第9話:黙れ!!・・・泣いちゃうぞ!!

《こんにちは、麻里奈です・・・現在幽霊やってま〜す》


「お〜来たわ・・・麻里奈さんって・・・幽霊なのにこんなことできるんだ

・・・まじでか?」


「霊感通信だって・・・」


「このアイコンの顔、麻里奈さんか?・・・小さいけどさ、べっぴんさんじゃん」

「すげえ・・・」

「これで俺も麻里奈さんと話せるな」


《私、未来さんのこと好きでしたけど、セシルちゃんのために諦めますから、

セシルちゃんを大事にしてあげてください》


(おお〜麻里奈さん、気持ちも優しい人じゃん)


《でも他に行くとこないから、ここにいさせてくださいね》


《いいすよ・・・好きなだけいてくれて・・・三人で仲良くやればいいんだから》


まあ・・出てったところで落ち着く先がなかったらホームレスだもんな。

幽霊のホームレスなんて聞いたことないけど・・・。


「セシル・・麻里奈さんと話せるよ」


「よかったね・・・でも、麻里奈さんに夢中になると私、妬いちゃうからね」


「近所迷惑になるくらい泣くんだろ?・・・分かってるよ」


ってことで幽霊の麻里奈 マイーガリンさんとはスマホを通して話せるように

なった。

そして改めて僕の部屋の居候になった。

まあ、いるってだけで、なんにもやってもらえそうにないけど・・・。


でも麻里奈さんは、この先意外なところで俺とセシルの運命を握ることになるんだ。


それはさて置き、もし万がいちセシルとエッチすることになったら麻里奈さんに

見られながらするってことになるよな・・・。

どこかで麻里奈が見てるって・・・それってどうなの?・・・。

あまりいい気しねえな・・・けどまあ僕は見えないからいいか・・・。

セシルが気にしなきゃそれでいいか・・・。


「ねえ、チューして?・・・」


「え?・・・いきなりか?」


「だからチュー」

「恋人同士のコミュニケーションでしょ・・・最初にするんだよ」

「チューだよ、チュー」


「どうなんだろう・・・このままもじでセシルを受け入れちゃっていいのか?」


「うん、受け入れて、受け入れて」


「まあいいか・・・恋愛にこうだって決まりなんかないからな」

「好きになったら、それがすべてだし・・・」


で、セシルと、甘くて濃厚な初キス。

思った通り、セシルはクチビルもちゃんと暖かかった。


「セシル、セシルの体やクチビルって温かいけど、なんで?」


「未来ちゃんのことを思うと興奮してジェネレーターがオーバーヒート

起こしてるんだよ」


「ええ?それ大丈夫か?」


「エッチしたら焼き付いちゃうかも〜♪」


「そんな嬉しそうに言うな!!」


「でも今はホカホカしてとっても心地いい・・・」


だそうだけど・・・まあ・・・いいけど・・・でもキスが終わったのに

セシルが離れないし・・・。


「あのな・・・いつまでくっついているつもりだよ」


「もうちょっと・・・」

「ずっとくっついてたいし・・・未来ちゃんと離れたくないもん」


「俺たち磁石じゃないんだからな・・・いつかは離れなくちゃいけない

だろ?・・・頼むから離れてくれないかな?」


「黙れ!!・・・泣いちゃうぞ!!・・・」

「私を泣かすと、死んでポワレさんの仲間になっちゃうからね」


「ガイノイドに魂なんかないだろ? 死ぬと幽霊になるのか?」


「知らない」


結局、セシルは最初のお手伝いさん兼俺の彼女、つまり恋人になった。

なし崩しということで・・・。

言うことを聞いてやらないと、何するか分かんないし・・・。


それでもちゃんと料理も掃除も洗濯も、してって頼まなくても自分の役目を

甲斐甲斐しく果たしてくれて楽しそうにやってる。

このぶんなら、お手伝いさんとしても合格かな。


ちなみにセシルの脳みそには、すげえ数の料理のレシピが入ってるんだって。

まあ、依存体質で寂しがり屋で構ってちゃんでメンヘラちっくって

ところを除けば、全般的に俺より知識が豊富ってことかな。


つづく。


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