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それから約3ヶ月後・・・




「須崎、少しいい?」




会社の廊下を歩いていたら、あの女が真っ青な顔をしながら今日も俺に声を掛けてきた。




「よくねーから話し掛けんな!!」




「1分どころか10秒でいいから。」




「10秒もお前に掛ける時間もねーよ!!!」




そう叫んだ俺にこいつは小さな声で囁いてきた。




「妊娠した。」




そんな言葉を聞いて・・・




そんな言葉を聞いて、俺は笑った。




大笑いした。




「そんなこと俺にいちいち言ってくるなよ!!

俺には関係ねーだろ、俺にそんな話二度としてくるな!!!

あの時のことは誰にも言わねーからお前も誰にも言うんじゃねーぞ!?」




そう叫んでから何も言わないこいつを振り返ることなく歩き続ける。




あの日1回だけこの女に少しいれた。

その後にこいつは他の誰かともやったらしい。

それで妊娠までしたらしい。




そんなことをいちいち俺に言わないで欲しかった。

そっちの男と2人でどうにでもなればいい。

あの女は心配だったらしい。

俺がそいつに何かを言うかもしれないと、心配だったらしい。




だから俺にいちいちそんな話をしてきた。




痛いくらい両手を握り締めながら廊下を歩き続けていると、向こう側で佐竹が歩いているのが見えた。




今でも変わらずあの女とよろしくやっている佐竹。

俺とは正反対なような見た目と性格の佐竹の後ろ姿を見て、泣きそうになった。




何でか分からないけど、泣きそうになった。




「あれが最初で最後の1回か・・・。」




最後まですることもなく終わった。

何も気持ち良くもなければ何も楽しくもない、幸せでもない行為だった。

















それから数日、あの女はよく休むようになった。

たまに来ても具合が悪そうにしていて、早退までしている。

他の奴らには言っていないようで、全員があの女のことを心配していた。




佐竹とはまだ結婚していない。

あの男は何を考えているのか、まだ結婚をしていない。

それなのにあの女と相変わらずよろしくやっていて、最低な男だなとムシャクシャとしていた。




「須崎、ちょっと。」




デスクで仕事をしていた俺の所に岩渕課長が声を掛けてきた。

岩渕課長とは違う課なので不思議に思いながらついていくと、会議室の中に通された。




そしたら中には鮫島せんぱいが腕組みをしながら・・・




俺を目だけで殺そうとしてくるくらいに睨み付けてきた。




あまりにも重すぎる圧に何も言えない中、岩渕課長が会議室の扉を静かに閉め鮫島せんぱいと俺の真ん中らへんに立った。




それを待っていたかのように鮫島せんぱいはゆっくりと口を開く。




「俺はな、施設で育ったんだよ。

産まれてすぐに捨てられたから親の顔も知らねー。」




そんな驚くことを言ってきて、俺は小さく頷いた。

鮫島せんぱいは真っ直ぐと俺を睨み続けてまた口を開いた。




「自分のガキが出来たのに結婚もしないとかどういうつもりだよ?」





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