アレックス、告白するってよ
「ギルド集会所……?」
「うん。今日も訓練はやるけど、その前にギルドに身元を登録しにいくっすよ。魔獣退治に向かう前に……必要なプロセスなんで!」
アレックスが股関節を無事破壊した翌日、自室にて朝食のパンをモキュモキュ食べていると、快活な魔法少女ローズが突入してきた。
朝から蜜月を楽しもうとしていたマルティアナは一瞬魔剣になりかけたが、アレックスがねっとりボイスで宥めて鎮圧、カタカタと柄を振るわせるマルティアナを鞘に入れた後、彼はローズと街へ繰り出していた。
「……ハイベルズの王都……! すごい栄えてるなぁ……」
城から出て暫く歩くと、ハイベルズ王国の王都――グランセリオに辿り着く。選定の儀に向かう最中で街を通ってはいたが、こうしてゆっくりと街を巡るのは初めてだ。
というかデカい街自体が初めてだ、アレックスは自分の村を悪く言うつもりはないが、フォルス村はどうしようもなく辺鄙な自覚はある。
若者は少なく、年寄りばかり。めちゃくちゃ平和で住みやすいが活気には溢れていない。反対に王都は活気しかない。レンガ造りの建物が並ぶ街の通りなんか、アレックスからしたらシャレオツすぎて腰が引けるレベルだ。
「大きな街に寄るの初めてなんすね!」
「ま、まぁ……へへへ。ってぇ!」
『アレックス……? 今かわいいと思ったよね??』
(やばい……気を抜いてた……! 冷静に冷静に)
ローズがニコニコ笑いながら言った。
癒される――マルティアナが鞘を動かしてアレックスの足をしばいた。普通に痛い。
『アレックスは結構目移りしやすいのねっ』
「ごめんて……」
「ん?」
「あ、いや! ローズじゃなくて……その……」
やばい、普通に会話していたがローズは聖剣の声が聞こえていない。アレックスは自分が変な人だと思われたかと、若干気まずそうにしたが、ローズの反応は彼の想像とは違ったものになった。
「ああ! 聖剣様の方ね!」
「え……話すの知ってるの?」
「ナフタさんが教えてくれたっすよ、担い手と加護を受けた者は聖剣の声が聞こえるって!」
なんと初回訓練が終わり、痛みでアレックスが苦しんでいる間にナフタが説明してくれたようだ。当たり前だが聖剣がヤンデレかつ激重なのは省いて説明したようだが、パーティメンバー全員……マルティアナは意思疎通が出来ると理解したようだ。
「そうだったのか、なら早く教えてくれたらいいのに……ナフタさんも人が悪いなぁ」
ナフタはキリッとした女性という印象が強く、結構冷徹なのかなとアレックスは最初に思ったが、こうやって色々根回ししてくれる辺り、かなりの人格者だ。訓練スケジュールも無茶な内容だが安全ラインを決めている。
はっきり言ってめちゃくちゃいい人だ。
しかしそれ故に何者なんだと勘繰ってしまう。只者ではないのは確定だが。
「にしても羨ましいっす、聖剣と話せるなんて」
「そんなに?」
『うらやましいでしょう、何てたってアレックスと秘密の会話が出来るもの。毎日毎時間毎秒蜜月よ』
マルティアナは「どやぁ」と言って、鞘の中でカタカタ揺れて存在感をアピールする。蜜月してるかはわからないが、確かに彼女と明確に会話出来るのは自分と、ナフタさんだけだ。
「アタシらも話せたりしないっすかね!」
「――って言ってるけど」
『実を言うと、私が手を加えたら話せるわよ』
マジかとアレックスは眉を上げた。
ただあまり聞かせたくないかもしれない。あまりこんなやり取りしてるのを第三者には見せたくないのだ。朝だってマルティアナはめちゃくちゃ青少年に良くない艶やかな声を出すし、予期せぬタイミングで危ない発言をする。
見た目剣なのに、妙な色気を偶に出すからそんな場面を人に見られたら、軽く憤死してしまう。アレックスは内心ハラハラドキドキしていた。
『だけど直接話せるようになるには、私がローズに魔力を注ぐだけじゃなく、担い手であるアレックスと心を通わせて信頼関係を結ばないといけない。その上で私自身が加護を与える。結構工程が必要なのよ』
「……ローズ、マルティアナと話すには信頼関係がないと難しいって」
「む、まだまだアレックスとアタシは信頼し合ってないんすか?」
「いや! 僕はちゃんと君を信――」
ローズは悲しそうに眉を顰め、アレックスは慌てて信頼してるよと言おうとした。だがやめた――これ以上は良くないと分かったからだ。
『……』
「……」
『まぁ!? そもそも私は加護なんて授ける気はないけどもー!? おっーほっほっほっ!』
(器ちっさい……)
どの道会話は難しそうだ。
マルティアナは独占欲が強い。こうなる事はまぁ目に見えていた。ローズも何となく聖剣にその気がないのだなと悟ると、残念っすーと困り顔で言った。
ただ言うほど残念そうには見えない。
あくまでも言ってみただけで、絶対に話したいってほどじゃなかったようだ。アレックスは大事にはならなさそうだと胸を撫で下ろすと、ちょっと気になっていた事を聞いた。
「ローズは何で冒険者を?」
「簡単に言えば勇者に憧れたっす。いつか……大冒険したくて」
『む……?』
ローズの言葉に、聖剣は何やら興味深そうに耳を傾けた。
「じゃあやっぱり担い手になりたかったとか?」
「はい! 勿論! だって初代勇者が使っていた伝説の剣っすよ!? 多くの冒険者目指す理由の1つに、初代勇者みたいになりたいって人が多いんすよ?」
「あー……子供がヒーローに憧れる……みたいな?」
「そうっす!」
なるほど確かに、自分も力があれば世界を救った英雄みたいになれたら――と思った事はあるっちゃある。アレックスは自分が平凡であると理解しているが、何度か物語の英雄みたいになれたらと夢想していたりする。
現に英雄が使っていた武器を使えるのだ、それぐらい思ったっていい筈だ。
しかし当のマルティアナ本人は、全く違うことを思っていたようだ。
『勇者なんてならない方がいいわ』
「マルティアナ?」
それは初めて見せた――嫌悪の感情。
『少なくとも……初代勇者は後悔してた。何でこんな役目を……運命になってしまったのかって』
「……」
深い深い悲しみが、声色に滲み出ている。
ローズはわけがわからないといった様子だが、アレックスの表情から聖剣が何かを言っているとは理解していた。
『私の意見だけど、勇者なんかより……ずっと凡人のまま穏やかな暮らしが出来ていれば、それで良い。英雄はこの世で最も苦しい生き方をしなきゃいけない人種だから』
そこにいたのは1000年前に活躍した英雄の、実感が籠った言葉だった。
「マルティアナも後悔してるのか……?」
アレックスはそっと聞く。
数瞬待って、マルティアナは答える。
『あなたが現れる前まではねっ』
アレックスは顔が熱くなるのを感じていた。
◇◆◇
「ここがギルド集会所……!」
「まだ昼前なのに酒飲みが割といるっすねー、怠惰まっしぐらっす……」
ローズが残念そうに見る先、さながら西部劇とかで出てきそうな酒場まで用意されたギルド集会所は、まだまだ明るい時間帯にも関わらず、人で賑わっていた。冒険者という不安定かつ自由な働き方が出来る職業柄、集会所のように飲み食いが出来る場所には決まって彼らが屯している。
見た目がいかつい者からそうでない者まで様々、しかも酒が入れば揉め事が起きそうな気がしないでもないが、ここはハイベルズという大きな国の中心地。店内は勿論のこと、外には下手な冒険者じゃ太刀打ち出来ない王国騎士団が巡回している。
万が一喧嘩騒ぎを起こせば、きついお仕置きだけじゃなく収監までされかねない。力のある者が監視しているだけでかなりの抑止力になるのだ。
「んでローズ、今日は何の用でここに?」
「近いうちにアタシらは冒険に出るっすよね? ギルドは世界を跨ぐ冒険者専門の巨大組織。ここで登録しておけば、証明書を貰えるっす。旅先は間違いなく長くなるっすから……路銀を稼ぐ必要になる。そうなったら……」
「ギルドで依頼……クエストを受けて稼ぐ」
「そうっす! 今のうちに登録して準備するっす。後はまぁ……ちょっとした試験用っすね」
試験だと……その時アレックスに電撃が奔った。
これはクリアしないと大変な事になる奴じゃん――と。
「し、試験なんてあるの!?」
「あるっすよ、今ちょうどやってる訓練がひと段落したら簡単な討伐クエストを1人でやってもらうっす。クリアしたら魔獣問題解決へGOっす!」
ローズによると、今やってる訓練がひと段落付く頃には多少身体は頑丈になっている計算らしい。これはナフタとも既に相談した事であり、今のところアレックスは割と順調に仕上がってはいるようだ。
「だけど僕……自滅ばっかだよ」
「強くなった実感無さそうっすよね」
「うん……まぁね」
模擬戦はローズ達パーティメンバーとやったが、無事ボコボコにされている。A級だから当たり前なのだが、ずっと負けてると強くなった実感ない。せめてお手軽に倒せる奴がいればまだ実感出来ただろう。
「まぁまぁ、ゆっくりわかってくるっす」
ローズはそう言ってアレックスを引っ張り、酒場の中を突っ切る。何人かに怪訝そうに見られながらも、受付嬢が待つカウンターに辿りついたローズは、いの一番に口を開いた。
「お疲れさまっす!」
「あ、ローズさん。どうも」
「用件は例の奴っす」
「ん……? ああ、かしこまりました」
受付嬢のお姉さんはアレックスを見て、納得したように頷くとカウンターの奥へ向かった。どうやら事前に話はついているようだ。内心……個人情報を書き込んで「これで頼む……」という何か理由はわからないけど、かっこよさげな事務手続きムーブが出来なかったアレックスは、少し残念そうにしていた。
「……もう僕のは出来上がってるの?」
「ナフタさんが個人情報握ってるから大丈夫って言ってたっす」
「怖い」
僕の個人情報が当たり前みたいに握られてるのが怖い。アレックスは自らの身体を抱きしめた。
『大丈夫よアレックス、怖かったら私が熱い抱擁してあげるから』
「両断される未来しか見えねえ」
聖剣の抱擁……イメージでは抜き身になったマルティアナが一瞬で迫り、アレックスを縦に真っ二つする映像が流れていた。ただ気持ちはありがたいから、一応ありがとうとは言っておく。
『えへへ』
聖剣は元気になった。
「お待たせしました」
「お、やっと来たっすよ」
受付嬢がカードを持って来た。冒険者という事を証明する登録カードだ。生まれ故郷、生年月日、冒険者ランクDの証明、そして名前の下に、キラキラと輝く文字でこう書かれていた。
――聖剣に選ばれし者――
(選ばれし……者)
改めて責任がドッとのしかかってきた。投げ出す気はさらさらないが、これから自分は命懸けの仕事を果すという緊張感から、少しばかり表情が固くなる。
『アレックス、大丈夫』
「マルティアナ……」
『何があっても貴方は守るから、絶対に絶対に……守るから』
マルティアナは心の底から絞り出すようにして言う。彼女が本当に自分を気遣っているのが伝わってくる。だからこそアレックスはマルティアナの柄を撫でて答える。
「僕も……聖剣に相応しい人になれるように頑張るよ」
『もうなってるのに』
「おい!!! アレックスじゃねぇか!」
「『ん……?』」
などと和やかな空気が流れる中、水を差す野太い声。
アレックスとマルティアナは不満げに、ローズは何だ何だと眉を顰める。
「俺だ!!! エリーナだよ!! エリーナ!!」
「名前詐欺の人……!」
『……誰こいつ?』
アレックスはワナワナと指を指し、キラキラネームの厳ついハゲの名を呼ぶ。一方でマルティアナは誰だかさっぱりわかってない模様。選定の儀に並ぶ人なんて大概ダメな人だからと、よく顔も覚えずに追っ払ってきたから無理もないの事だった。
「アレックス……ってあれか、担い手の」
「へー、本当にただの子供じゃねえか」
「聖剣タン……ハァハァハァ」
酒場では早速担い手の話題が一気に蔓延していく。1人なんだかヤバめの奴がいたが、アレックスとマルティアナは無視した。変態は放逐しておくに限る――奇しくも2人の意見は一致していた。
「誰っすか、この乙女ネームハゲ」
「誰が乙女ネームだ!! ざけんな!! 俺はBランク冒険者のエリーナだ。一応選定の儀にはいたんだぜ……まぁぶっ飛ばされたがな」
「ふーん」
ローズは興味なさげに返事した。
Bランク……意外に高いが、ローズの見積もりではC寄りのBだなと見ていた。普通に依頼をこなし、伝説とはいかなくてもある程度強力なモンスターなら、仲間の協力込みで討伐出来る腕前。
彼の背中には巨大な斧が背負われており、見た目通り力任せな戦い方をする。
ローズは一瞬で彼の力量を測り――10秒で倒せると判断した。万が一喧嘩になっても騒ぎになる前に気絶させられるだろうと。
「どうだアレックス、調子は」
ただ意外にもエリーナは親切に声をかける。
「んー……大変かな。ははは」
「聖剣があんだろ、強くなれたんじゃねーのか」
「今鍛えてるんだけど、剣に頼ってちゃダメだからコツコツやっててさ。まだまだ僕は弱いよ」
『いやいや! 前より強くなってますって!』
マルティアナは励ますが、アレックスは力無く笑うだけ。やはり自信がまだない。本当にやってけるか不安だなと、そう溢す。側で聞いていたエリーナは手に持ったエールをぐいっと一気に飲むと、いきなりアレックスの肩に腕をかけた。
「なぁ、お前不安なんだろ? 聖剣使ってんのに……弱いから」
「ま、まぁそうですけど」
「どうだ? あれだったらクエストついでに俺たちとパーティ組んで、ちょいとばかし実戦行かねえか」
そう言ってエリーナはソーセージのように太い親指で、後方を指す。丸テーブルにはいかにもガラ悪そうな4人組がいた。類は友を呼ぶとはまさにこの事だろう。
「ちょいちょーい、勝手に担い手様を誘うのはやめてくれっすー」
見かねたローズが注意する。
絶対怪しい……彼女は目はギラリと光っていた。
「お前知ってるぜ、A級冒険者にして魔法使い。熾火のローズだろ」
「そうっすよ」
――まじか、あの魔女の――
――若手魔法使いのホープじゃねえか――
口々に騒ぎ立てる冒険者達。
ローズは結構有名人なようで、多方面から視線が飛んできていた。
「担い手さんはアタシらと共に行く仲間、よく分からない夢女子ネームハゲの仲間にはならないっすよ」
「夢女子ってなんだ!! そんなに言わなくていいだろ!」
名前弄りされたエリーナは額に青筋をビキビキと立てながらも、ずっと目はアレックスに向いていた。いや正確には
(私狙いか……やれやれ。これだからモテる女子は辛い)
マルティアナは呆れたように内心で呟く。
こんなのは相手しなくていい、そうアレックスに言おうとした。
「はん! アレックス、お前は本当にそれでいいのかぁ!?」
「な、何が?」
「てめぇは仲間にもおんぶに抱っこ、あまつさえ世界最強の武器まで持ってる。なのに……お前自身は何も成し遂げられない弱虫のままだぜ」
『あ?』
聖剣はキレた。
こいつは何を言ってるのかと。
「身の丈に合ってねえんだよ、田舎坊主。お前は恵まれてるが……それを活かす器がない」
「ちょっともう黙ってくれないっすか? 酔っ払ってんのか知らないっすけど……余計な騒ぎは起こしたくないんで」
ローズの堪忍袋もキレそうだ。
アレックスは確かに弱いが、努力している。全身を痛めても数秒以上は強化を維持しようと反吐吐きながら頑張っているのだ。なのに……このならず者はアレックスを否定している。
ローズは杖でこいつを打ち抜く一歩手前だった。
「おい、エリーナ……悪酔いしすぎだ」
「黙っとけ、最後に言わせろ……」
エリーナはアレックスを見てニヤリと笑う。
対するアレックスは顔を伏せて、どんな表情をしているかわからない状態だった。
「お前……弱っちぃんだからよ。さっさとその聖剣をもっと強い奴に渡せ」
『――』
マルティアナが殺気を飛ばそうとした瞬間、アレックスは顔を上げて一言言った。
「いやだ」
「あ?」
「い・や・だ……って言ったんだよ」
アレックスはしっかりとエリーナを睨んで言った。
「確かに僕は弱いよ、聖剣ありきでも1分持てばまだマシ。基本的には30秒で身体を壊しかねないぐらい非力だ。自分でも嫌になる」
「なら――」
「だけど……聖剣マルティアナは言ったんだ。貴方しか担い手はいないって」
『――っ』
ぎゅっとアレックスはマルティアナの柄を優しく握る。
温かい感情が伝わり、マルティアナは言葉を失っていた。
「だから……ここにいる皆に改めて言うよ」
もう舐められないように、そして自分を信じて力を貸してくれたマルティアナに報いるべく、アレックスは
「マルティアナは僕のだ。他の誰にも……絶対に渡さない!!!! 僕こそが世界で唯一の担い手だッ!!!!」
シン……と酒場を静まりかえる。
エリーナは呆気に取られて立ち尽くし、ローズはサムズアップしながら「最高っす!!!」と笑う。
「……っと、まぁ……僕は一応マジで担い手としてやっていくから、よろしくお願いします」
後から急に恥ずかしくなってきたアレックスは顔を赤くして、ローズの袖を引っ張り集会所を後にする。やばい、全くキャラじゃない事している、カッコつけすぎだわ巫山戯るなと、アレックスは目をグルグル回しながら早歩きで街を歩く。
「いやぁー……!! アレックスゥゥ! かっこいい事言うじゃないっすかー!!」
「は、恥ずかしい……やばい。僕かっこつけすぎ……黒歴史確定……」
「どこが黒歴史っすか!! むしろあれで色々な人達がアレックスを担い手だって思うようになるっすよ?」
そうなってくれたら、もちろん嬉しい。
ただあの時、アレックスが1番キレたのは自分を弱いと侮辱された事よりも、マルティアナを誰かに渡せと言われた瞬間だった。ひどく冷静だったはずの気分がマグマのように煮えたぎる怒りに変わり、何としても皆に思い知らせてやろうと思ったのだ。
(はぁ〜……でも渡したくないのは事実だし。第一……マルティアナが嫌がるし)
とマルティアナに意識を割くと、彼女は鞘をガタガタ震わせていた。
『うっ、うっ、うっ〜……! アレックスゥゥ……』
「マ、マルティアナ……あの」
『魔獣退治始める前に……式でも挙げよう……?』
「スタート前にゴールしてるな、それ」
声をめちゃくちゃ震わせたマルティアナは、もう感情がとんでも事になっていた。もし読心術士がマルティアナの心を覗き見たら、目に映る空間一杯に「好き」「愛してる」が埋め尽くされている勢いだ。
「ふふふ……」
何やら聖剣と顔を赤くしながら話すアレックスを見ながらローズは思う。彼以外に担い手はあり得ない――と。
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