第14話:パセリさんの真実。

さて俺が会社に出かけたあと、パセリさんとふたりになったセシルは

彼女といろいろ話をしたらしい。


とくにパセリさんがなんで自殺なんかしたのかについて・・・。


実はパセリさんは生前、付き合ってた人がいて、その男性は会社の上司・・・

社長さんだったらしい。

その社長さんには妻も子もいたから不倫だったみたいだね。


結局、社長さんは最終的に家庭と家族を取った形になってパセリさんは

泣く泣く社長と別れることになったんだって。


でも何日経っても社長さんのことが忘れられなくて身も心もボロボロになって、

精神的に病んで鬱になって結局、立ち直れず思い余って薬を飲んだらしい。


それが、パセリさんの真実。


可哀想なパセリさんだけど不倫はね・・・場合によっては不幸になるからね。

あとで、その事実をセシルから聞かされて俺にはそこんとこは理解できない

って思った。


たとえば俺は旦那や子供がいる主婦とは恋愛はできないよな。

たぶん、このままセシルと一生を共にするんじゃないかな。

だけど、ひとつ心配なことは俺が亡くなったあと、セシルはどうなっちゃうん

だろうってこと。

まあ、俺がいきなり死なない限り、その準備はできるだろう。


どっちにしてもパセリさんは失恋くらいで死ななくてもよかったのに、

もったいない。

人生いくらでもやり直せるのにって残念でしかたなかった。


で、その夜、セシルからエッチしたいって言われた。


・・・んだけど、いざとなると、躊躇ためらっちゃうよな。

ちょっとドキドキする。


拒否してもよかったんだけど、悲しい思いをさせない、なんて言ったもんだから、

期待に応えてやらないと落ち込むと思った。

だから・・・エッチすることにした。


絶対、パセリさんが見てるよなって思いながら・・・。


は、いいとして問題は、そんなことよりも僕が一度も女性経験がないってことだ。

恥ずかしながら・・・だから余計、ドキドキしてるんだ。


やり方は分かってる・・・だけど、実践経験ないから、ちゃんとできるか

どうかまったく自信ない。


ベッドのシーツにくるまって僕を甘えるように見るセシル。


(そんなに見つめるなよ、プレッシャーになるじゃないかよ)


ガイノイド、いやセクサロイドとは言え人間の女性と遜色がない体。

セシルの体は一度は目の当たりにしてるけど、それでもシーツを剥ぎ取って

なんかとてもまともに見れない。


「なにしてるの?未来ちゃん・・・なに躊躇ためらってるの?」

「早くきて・・・」


「そう言われても・・・な」

「悪いけどちょっと、そっちに寄ってくれる?」


そう言いながらセシルの体を見ないようシーツの中に潜りこんだ。

中に入ってもぞもぞしてると、またセシルに催促された。


「早くきてってば・・・」


「・・・・・・・・え〜と・・・」


「・・・ 未来ちゃん、もしかして、もしかして・・・童貞?」


僕は自分のほっぺたをぼりぼり掻いた。


「そうなんだね・・・大丈夫だよ、私も未来ちゃんがはじめてだから・・・」


「え?うそ〜・・・俺としたい、なんて積極的だったから経験あるのか

と思ったじゃん」

「だからセシルにリードしてもらおうと思ったのに・・・」

「まったくないの?経験」


「前のオーナーさんがおじいちゃんとは、なにもなかったって言ったでしょ?」

「おじいちゃんちには長くいたけど、おじいちゃんから求められたことは

一度もなかったの・・・自分の孫みたいに可愛がってくれたけどね・・・」

「だから私、おじいちゃんのおうちでは介護ガイノイドだったの」


「最後のほうは、おじいちゃん干しぶどうみたいになっちゃったから、

私とエッチなんかしたら死んじゃうかもしれないでしょ」

ぽっくり逝っちゃったら、困るし・・・だから一度もなかったの・・・」


俺はてっきりセシルは前のオーナーさんとは、ぜったい肉体関係あると

思ってた・・・バージンだったんだ。


つづく。




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