第2話:タダでいいんですか?

さっそく俺は午前中お手伝いさんガイノイドちゃんを見にディスカウント

ショップに出かけた。

営業中の店の中に入ると店内は種々雑多、いろいろなものが入り交じって

置いてあってなんの店か分からなかった。


めちゃ怪しいジャンクな店じゃんって思った。

こんな店にガイノイドとかなんて置いてるのかって思った。

奥を覗いたらカウンターの向こうに胡散臭さそうなばあさんが眼鏡越しに

こっちを見ていた。


「いらっしゃい・・・」


「先日、お手伝いさんガイノイドさんのことで電話した者ですけど」


「ああ・・・あんた、来たの?」


「はあ、お手伝いさんガイノイドさんを見せていただこうと思いまして」


「売れ残りのポンコツだけどいいのかね?」


「もちろん中古でいいです・・・安かったらですけど・・・」

「新品のガイノイドなんて高くて手がでませんから」


「そう・・・実は廃棄処分にしようかと思ってるやつが一体あるけど・・・」

「持って帰ってくれるならタダでいいわ・・・処分するのも金がかかるし」

「今は私と暮らしてるんだけどね・・・まあ、いろいろね・・・」


「いろいろって・・・?」


「ああ・・・なんでもない・・・とにかく金はいらないから・・・」


「え〜まじで?お金いらないんですか?・・・タダでいいんですか?」

「まさか、頭がないとか動かないなんてことないですよね?」


「アホか・・・動かんかったら商品にならんだろうが・・・」

「ちょっと待ちな・・・連れてくるから・・・」


そういってばあさんは奥へ引っ込んでいった。

しばらく店の中を物色しながら待っていると、ばあさんはひとりのガイノイド

を連れて出てきた。


「この子だけどね・・・」


そう言われて見ると、どひゃ〜・・・その子はめちゃ可愛いガイノイド

だったんだ。

目鼻立ちもくっきりしていて、まるで俺のためにいたような、俺のために

作られたんじゃないかって思うくらい・・・。

アイドルみたいじゃん、正直に可愛いと思った。

人間だったら一目で恋してるとこだよな。


最近のヒューマノイドは見た目、人間と見分けがつかないくらいクオリティー

が高いからな。

ガイノイドだと言わなきゃ普通に人間の女の子と遜色ないね。


僕は一も二もなく即、その子に決めた。

って言うか、その子しか他に選びようもないんだけど・・・。


野郎とシェアするくらいなら、そこはやっぱり女の子だろう。

俺の鼻の下は、これ以上伸びないだろうってくらい伸びていた・・・男なら

誰だって女の子のほうがいいに決まってる。


「持って帰ってくれると助かるね」

「ただし、廃棄処分行きだったからメーカー補償はないよ」

「前の持ち主が手放したくらいだから、どこかにバグがあるかもね」


「いいです・・・じゃ〜この子貰って帰ります、タダで」


僕はタダだってことと、可愛いっってことだけで、その子を連れて帰ること

にした。

今までも前のオーナーのところで家事手伝いやってたみたいだから、なにも

教えなくてもちゃんとやってくれそうだ。


俺はばあさんにお礼を言って、ガイノイドちゃんを連れて店を出た。


だいたいアンドロイドやガイノイドは首に名前が刻印してあるって聞いたこと

あるんだよな・・・。

だから俺は、その子の首横に刻まれた文字を確認してみた。


そしたら、そこに英字で「CECIL」と刻印されていた。

セ・シ・ル・・・セシルか?。


この子の名前は「セシルちゃん」って言うんだ・・・。

で、なんで、店にいた時から気になってたんだけど、なんでメガネなんか

かけてるんだ・・・この子?

ガイノイドなのに近眼?


とぅ〜び〜こんて乳。



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