第3話:タダとは言え、どうしたもんかね?。

タダより安いモノはない・・・でもタダくらい怖いものもない。


ってことで俺は怪しげなジャンクショップで、連れて帰ってくれたらタダで

いいって言われて、ウハウハでお手伝いガイノイドさんを、お持ち帰りすることになった。


その子はとっても可愛いガイノイドだったから、こんな子と毎日暮らせる

ならラッキーって思った。

だからなんで前のオーナーさんが彼女を手放したんだろうって不思議に思ったんだ。


首の横に刻印されたネームで、その子の名前がセシルだってことが分かった。


しかも、なぜかメガネなんかかけてるし・・・人間なら視力が落ちるってことも

あるけど・・・ガイノイドだろ?・・・基本、中身はメカだよな。

目が悪いなんてことあるのか?・・・それとも狙い?・・・伊達メガネ?


まあ、なんせタダだから・・・。


で俺がセシルちゃんを連れて店を出ると早速、彼女に話しかけられた。


「あの・・・私、捨てられちゃうの?」


「およよ・・・声、めちゃ低くない?・・・ホラーっぽくて怖いんだけど」


「あ、声のレベル10段階まで調整できますけど・・・」


「それなら一番可愛いレベルでお願いしていい?」


「分かった・・・」

「でぇ、私ぃ、捨てられちゃうのかな?」


「お〜・・・その甘い声・・・俺の耳に心地よく入ってくる〜♪・・・

めちゃいいかも・・・」

「その声で寝る時、絵本でも朗読してほしいわ」


「ねえ、聞いてる?・・・私を捨てるの?」


「なに言ってんの、君を捨てたりなんかしないよ」

「もらって来たばっかなのに、なんで捨てなきゃなんないんだよ」

「いい?、セシルちゃんは、これから俺のマンションに行くんだよ」


「それからセシルちゃん、俺の名前だけど「今寄 未来いまより みらい

って言うんだ・・・・・・未来みらいって呼んで?」


「分かった、未来ちゃん」


「セシルちゃんは今日から俺んちのお手伝いさんになるんだよ」

「俺の代わりに家事手伝い、家政婦さんして欲しいんだ」


「廃棄処分されないの?」


「そんなことはしないから・・・安心して」

「俺についてくればいいからね」


「分かった・・・」


「あ、あのさ・・・セシルちゃん、服が伸びるから引っ張らないでくれる」


「だって・・・迷子になっちゃいそうなんだもん」


「俺について来たらいいんだから、迷子になんかなるわけないだろ?」


「じゃ〜・・・ブツブツ・・・」


「なに?、声が小さくて聞こえない」


「じゃ〜未来ちゃん〜お手々、つないでいい?」


「今度は声がデカいよ!!・・・鼓膜に響くわ・・・なんでも加減ってもんが

あるだろ?・・・」


「お手々、つないで?」


「お手々?・・・ああ・・・いいよ」


お手々って・・・この子の AIは幼稚園児レベルか?

大丈夫か?こんなんで家政婦なんか務まるのかよ、不安だな・・・。


「セシルちゃん、これから電車に乗るからね」

「電車に30分、バスに10分くらい乗って、そこから歩き15分くらいで僕の

マンションにつくから ・・・」


「え〜そんなに歩くの?」 」


「たったの15分なんだから・・・そのくらい頑張れるだろ?」


「無理です〜・・・ブツブツ」


「だからさ・・・声が小さいって」


タダとは言え、どうしたもんかね・・・まあ多少はバグがあっても不思議じゃない

とは思うけど・・・。


とぅ〜び〜こんて乳。





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