第5話 現在 真野玲子の存在
現在。
あの真野光成と思わしき人間の娘、真野玲子。
学籍簿を見る限りほぼあの真野光成の娘だろう。仕事先も一致している。ただ直接この目で確認するまでは確実な事は言えない。
・・・。
どこかで確認しなくてはいけないが、どこでそれをしようか悩む。単純に真野の家に行って張り込んでいれば分かるはずだ。でも生徒の家に勝手に張り込んで、それで確認したからと言ってそれが何になるんだろうか。
もう10年前の事なのだ。
今更兄に対するパワハラを問い詰めるのだろうか?時間が経ちすぎている。「知らない」「覚えていない」で済まされればそれで終了だ。
・・・。
自分は何をしているのだろうか。偶然にも真野らしき娘の担任になり、そして10年前を思い出して感傷的になる。
やめよう。
まだ確定じゃないものに頭を巡らせる。自分の悪い癖だ。
・・・。
ただ、気になったのは真野光成だけではなかった。気になる、というよりかは目に付いたと言った方が合っているかもしれない。それは真野玲子の一年次の成績だった。
ずば抜けて良い成績だ。ずっと学年一位を取っている。
自己紹介の時に物静かな感じだが芯が通っている印象を受けたのも納得が出来た。それにどこか惹かれてしまう魅力がある。
人を心を破壊するような男の娘とは到底思えなかった。
・・・。
学籍簿を閉じる。
とりあえずはこの辺でいい。これ以上考えてもらちが明かない。新しい年度が始まったばかりだ。他にやることはたくさんある。
時計に目をやると8時を過ぎていた。
「やべっ。」
急いで帰りの支度をして職員室を出る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます