解答編
「えーと。あなた名前は、
男はちょっと、うろたえたようだが答えた。
「い、いえ。し、知りませんね、そんな人」
更に奥野は、聞いてみた。
「そうですか。でも、あなたは、ホームレスではないですよね」
すると男は、明らかにうろたえた。
「な、何を言ってるんですか?! こんな小屋に住んでいるんですよ!
すると奥野は、答えた。
「あなたからは、
男はクンクンと、自分の臭いをかいだ。奥野は、続けた。
「さて、それで今日、ある首無し死体が発見されました。片山マネキン株式会社の社長の片山修平の、
すると男は、
「でもその死体には、首がないんでしょう?! それじゃあ
奥野は、説明した。確かに、名前は分かりません。でもおそらく、ここに住んでいたホームレスの方でしょう。さて、修平さん。ここでこうしているところを見ると、会社が
「ホームレスの小屋を手に入れるために、殺したんでしょうか?」
すると男は、再び喚いた。
「しょ、
奥野は無言で、小屋の奥にある一つの首を
「一つだけ、土で
奥野は、自分の
でも、住む小屋が無かった。そこでここに住んでいるホームレスの方を
でもそこで、死体の処理に困った。死体が発見されれば当然、警察の
どうしようかと考えたあなたには、
そこであなたは、包丁で死体の首を
どこかに置くことは、危険です。誰かに見つかってしまったら、首なし死体と関係を調べられが片山修平ではないことが、バレてしまうからです。そこであなたは
でも小屋の中に首を置いておくのも、不自然です。なのであなたは、考えた。マネキンの首と
そしてマネキンの首を置いておく理由は、
「これが僕が
修平は、うなだれて
「くっ……。完全な
だが奥野は、キッパリと告げた。
「この世に完全な犯罪など、ありませんよ」
そして修平の両手に、
●
それから数カ月が
「一年間、ありがとうございました、藤巻刑事。藤巻刑事から教わったことは一生、忘れません!」
藤巻刑事は、
「ありがとうございます。最高のお
そして奥野はもう一度頭を下げ、警察署を後にした。すると鑑識官の、
「奥野は、
藤巻刑事は再び、微笑んだ。
「はい、出世です。警視庁の刑事になるので。ところで
「ああ、こっちも出世だ。明日から、警視庁の
そしてため息をついた後、郡司は続けた。
「なあ、藤巻。今日はもう
藤巻刑事は、疑問の表情で聞いた。
「どうしてですか?」
郡司は、
「ガキの頃は卒業式の時、なんで
同じく自分が育てた新人の巣立ちを見送った藤巻刑事も、
「そうですねえ……。まあ、今日くらいは、いいでしょう。早退して、これから飲みに行きましょう」
そして二人も、警察署を後にした。
今日も藤巻刑事は新人を育てる その六 最後の事件 久坂裕介 @cbrate
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