担い手の使命
――ほら起きて――
甘ったるい女の声が頭の中で響く。
アレックスは胴体から腹にかけて、ズシ……っとした重みを感じていた。
まさかこれはいつか見た、幼馴染が朝起こしに来るパターンか。なんて茹った妄想がアレックスの脳内を駆け巡る。だって昔見た本の中で、学舎に向かう前に美人な幼馴染が朝起こしに来るのは、太古の昔から定められたものだって偉い人が言っていたのだ。
しかも声色的に、めちゃくちゃ可愛いに決まっている。
もう僕は勝ちも同然――一体いつ勝負したのか、皆目検討つかないのだが、とにかくアレックスはいい気分になっていた。
――遅刻……しちゃうよ?――
ああ、今起きるよ。
気持ち的にイケボを意識したアレックスは、重い瞼を開けて現実世界に帰還する……!
◇◆◇
『ほら……遅刻しちゃうよ? 担い手くん♪』
「ひぇ」
腹の上に、聖剣マルティアナが直立で佇んでいる。
キラーンと光る鋒がアレックスの腹に向けられており、目覚めたアレックスは目が飛び出た。
「あっっぶなっっ!!!」
『やっと起きたぁ!』
「何さらしとんじゃ……!!! あと少しでハラワタがまろび出るとこだったぞ!!!」
アレックスはまるで地を這う虫のように、ベッドの上で後退りして鋒から離れる。もし勢いよく起きたら腹ざっくりいくところだった。
『むかーし見たのよ、親しくなった恋人はこうやって馬乗りになって、朝起こしに行くって。まさか実現するなんて……夢にも思わなかったわ』
「恋人じゃなくて俺担い手でしょ……?」
『同じ意味よ、私がそう認識したら……そうなるのよ』
「違うよ?」
朝からマジで疲れたなと、アレックスはクソデカため息を吐きながら身支度する。今日はいよいよ担い手として訓練が始まる日なのだ。早めに準備しないと皆に迷惑がかかる。
『さぁアレックス、朝のキスを――』
「顔切れるわ」
ああ、くそ……何でこんなのが聖剣なんだよ。
そんな文句を言いながらアレックスは、直近の日々を振り返る。
アレックスが担い手となり、5日が経った。
その間、彼は王国政府の重鎮やら騎士団やら由緒ある貴族やらに、揉みくちゃにされながら挨拶を交わし、いよいよ本格的に英雄候補として育てあげる流れとなった。
とは言え現代では、かつてのような魔族による世界滅亡の危機に切迫した状況ではなく、将来的な脅威に対する抑止力という意味合いもあって、世界各国に知らせてゆくらしい。
ただ魔獣の脅威は健在であり、戦闘経験がないアレックスには何名か腕利きの冒険者を割り当てて、担い手専用のパーティを作る流れになったのだ。
「パーティ……かぁ」
ちょっと前まで田舎暮らしだった頃じゃ、全く想像つかない事態になっている。幼い自分に報告してやりたい気分だ。
伝説の聖剣、ヤンデレ女だよ――って。
『なんか良からぬ思考を感じたわ……』
「な、何でもないよー……うん」
剣の癖に、じっとりとした視線を感じる。
相変わらずヘビー級なプレッシャーに、アレックスは朝から具合悪くなっていた。まるで脂っこい料理をたらふく食ってしまったような気分を何とか紛らわそうと、別の話題を振る事にした。
「そう言えばマルティアナに聞きたいんだけど」
『うん?』
「昔パーティとか組んでた?」
アレックスは着替えながらマルティアナに聞く。彼女は経験豊富だし、何となく昔のことが気になってしまった。
『当たり前よ。1人じゃないわよ』
「……てっきり聖剣って言うからさ、全部やってのけたのかなと」
『そうねぇ……じゃあ1つ昔話をしてあげましょうか』
そう言ってマルティアナは何やら威厳ある雰囲気で語り出す。
『魔王を倒すべく、私が足掻いていた頃。私は自分の強さに絶対の自信を持ってたわ。だって一薙するだけで万の兵士を斬り捨ててたし』
「万……!?」
いやどんな斬撃だよ――と言葉を漏らす。
どう足掻いても剣身の長さ的に考えられない数だ。
『だけど冒険の最初あたりに、私は壁にぶつかった。雑魚相手に……ね』
「な……」
『どんなに強くても、絶対に躓く瞬間があるんだって思い知ったわ。でもそんな時にパーティの仲間が助けてくれた』
仲間には優秀な魔法使いと戦士、僧侶がいたという。
バランスよく組まれた編成だったが、実際皆前衛を張れるぐらい脳筋だったようだ。
『懐かしいなぁ……』
「……」
本当に何気なく呟いた一言に、果てしなく深い愛情が籠っている。直感でアレックスはそう思った。
(単なる重い人……ってだけじゃなさそうだしな……)
あ……人って言ったけど剣だったわ。
なんて事に気づいたアレックスは、もしかして知らず知らずのうちにマルティアナに毒されているのではと、背筋が寒くなる思いに駆られた。
◇◆◇
「よく来てくれた、アレックス殿」
「……ども」
アレックスが呼び出されたのは講壇。
何せ呼び出したのは、所謂この世界の守り神と呼ばれるディアナ教の大祭司――ナフタだ。齢は恐らく30代の女性、この歳にしては破格の階級と言えた。黒い髪をまとめ上げ、純白の装束を身に纏い、豪華絢爛な杖を手に持っている。
噂によると彼女はかなり優秀なヒーラーだったそうな。
しかも国の重要な役職にまで就いている。かなりのエリート街道まっしぐらな人だが、アレックスはまた別の理由で若干緊張していた。
何を隠そう……故郷の村に手紙を宛て、アレックスを呼んだきっかけはこのナフタでもあったからだ。いわゆるきっかけづくりの人であるため、中々言葉では表しにくい感情を抱いていたりする。
「昨日はよく眠れましたか?」
「ぇ、ああ、まぁはい」
優しげに笑う大人の女性。17歳の少年はそんな笑顔にドキッとしてしまった。無理もない、彼はただの田舎者のチェリーボーイな聖剣の担い手だからだ。
『私の担い手を……色香で惑わすな……』
(ひぃぃ……もう怖いよ、この聖剣……)
ギシィィィと聖剣から禍々しい魔力が漏れ出る。
禍々しいと言ったが厳密に言うと聖なる魔力である。
「……聖剣様……魔力は控えめに」
「ぇ!?」
『ちっ……これだから私の声が聞こえる輩は……』
「聞こえてますよ……はぁ、くれぐれも担い手様を困らせる真似はおやめください」
まさか聖剣の声が聞こえるとは……てっきり自分だけだと思っていたアレックスは、思いっきり目を見開く。
「聖剣様と私たちのようなディアナ様の信徒は、扱う魔力の質が同じなのです。なので割と前から私は聖剣様の声は聞こえてました」
「そう……だったんですね」
『頻繁には会話してませんがね』
とマルティアナが付け加える。
なるほど……女神様の力と聖剣の力は同質という事は、この力は神の力と言っても過言ではない代物らしい。アレックスは改めて聖剣の特異性を認識していた。
「さてパーティメンバーと面会する前に、これからアレックス殿が担い手としての役割を改めて話しておきましょう」
「はい」
ナフタはアレックスの目を見ながら話し出した。
「噂話などで聞いた事があるかもしれませんが、近頃ハイベルズ王国近辺を中心に魔獣が増えているのは知ってますか?」
「まぁ……はい、噂程度には」
選定の儀でも話していた人がいた。
やはり結構大きな問題になっているのだろうと、アレックスは推測した。
「魔獣が増えているのは事実です。しかしこれは何も我が国に限った話ではないのです」
『まさか……』
マルティアナが何かに勘づいたようなリアクションを取った。
「世界各国……我々を含めた8つの巨大な国で魔獣の被害が増えているのです」
「世界……各地でって事ですか」
「はい、しかも被害件数は日に日に増えていってます。我々は間違いなく……何か良からぬ事が起きていると推察しています」
如何に世間に疎く、平和な生活をしてきたアレックスとは言えども、ナフタの語る内容が異常事態だと理解した。魔獣というのは外的要因によってのみ生まれる歪んだ存在だ。つまり世界各国で魔獣を産み出す何かが暗躍しているのだ。
「未だ何が原因で、誰が糸を引いてるかはわかりません。ただ1つ言えるのはこのままでは大変な事が起きる」
『……っ』
ナフタはチラリとマルティアナを一瞥する。あれだけトンチキ騒ぎを起こしたマルティアナも、事の重大さを理解したのか静かに息を飲んだ。
「そこで我々はアレックス殿を筆頭に、魔獣増加の原因解明、及び解決を使命とする聖剣部隊を作る事にしたのです」
「……だから例年と比べて選定の期間を長くした……と」
「そうなります。本当に……見つかって良かったと心底思います」
『ええ、本当に思うわ。私の愛する人が見つかったもの』
「……突っ込んで良いのか、これは」
「突っ込んでいいんですよ」
シリアスな空気を斬り裂くヤンデレ剣はともかくとして、アレックスは改めて自分の置かれた立場の重要性を理解した。そして重い使命を背負った事を。
「私を……恨みますか、アレックス殿」
「え、何でですか?」
「私は……平和な暮らしをしていたあなたをいきなり死地に送ろうとしているんです。恨み言を受け止める覚悟はありますよ」
確かに今置かれた状況は、理不尽そのものだ。
ものは試しと来て――いきなりの使命。
普通なら文句を言って然るべきかもしれない。だけどアレックスに聖剣を手放して、逃げる選択肢はなかった。
「僕だけが……もしかしたら魔獣を何とか出来るかもしれない……ですよね?」
「……断言は出来ませんが、可能性は無くはないかと」
「なら聖剣部隊として……使命を果たします」
「理由は?」
そう言われてアレックスの脳裏に過ぎるは、村の人々。家族達との愛おしい時間だった。
「聖剣を唯一使える僕が逃げたら、僕の家族もいつか危ない事になるかもしれない。なら……危なくなる前に僕が解決したらいい。それだけですよ」
迷いなく言い切るアレックス。
柔和な笑みを浮かべる彼だが、ナフタは彼の瞳がより強く輝くのを見ていた。やはり担い手として充分な勇敢さと献身が、すでに備わっている――ここまで鉄仮面の如く表情を硬くしたナフタは、初めて笑みを浮かべた。
それと同時にマルティアナもカタカタと鞘を震わせた。
『……本当、変わらない。ふふふ』
「……ん?」
『何でもないわ、私の夫』
「担い手だよ」
ナフタはくすりと笑って2人のやり取りを見つつ、さてとと言って話を切り替える。今日の本題はむしろ次の内容なのだ。
「担い手がアレックス殿で良かった。しかしそうなれば……必然的に仲間が必要。つまりパーティメンバーです、今からそのメンバーを紹介します」
「パーティメンバー……もう決まってるんですか?」
「はい、我々信徒と王国政府で話し合って決めました」
それはとても心強い。
戦いの初心者であるアレックスは、ナフタに感謝しているとマルティアナがドスの効いた声で問う。
『パーティメンバーですが……女はいるんですか?』
「いますよ」
『なっ……!?? 入れないでと頼んだのに……!!』
「え」
「実力的には申し分ありません、聖剣様のわがままに付き合う訳には行きませんので」
ピシャリと言い切るナフタ。
しかしそんな理由でマルティアナは納得しない。下手な魔剣よりずっと魔剣している聖剣が、こんな事でクソデカ激重愛情を捨てる訳がない。
『アレックス、戦いの最中に仲間が貴方に色目使ったら斬り殺す許可を!!!』
「やめろぉ!! お前本当やめろ!!」
「……また台座に深く差し込みますよ」
いやもうこいつが言うと洒落にならない。アレックスは冷や汗ダラダラ流しながら、マルティアナを宥める。こいつやっぱり魔剣なんじゃないかなと思っていると、後方から人の気配を感じた。
「早速ですが、メンバー紹介しましょう。聖剣様のアホな振る舞いにいつまでも付き合う訳にはいきませんので」
「助かります」
しんどいぐらい重い魔力を出すマルティアナを無視して、ナフタは「どうぞ」と凛とした声を出して、3名のパーティを部屋に入れる。
「わ! 本当に聖剣を持ってるっすね!! ひひひっ! よろしくっす!」
まず最初に喋り出したのは、赤毛が特徴的な女の子だ。服装は魔女が被りそうなデカい帽子に、赤褐色のローブを着ており、間違いなく魔法使いの類いだと思われる。長杖もしっかり常備しているようだ。
「よ、よろしく」
「えへへ」
(かわいい……)
笑うたびにちらっと見える八重歯が何とも可愛らしい。聖剣から禍々しい魔力が漏れた。
「あたしはローズって言うっす! 年齢は19歳っす! これでもA級冒険者で割と腕は立つっすよー!」
「A級?」
アレックスは首を傾げると、ナフタがコホンと咳をしてから説明を始める。
「冒険者としてギルドに登録している者は、過去の実績を元にしてランク付けしているのです。最上がSで1番下がDといった具合に。そして今回……担い手が1000年振りに現れたと言う事もあって、特別編成パーティを組む事になりました」
「アレックスさん以外、A級で固めて早いとこ強くしちゃおう作戦っす」
『……女の子じゃなくてもいいじゃん』
マルティアナは拗ね始めたが、ナフタは構わず続ける。
「戦闘経験に優れたA級ならば、的確なアドバイスが出来ます。逆にS級ですと実力に乖離が起きすぎて強くなれません。そもそもおいそれと仕事を依頼出来ない立場というのもありますが……」
「S級はガチの英雄っすから〜」
「なるほど……」
田舎に住んでた頃じゃ知ろうともしなかった知識だ。
とすれば全盛期のマルティアナは一体どれほどだったのかと、考えているとナフタが2人目を呼ぶ。
「次……アリア様」
「ん……よろ。担い手くん」
「あ、どうも……」
続いて現れたのは、身長の高いエルフの女戦士だ。
雪のように白い髪をポニーテールにしてまとめ上げ、何かの植物をモチーフにした紋様があしらわれた、戦闘服を着ている。比較的身体にぴっちりとした衣服のため、鍛え抜かれたしなやかな身体付きが分かる。
顔つきはエルフの名に違わず、めちゃくちゃ美人だ。
特徴的な三白眼は気怠さを感じるが、そこがギャップになっていて素晴らしい――とアレックスは何故か評論家みたいな感想を抱いた。
ちなみにマルティアナは不気味なほど静かになっていた。
「ボク……敬語苦手だから、気軽にアリアって呼んで」
「あ、はい……アリア、さん」
「むぅ、さんはいらないよ」
「ア、アリア。よろしく」
「うん、よろしい」
一切表情を動かさず、アリアは満足げに頷く。
感情がわかりづらいが、結構フランクな人のようだ。アレックスは一瞬でハートを掴まれ、マルティアナからは命を握られていた。
(マルティアナが何も喋らない……! とりあえず……あまり見ないようにしよう……)
最後にとナフタは3人目を呼ぶ。
2人目まで女の子になっている時点で、アレックスは3人目のオチが読めていた。
「僧侶、レイナだ。年齢は23! まだまだ修行中の身だが……よろしく頼む!」
キリッとした顔立ちが特徴的な女性――レイナ。
金色の髪に、礼装のような服装、パーティの中で1番大人びた美人さんだ。ハキハキとした声は講壇に響き渡り、気持ちをシャキッとさせてくれる強さがあった。
『ハーレムパーティ……だと……!? クソクソクソクソ……やばい、寝取られる……担い手寝取られるぅぅ!!!』
「……」
『アレックス、ちょっと身体借りるわ!』
「!?」
やばいマジで怖い。
つーか寝取られるって何だよ――とアレックスが思っていると、マルティアナはアレックスの肉体をいきなり乗っ取った。
「ナフタ殿!」
「はい、何でしょうかアレックス様(聖剣様……)」
ナフタは呆れたような目を向ける。
「何故パーティは女性ばかりなんですか? 僕は……自分で言うのもあれですけど……年頃の男です! 3人の女性に囲――んぐ」
(わー! 恥ずかしいからやめろ!)
気合いと根性で自分の口を閉じるアレックス。マルティアナは何するんですかといったような感情を漂わせ、残る3人の仲間は頭にハテナマークを浮かべていた。
「落ち着いてください。これにはちゃんと理由があるのです」
「……」
「
アレックスはそのまま3人の仲間に顔を向ける。
3人とも首を縦に振り、口々に凄まじくも清らかな魔力を感じるといっていた。実際の所他者からは聖剣の抱く感情を抜きにした魔力は、とても済んでいて神々しさすら感じるものらしい。
本当は真逆なのにと口を挟みたくなるが、とにかくマルティアナの実態を知らない者からしたら、そう感じるようだ。
「その不安定な状態ですが、聖剣はこれまで1000年誰にも扱われる事なく……悠久の時を過ごしてきました。常人なら発狂しかねない時間です」
その言葉を聞いてアレックスは思わず口を噤んだ。
ローズ、アリア、レイナもまた同様に悲しげに眉を顰める。そうだ、そもそもマルティアナは長い時間……ここにずっといたのだ。もし自分が同じ立場なら……絶対に耐えられない地獄だ。
「故に……聖剣は現在出力にムラがあり、普通に戦っても性能が発揮できないでしょう。鈍っている身体で過剰な運動しても成果は出せないように。聖剣も同様です、恐らく今は自在に魔力放出が難しい状況です」
「……」
マルティアナもまた自覚があったのか、アレックスの身体を使って苦々しげに顔を伏せる。わかっている、自分が今魔力を出せるのは激情を抱いた瞬間だけ、落ち着いた状態では切れ味のいい剣でしかないと。
「なので女性ばかりをパーティにいれたのは、聖剣に発破をかけるためです。魔力放出の勘を取り戻し……全盛期とまではいかなくても、戦闘経験の浅い担い手を守り切る為に……こうした人選にしたのです」
「……ですが、わた――僕は」
それでもマルティアナはまだ納得し切れていなかったが、ナフタはしっかりと伝える。
「
「……!!! ――っマルティアナ……?」
マルティアナは言葉に詰まり、すぐに身体の主導権をアレックスに返した。一方でローズ達は依然として何が何やらさっぱりな状況だったりする。
「――ともかく、何も無計画に男1人、女3人の組み合わせにした訳ではありません。聖剣をいち早く強くし、このパーティをより強固なものにする。わかっていただけましたか?」
「は、はい……!」
「よろしい。では顔合わせも済ませましたし、早速このパーティメンバーで実際に訓練を――」
半ばナフタに押し切られるような形で、担い手としての日々が本格的に始まろうとしていた。パーティメンバーは皆良い人そうで、アレックスは安堵していた。確かによりどりみどりな環境になったが、彼自身に疾しい気持ちは全くなく……むしろやる気に溢れていた。
いきなり担い手にはなったが、村のためにも……そして自分のためにも頑張ろう。そう考えていく中でアレックスは黙ってしまったマルティアナを見遣る。
ナフタに意味深な事を言われてから、嘘みたいに静かになってしまった。黙ると本当にただの剣にしか見えないから、却って落ちつかない。
(……どうしたんだろ、マルティアナ)
そんな彼女を心配しつつ、アレックスはナフタの案内の下……王城の外へ向かっていった。
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