第15話:ファーストインパクト。

俺はてっきり前のオーナーさんとは肉体関係ぜったいあると思ったんだけど・・・。


「そうか・・・僕たちお互い、はじめてなんだ・・・」


「うん・・・なんとかなるんじゃない?、ってパセリさんが・・・」


「やっぱり、パセリさんに見られてるんだ」


「パセリさんがアドバイスしてくれるって」


「ああ・・・パセリさんは経験豊富なんだな・・・」


で、なにをどうしたらいいのかも分からないまま愛の営みははじまった。


「さ、最初は・・・チューからだよな」


「そうだって、パセリさんが・・・」

「私も分かんないから、とえりあえずチューして・・・」


チューだってどこまでソフトにディープにしていいものかも分かんないし・・・。

だから、軽くチュってキスした。


「え〜とチューの後は?」


「エッチしたことなくても、やり方くらい知ってるんでしょって、パセリさんが」


「知ってるつもりだけど・・・」

「愛撫とかってしなきゃいけないのかな?」


「あたりまえでしょって、パセリさんが・・・」


「やり方よく分かんない・・・」


「上から順に下に向かってチューしたりペロペロしてけばいいって、

パセリさんが・・・」


「あのさ、そのいちいちパセリさんがっての、やめてくれる?」

「気が散って集中できないから少し黙っててくれるようにパセリさんに

言ってよ・・・ 」


「黙ってるって・・・でも、ちゃんと勉強しなさいよってパセリさんが・・・」


「分かってるよ・・・いきなりこんなことになるなんて思ってなかったから

まだ大丈夫って油断してたんだよ」


でもって、適当でぎこちない愛撫の後で、ついに本チャンなんだけど・・・。


「未来ちゃん・・・あの・・・どこに入れようとしてるの?」


「え?・・・」

「いや〜どこにって・・・あそこに・・」


「そこ違うよ」


「違うたって・・・このへんだろ?」


「違うってば・・・もっと上、そこ、お尻・・・お尻に入れてどうするの?」


「見えないから、いまいち位置がよく分かんないんだよ・・・」


「下手くそ・・・ここだよ」


そう言うとセシルは俺のボクちゃんを掴んで自分の大事なところに持って

行ってくれた。


「ま、まじでか・・・俺、めちゃカッコ悪いじゃん」


「優しくしてね・・・未来ちゃん」


情けない話・・・これが俺とセシルの初エッチ。

余裕もない・・・こうしようって閃きもしないし余裕ない。

一度セシルの中に入っちゃえば、もう無我夢中・・・初経験とは言え、エッチ

ってこんなに目から鱗な快感なんだ。


もう言葉じゃ言い表せないほどの快感の坩堝るつぼ・・・エッチってこんな

にすごいもんなのか?

それともセシルがすごいのか?


でもそれは俺にとっては今まで経験したことのないくらいに物理的、心理的

ファースト・インパクトだった。

これって絶対依存するって思った。


セシルは俺とひとつになれたことが嬉しかったみたいだ。

彼女の目的はそれだから・・・俺と一緒にいたい、甘えていたい。

構っててほしい・・・。


セクサロイドでも感じるってことあるのかな?

さすがに、そういう感覚まではないんだろうな、神経なんて通ってないだろう

なって俺は思っていた。


でもそれは俺の大きな間違いだった。

セシルは俺とのエッチで俺以上に快感に酔いしれた。


セシルに感情があるように、神経だって通ってるんだ・・・。

もっともそれを神経って呼ぶのかどうか分からないけど、それに似た感覚は

あるみたいだ。

そうじゃないと物に触ったり確かめたりできないもんね。


そしてセシルが処女だったのは、おじいちゃんがセシルに手を出さなかった

からだった。

きっとセシルがおじいちゃんのところで働くことになった時は、おじいちゃん

だって、ずっと若くて元気だっただろう。


甘えん坊で構ってちゃんのセシルの性格はおじいちゃんにとって可愛い孫みたい

な存在だったのかもしれない・・・。

だから、おじいちゃんはセシルには手を出さなかった。

綺麗な体の彼女のまま、セシルを見ていたかったのかもしれない。


それはあくまで僕の想像でしかないんだけど・・・。


つづく。


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