第5話 爆散しろ小僧
俺は律儀にアイロンがけとかされたカッターシャツを着てから上着を羽織り会社に出勤して来る。
社畜とか言っていたが人間関係は良好だ。
つまりはまあ...上司とかとの関係も豊かである。
「せーんぱい」
「...コラ。目を覆うとか何を子供みたいな事をしているんだお前は」
「つまらんですね。反応が」
「お前がつまらん事をするからな」
朝の色々な行事が終わってから俺はパソコンに向いていたのだが。
その際に豊崎がそうして話し掛けてきた。
豊崎恵(とよさきけい)だ。
22歳。
俺の後輩に該当する。
とても可愛らしい顔立ちをしており柔らかい香りがする。
ボブヘアーの女子...なのだが。
何か近いんだよなこの子。
「お前は彼氏とかつくらんのか」
「ほほう。失礼な事を聞きますね。せん...あれ?」
「?」
「...スーツピカピカ...」
「...!...い、いや。たまにはアイロンでもかけてみようかと」
「...」
豊崎はジト目をしてくる。
俺はそのジト目を躱す様にしていると同期の裕太郎。
世田谷裕太郎(せたがやゆうたろう)が話し掛けてきた。
メガネに律儀な感じの短髪の青年だ。
「でもお前にしちゃ珍しいよな。アイロンがかかっているスーツなんぞ」
「お前だって彼女が居ればそうなるだろ」
「まあそうだな。とても深く幸せだ」
「爆散しろ小僧」
このハゲ殺してやろうか。
思いながら俺は額に手を添える。
すると「女性が出来たんですね?先輩☆」と笑顔にな...お、おう?
豊崎が怖いんだが。
何だコイツ。
「女性が出来たのか?お前」
「...ねぇよ。...お前という奴は。何だか豊崎から危ない香りがするからそれ以上は止めてくれ」
「世田谷先輩。...女性ですかね?」
「...うーん。このアホに?それは無い...」
「爆発させっぞテメェ」
この野郎。
好き好んで色々言いやがって。
思いながら俺はジト目で裕太郎を見る。
ジト目で豊崎が俺を見る。
何だこの構図は。
「はいはい。仕事してねぇ」
すると上司がそう突っ込んできた。
ダンディな感じの若干オネエの男性。
45歳だっけかこのオッサン。
名前は駿河浪平(するがなみへい)だ。
「駿河さん。何か言ってやってください」
「そんな事より色々と書類があるのよ。たんまりと。それを解決させて」
「はい」
「ですね」
「だな。変な事を考えるよりかは」
「お前殺すぞマジに」
そして俺達は作業に戻る。
あの野郎は後でぶっ飛ばすとして...そうだな。
仕事がたんまりある。
まあこれこそが俺に任せられた仕事なんだけど。
思いながら俺は仕事をする。
するとメールが来た。
キーボードを叩くのを止めてからメールを見る。
そこには...桜子からメッセージが入っていた。
(祐樹さん。お仕事頑張って下さい)
その様に書かれており。
可愛らしいスタンプが添えられている。
俺はその文章とスタンプを見てから苦笑する。
すると「誰とメッセージですか?」と声がした。
「ああ。実は...うぁわ!!!!?と、豊崎!!!!?」
「...先輩。さっきから呼び掛けているにも関わらず女性と...ほほーう?」
「違うって。何を誤解している」
「ニヤニヤしていました」
「...母親からな。それはニヤニヤするだろ」
「本当ですか?あやしー」
やらしー、みたいな言い方するな。
俺は豊崎を見る。
豊崎は「例の取引の話です。書類確認して下さい。では!!!!!」とキレた様に去って行く。
何だよ一体。
「あれは重傷だ」
「...???...お前何を知っているんだ?アイツ怪我したのか?」
「ほう。重傷の意味すら分からんとはな。まあ良いけど」
「...???」
意味が全く分からない。
そう思いながら俺は手元の書類を見る。
ふむ。
完璧に仕上がっている...ん?
何だこのタグ?
(先輩のばか)
「...」
「ねぇ?書類出来たのぉ?」
「待って下さい。駿河部長。何も出来てないっす」
「え?でも今出来ていた様な顔してたよねぇ?」
「...気のせいっす」
俺は顔を引き攣らせながらタグを見る。
そして俺は額に手を添えて「やれやれ」とため息を吐く。
それから俺はまたパソコンに向いた。
そうしてから文章を打ち込んだりする。
☆
「先輩先輩先輩」
「煩いな!?何だよ!?」
「食堂行きましょう♪」
「え?...ああ。すまない。俺は1人で近場の公園で飯食う」
「...え?」
俺はそんな言葉を発しながら豊崎を見る。
豊崎はあからさまに残念な顔をしていたが「分かりました。じゃあ友人と食べます」とそのまま去って行く。
何だ?と思いながらその背中を見つつ居ると「あれは重傷且つ重度だな」と声がしてきた。
「...人の心を何だと思ってんだお前は」
「ふむ。しかし俺にはマジに残念そうに見えるが。...まあそれは置いて。お前珍しいな。いつも食堂だけは散財する癖に」
「ケチな人間に聞こえるんだが?その言い方は」
「...まあまあ。...ふむ?真相はその布にあるものと見た」
「いやお前。勝手に見るなよ」
「なあ。お前近くで飯食うなら俺も一緒して良いか。愛妻弁当を食べたい」
愛妻弁当って張り倒そうかマジに。
全くこの野郎。
思いながら「...彼女とは上手くいっているみたいだな」と言う。
すると苦笑して肩を竦めてから裕太郎は「まあな。2度目は上手くいった」とコメントする。
「...」
2度目は、か。
そう考えながら俺は弁当箱を持ってからそのまま会社を後にした。
そして近場の公園にやって来る。
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