第2話

コロナ禍も重なり美空は引越し先でママ友が思ったように出来なかった。

長女の幼稚園時代は得意の料理やお菓子を振る舞うとあっという間にママ友が増えてお互いの家を行き来したり誰かの運転で車に乗り合いお洒落なお店のランチ、話題のカフェでモーニング、イケアやコストコにわいわい買い物に行ったり本当に楽しかった。

引越し先でも楽しい友達に出逢えることを期待したがコロナで幼稚園入園もずれ込み親睦会もなく幼稚園バスのバス停には自分達親子のみで見事にママ友を作る機会は失われた。

そんな時、ネット上に女性だけのお喋りサイトをみつけた。

話題のトピックスが並びランキングを見るだけで今話題の事柄がすぐに把握できる。

新聞も取るのをやめテレビもゆっくり見ることがなくママ友の情報網もない美空はちょくちょく隙間時間にアクセスしては興味深いトピックスを覗き込むことが生活の一部になった。

ある日そこに「夫側セックスレスの人話しませんか?」と言うトピックスをみつけた。

私のことだ。

夫側セックスレス…

そんな言葉があるのか…

美空は28歳で良介と結婚した。

良介は初めて付き合った相手だった。

友達に初めて良介を紹介された時、イマイチ美空はピンとこなかった。

しかし良介が好きな女優によく似ていると言われていた美空に一目惚れした良介は猛アタックしてきた。

美空はとりあえず付き合ってみようかな、と思った。

美空には「とりあえず」付き合うという概念がなかった。

そのせいか25まで誰とも付き合ってこなかった。

かけがえのない、他の誰でもない、運命の人…お互いにそう思えるような関係でないと付き合う気がしなかった。

しかし周りの友達は告白されたから、今彼がいないからと漫然と付き合いだしたりしていた。

そうだ、そんな気楽な気持ちで私も付き合ってみよう。

そんなことを思いながら良介からの交際の申し込みを受け3年の交際期間で結婚したのだ。

良介の一目惚れだったのに今や私のほうが良介を求めている。

この関係に名前がついていたとは…

「夫側セックスレス」

名前がついたことを知ったら何故か

自分が惨めな女な気がしてきた。



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