天使のオペ

🌳三杉令

ある日、不思議な国で

 ザックという15さいおとこの子がいました。

 かれのお父さんはすごいおかねちでした。

 ザックは一人で森の怪物かいぶつたおそうとして、大怪我おおけがいました。


 ザックのお父さんは何とかザックの怪我けがなおそうとしました。しかしだれもザックのひどい怪我けがなおすことができません。


 そしてだれかが言いました。

 くろ羽根はね天使てんしなら治すことができると。


 くろ羽根はね天使てんしばれてきました。

 天使は言いました。


「ザックくんを治すには、身代みがわりになる少年が必要ひつようです」


 天使はそれから大金たいきん要求ようきゅうしました。

 ザックのお父さんは部下ぶか命令めいれいしました。


身代みがわりをさがしてれてい」


 ◇ ◇ ◇


 おなまちに、デビッドというおとこの子がいました。

 デビッドにはお母さんがいました。お父さんはいません。デビッドとお母さんのところに部下ぶかがやってきました。


「おかあさん、もうしわけないがデビッドくんのいのちをいただく」

「何ですって! そんなこといけません!」

「だめだ。ザックをなおすためにかれが必要ひつようなんだ」


 お母さんがいて部下ぶかにおねがいしますが、どうしようもありません。


「おかあさん、きっとぼくもどってくるよ」


 デビッドはお母さんにそう言いのこしてれられて行きました。


 ◇ ◇ ◇


 手術室しゅじゅつしつにザックとデビッドが麻酔ますいねむっています。天使はザックのお父さんに言いました。


「これから手術オペをしますので、だれも入らないで下さい」


 天使は手術しゅじゅつを終えました。一人だけ手術室しゅじゅつしつからストレッチャーで出てきました。ザックに見えます。お父さんは天使に感謝かんしゃして大金たいきん支払しはらいます。でもその少年はお父さんに何も言いません。


 デビッドは身代みがわりにんでしまったのでしょうか?


 ――つぎ


 天使てんしおとこの子がいなくなりました。だれにもなにわずに……

 ザックのお父さんはかんかんです。


 ◇ ◇ ◇


 かなしみにくれるデビッドのお母さんのところに、ザックそっくりの男の子と天使が来ました。お母さんは言いました。


「ああ、ザックさまわたしのデビッドはんでしまったのでしょうか?」


 するとザックそっくりの少年が言いました。


「おかあさん、ぼくだよデビッドだよ!」

「え、あなた、そのかおは??」

天使てんしかおをザックそっくりにえてくれたんだ。でも中身なかみはデビッドのままだよ」


「そうだったんですか。天使様てんしさまありがとうございます」


 お母さんはいてデビッドをきしめました。

 天使はお母さんに大金たいきんわたしていました。


「二人でこれをってげなさい」


 お母さんとデビッドはべつしあわせにらしました。


 天使てんし本物ほんもののザックを二ヶ月かけてなんとかなおしてあげました。

 ザックのお父さんは反省はんせいしました。

 人を軽々かるがるしく犠牲ぎせいにしてはいけないと。


  

   了

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天使のオペ 🌳三杉令 @misugi2023

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ