エフ氏のメガネ

船越麻央

どのメガネがお好みですか?

 オーバル「選ばれるのはワタシよ。みんな引っ込んでて」


 ボストン「何を言ってるの! アンタこそ出しゃばるんじゃないわよ」


 スクエア「二人ともうるせえ! オレに決まってだろ。サッサとうせろ!」


 ウエリントン「まあまあ、落ち着いて。ここは僕に任せてくれよ~」


 ラウンド「ウソー、ヤダ、シンジラレナーイ、超ウザイ。もう帰ってもイイ?」


 ティアドロップ「……何か用か? あんたあの子の何なのさ……」


 ★エフ氏「どうしようかな~どれがいいかな~」


 オーバル「トーゼン、タマゴ型のワタシでしょ!」


 ボストン「バカいわないで! 逆三角形のボクこそふさわしい」


 スクエア「何を言ってやがる。四角型のオレだよ! オレ!」


 ウエリントン「しょうがないですねえ、ここは逆台形型の僕でしょ」


 ラウンド「ダセー、ウッセー、ウッセー。丸型だよ、丸型。ホント、もうヤダ」


 ティアドロップ「……あんた、レイバン型を知らねえの? モグリだな」


 ★エフ氏「えーと、鏡、鏡あります?」


 全員『オーイ、鏡、鏡。顔だけのと全身うつるヤツ』


 オーバル「うん! 似合ってる、似合ってる!」


 ボストン「アンタ! ボクの方が合ってるよ!」


 スクエア「オッ、いいじゃん! バッチリだぜ!」


 ウエリントン「三人とも、いい線いってるけど……僕が一番だと思うよ」 


 ラウンド「サッサと決めなよ! ダルイんだからさー」


 ティアドロップ「……用がないなら……もう帰れ!」


 ★エフ氏「あんまり時間ないんだけど……」


 全員『わわわ、は、販売員! そっちの客はいいからこっち、こっち、早く!』


 ★エフ氏「ところで、レンズ付きでいくらだろう」


 全員『均一で○○○○円! コスパ最高!』


「お客様、いかがでしょうか?」


 全員『オーイ、エコヒイキするなよ!』


 オーバル「ワタシよ、ワタシをすすめて!」


 ボストン「ボクで決まり!」


 スクエア「ふざけんな! オレに決めろ!」


 ウエリントン「悪いけど、僕が一番!」


 ラウンド「バッカバッカしい、あたいにしな!」


 ティアドロップ「……くだらねえ……選ばれるのは俺様だ……」


        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


結局エフ氏はさんざん迷った挙句、「また来ます」と帰って行った。


全員『えーい、塩まけ~、塩~!』






  




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エフ氏のメガネ 船越麻央 @funakoshimao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ