第26話 夜目よりも嫁
「はい、これ。【斥候】のジョブが入ってるダンジョンコアね。規則だからここで割ってね」
10万円を支払い黒川さんから金槌を受け取り。
転売の可能性があるから、協会で販売するダンジョンコアやスキルオーブはその場で割る規則になっている。
2階の売店で買ってもよかったんだけど、黒川さんにお願いした方が好感度上昇のオマケ付きですからね。
ちなみに浦和支部に売っているダンジョンコアは最下級のFランクの中でも【戦士】、【斥候】、【魔法使い】だけだ。
もっといいものが欲しかったら本部に行って一ノ瀬さんにお願いしないといけない。
ランクが上がれば値段も跳ね上がるけどね。
「【ステータス】」
名前:田中太助
ジョブ:【戦士】→【斥候】
Lv:14
HP:420/420→280/280
MP:200/200(210)→200/200(210)
腕力:28→16
耐久:28→21
敏捷:28→37
魔力:21+1→21+1
スキル:【時間遡行】【皿洗い】【武器強化】【ファイヤーボール】【ファイヤーウォール】【ウインドカッター】【魔力+1】【エイミング】【継矢】【罠設置】【鍛冶・補修】
スキルポイント:14
うーん、パワーダウンがヒドイ。
敏捷が高いのは魅力的だけど、最低限不意打ちで一匹倒せるくらいの腕力は欲しい……。
やっぱりDランクダンジョンに挑むなら【戦士】に戻さないとダメだね。
「どう?ちゃんと【斥候】だった?」
「はい、大丈夫です。スキル覚えてきますね」
それにしても10万円の買い物とか初めてだから緊張した。
この後、【戦士】に戻すのにもう10万円払うんだけどね。
この前の【ファイヤーアロー】の代金642万円から20万円だけ借りてきた。
昨日も魔石の換金だけで1万円以上稼げたが、【気配察知】を使えばもっと効率良く狩れるはずなので、すぐに元は取れるだろう。
「はーい。でも思い切ったね。ジョブチェンジしてスキルポイントを使うなんて。貯めるばかりでいつまでも使わない人もいるから、堅実でいいとは思うけどね。じゃあ、【戦士】のダンジョンコアを用意して待ってるね」
黒川さんにはスキルポイントを使ってスキルを取ると言ってある。
スキルオーブを持っているのは秘密だからね。
という訳で更衣室で【気配察知】のスキルオーブを割っちゃいます。
黒川さんの前では出来ないからね。
一応【種蒔き】と【皮なめし】のスキルオーブも確認したけど、光っていない。
余裕が出来たら生産職を極めるのも面白そうだ。
(一応取得できる技を確認しておこうか)
スキルポイント:14
『【斥候】獲得可能スキル』
【武器強化・投げ】2
【夜目】2
【聞き耳】2
【忍び足】2
【探知】5
【気配遮断】5
(【気配察知】5)
【気配察知】に必要なスキルポイントは5だった。
つまりレベル5分得したということだ。
【時間遡行】様様だね。
【探知】は薬草探しに是非欲しいスキルなんだけどね。
ただ、上位ジョブの【薬師】の【薬草探知】とか採取系や、農業系で覚えられる探知の上位スキルの方が効果は強いから今は無理に覚える必要はないだろう。
【夜目】も良さそうだけど、スキルポイント2の価値があるかと言われれば微妙なところだ。
そのうちスキルオーブ拾うかもしれないし。
「おかえり、ちゃんとスキルは取れた?」
「はい。【戦士】のダンジョンコアをお願いします」
受付に戻って黒川さんにもう10万円を渡す。
金槌でバキッとやってあっという間に【斥候】ジョブとさようなら。
短い付き合いだった……。
「ちゃんと【戦士】になってるか確認してね」
「はい。【ステータス】」
名前:田中太助
ジョブ:【戦士】
Lv:14
HP:280/420
MP:200/200(210)
腕力:28
耐久:28
敏捷:28
魔力:21+1
スキル:【時間遡行】【皿洗い】【武器強化】【ファイヤーボール】【ファイヤーウォール】【ウインドカッター】【魔力+1】【エイミング】【継矢】【罠設置】【鍛冶・補修】【気配察知】new
スキルポイント:14
HPは減ったままだけど、攻撃を喰らうつもりはないし、大丈夫だろう。
頑張って稼がないとね。
︙
︙
「よかった、ちゃんと発動してる……」
先程、Dランクダンジョンに入ってすぐに【気配察知】を使ってみたのだが、なんとなんと何の変化もなし。
焦ったが、近くにモンスターがいないだけだと気づいて、奥に進んできたところでスキルに反応があった。
進行方向の上の方に小さな気配を感じる。
後ろを向いてみても、確かに何かを感じることが出来る。
【気配察知】はちゃんと仕事しています。
(20万払って使えないスキルだったら泣いてたぞ)
上の方に気配があると言うことはヴァンパイアバットか、ビックスパイダーか。
今日は【気配察知】の他に秘密兵器を導入している。
(ピカーン!)
ヘッドライトです。
その名の通り、頭に付けるタイプの懐中電灯だね。
これなら両手がフリーになるし、自分の影にモンスターが入ることも無い。
実は梓さんに洞窟での戦闘のことを相談したら、ヘッドライトを使って見たらどうかと言われたのだ。
ちなみに魔道具では無くて電池式です。
ちゃんと魔道具のランタンも持ってきて鞄の上に乗せてるし、2重で明るくていい感じだ。
(持つべきものは理解のある彼女、【夜目】よりも嫁だね!)
ヘッドライトの光に反応したのか、モンスターが動いた。
近づいて来ているということはヴァンパイアバットだろう。
来るとわかっていれば問題ない。
身を屈めつつ、剣で真っ二つ。
「よしっ!」
一番厄介なヴァンパイアバット相手にこれなら、今日は思った以上に進めそうだ。
どんどんレベルを上げてダンジョンクリアを目指そう!
︙
︙
(順調すぎるな……)
2回目ということもあってか、昨日よりも早い時間で15階層に着いてしまった。
ジョブチェンジやあれやこれやをしたので、昨日よりも遅く出発したはずなんだけどね。
レベルも1上がって15だ。
休憩して戻る前に、もう少し奥でレベル上げが出来そうだし、来週にはこのダンジョンをクリアできるんじゃないかな?
そして【気配察知】はかなり有用なスキルだと言うことがわかった。
モンスターが来る前に準備が出来るのがいい。
出会い頭の戦闘というものがなくなったし、逆に戦いやすい場所におびき出すこともできる。
狭い通路に誘い込んで【ウィンドカッター】で一網打尽とかね。
面白くて戦わなくていい小部屋のモンスターにもちょっかいを掛けてしまった。
ちなみに【ファイヤーボール】は使っていない。
洞窟で火魔法を使うな!っていう定番の話なんだけど、このダンジョンの天井は高くなっているのである程度なら火魔法を使っても大丈夫らしい……。
でも怖いものは怖いからね。
そう言えば、このダンジョンの空気ってどこから来てるんだろうね?
何のために空気があるのか……。
モンスターって酸欠で死ぬのか?
ダンジョンには謎が多いな……。
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