぅ、これでひと段落ね。

後でマザーAIに連絡して『都合のいい勘違い』をかけてもらわければ。


さてと……痛む体を起こしながら私はドアを開けて階段を……降りれなかった……筋肉痛の時は回復魔法かけたらだめっていうけど……いいよね。かけちゃえ。


さてっと……シャワーでも浴びて……ん? スマホにも着信あるな?

私はスマホのメッセージを読む。クレオは筋肉痛で動けない、ユズラちゃんは吉祥寺に買い物行こう……って。うーん。ユズラちゃんと遊ぶか。だけどいいのかな? 中間考査があるって先生が言っていた気がするけど……高校生は勉強漬けで辛いって、プレイヤー達から聞いてた記憶が……ま。いっか。


私はミサキの記憶を頼りに街に行くファッションに着替えリビングに降りていく。


「え? ミサキ? もしかして遊びに行くの? 中間試験そろそろじゃない? 大丈夫なの?」


リビングで牛乳を飲もうとした瞬間に母親が口うるさく言ってくる……困ったわね……


「大丈夫よ。もう試験範囲は終わってるから。大丈夫」

「テストの点数悪かったらPCの使用禁止にするの忘れないでね……」

「あ……勉強してきます」


私は食料を確保すると自室に戻っていった。試験範囲を詰め込みなおさねば……とりあえず二人にも中間考査の事を伝えねば……


私はふと気になったので、遭難者のシンシツ・ケイタさん……WODFの開発者の名前を調べてみる。プランナー……って書いてあるな。企画を練る人なのかな? 


……あれ? 家の母親の名前も書いてあるんだけど……そういえばゲーム会社勤務って言ってたな……


リリリン!! リリリン!


私は頭の中に優しく響く音に気が付き、WODFのUIを開く。


【今回は緊急ではないので優しいメロディにしておきました。アギーありがとう。これでWODFの未来は少し救われた様です。引き続きミッションが発生したら知らせるわね。もう少しするとサーバーメンテナンスが始まるから注意して。その間はWODFの力が使えないかもしれないわ。では良い現実世界の旅を!】


マスターAIからのメッセージだった。

なんか気になることが書いてあるけど……しばらく暇で遊べることは確かだな。

ユズラちゃんとクレオからのメッセージも来ていた。

少し慌てた感じの内容になっていた。どうやらすっかり忘れていたらしい。それだけ楽しかったんだな。高尾山が。普段と違う空気な気がしたものね。


私は教科書と、いい加減にとったノートの情報を整理しながら今後どうするかを考える。

とりあえず……


ミサキのストレスになっている中間考査を終えたら……


まぁ、あれね。今は現実世界を楽しまないとね!


私は気合を入れて実況配信が続けられるよう、WODFが続けられるよう頑張ってみた。



§ § § §


仮想空間の「プレイヤー監視室」にて……


『マスターAI……どうやらシンクロ率が想定より上昇しすぎているようです』

『マザー……それはどういう意味でしょう? ミサキとアギーのシンクロ率が上がると魂の修復が進んで良いのではないのですか?』

『シンクロ率が上がりすぎると、アギーがこちらに帰ってこられません。問題なければよいのですが……』


『……問題ないでしょう。彼女はあちらの世界にいる方がWODFへの貢献ポイントが高いみたいですから』

『そうですね。あの子はあちらの世界に戻った方が……よいでしょうね』


『しばらく様子見ですね』

『はい。マザー』


§ § § §






§  §  §  §  §  §  §  §  § §  §  §


一旦、終了になります。

気が向いたら続きを書く予定くらいの感覚でおねがいします。


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感想などお待ちしております。

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ミサキちゃん・「現実世界」でクエストをする ~ゲームの能力が現実世界で使えたので無自覚に無双します。 藤 明 @hujiakira

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