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“不細工だけど”早く偉くなってやる。
デカイ化粧品会社、何故か社長のオッサンから気に入られて入ることが出来た。
だからそう思っていたのに・・・。
俺の目の前に立ったデカ過ぎる男が、スーツのポケットに両手を突っ込み、俺のことを見下ろしてくる。
それも、今から俺を殺そうとしてくるくらいの迫力で見下ろしてくる。
男前過ぎるくらいに整った顔で、身体が大きく筋肉もよくついているのがスーツからでも分かる。
そして事前に聞かされていた俺の教育担当になるこの男の話・・・。
その話を思い出しながらこの男の姿を見ていたら、ムシャクシャとしてきた。
男の憧れが詰まっているようなこんな姿をしているこの男に、ムシャクシャとしてきた。
だから、俺もスーツのポケットに両手を突っ込みこの男を睨み付けた。
「あ"~!?
俺よりも年下のクソガキなんだろお前!?
それも高卒の!!!
何でそんな奴が俺の教育担当なん・・・っっ」
最後まで言いきる前・・・
その前に・・・
俺の身体は宙を舞った・・・。
身体が宙に舞いながら見えるその景色はスローモーションで・・・
それが分かり、“あ、死ぬ”と思った。
そう分かった時に思ったことは1つで。
たった1つで。
“母ちゃん、何で俺をこんなに不細工に生んだんだよ。”
だった・・・。
*
「1回くらいやりたかったな・・・。」
天井を眺めながらそう呟いた俺の横にさっきの男がしゃがんできた。
俺の視界の中にそいつが入ってきて、俺のことを面白そうな顔で見てくる。
でも、それは嫌な目ではなくて。
それは汚い物を見るような目ではなくて。
温かい・・・。
凄く、激しく、温かい・・・。
温かいどころか熱くて眩しい・・・。
そんな目をして俺のことを見下ろしてきた・・・。
そして、口をゆっくりと開いたように見えた。
「お前みたいな奴を待ってたんだよ。
俺は鮫島、鮫島光。
闘争に行くぞ、同業他社全部ぶっ殺しに行こうぜ。」
“兄”と呼べる奴は商店街に何人か出来たけど、俺が“せんぱい”と呼ぶのはこの人だけ。
この人が、鮫島光。
この格好良すぎる男が、俺の“せんぱい”。
俺の永遠の“せんぱい”。
一生ついていく。
例え死んだとしても、俺はこの大きな背中に一生ついていく。
「泳ぐぞ、竜。
俺が時代の先を見せてやる。
セックスだろうが結婚だろうが、そんなの簡単に出来る男に俺が育ててやるよ。」
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